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星のリゾートの経営戦略(その2)

星のや軽井沢の運営状況を一言で言うと、「値引きはしない」です。私は以前ホテルファンドの組成と運営を行っていたことがありますが、稼働率が下がった場合、宿泊費を下げて、稼働率をあげたいという誘惑に駆られてしまいがちです。ビジネスでは、「利益率をとるか」「現金をとるか」のどちらが良いか?という議論がよく行われます。大量生産大量販売で利益率は小さくても、多くの現金を稼ぐ手法か?高価格帯で限定販売で利益を出すか?です。車業界で言えば前者がカルロスゴーン下時の日産で、後者がフェラーリです。維持費用は最低限確保したいので、宿泊費を下げて稼働率をあげれば多くの場合、現金収入は増えますが、当然他の競合ホテルとの過当競争にさらされることになります。左のグラフでADRという指標がありますが、これは実際に販売した客室の平均単価です。RebPERは宿泊代の合計額÷客室数(貸せる状態の客室)で空いている客室も入れた客室の平均単価です。稼働率が下がれば当然、RebPERも下がる正比例の関係にあります。星のや軽井沢ではコロナ禍で大量の部屋が空いた状態でも値段を下げない戦略をとったことになります。現時点では2020年4月までのデータしか公開されていないので、今後もこの方針を続けられるのかはわかりませんが、少なくとも、客室単価は維持していく方針だと思います。また売上高はRebPERほどの落ち込みが無いのも注目するべき点です。RebPERは基本宿泊代金ですが売上高は飲食やその他のサービスも含めた金額です。星野エリアと言われるほどの一大拠点を有することで様々な付加価値をつけて、RebPERの減少を補っているところが星のや軽井沢の強みと言えます。

また、余談になりますが、星のや軽井沢に安く宿泊できる方法がひとつあります。それはキャンセルしてもお金が全く戻ってこない90日前以上の予約です。星のや軽井沢は最低2泊以上宿泊することが条件となっており、この予約は部屋数も少ないので希望の日が取れれば非常にお得です。但し、実際問題として、キャンセル料100%はかなり勇気がいります。

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