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産業廃棄物の高騰とSDGs

渋谷区を中心に中古分譲マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールデインングスの遠藤です。

 

今日はSDGsの高まりと共に、建物等の解体費用の高騰の実態についてお話したいと思いまます。

そもそもSDGsとは何なのか? 

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、誰一人残さない(leave no one behind)持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標で、2015年の国連サミットにおいて全ての加盟国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ(行動計画)」の中で掲げられた目標です。2030年を達成年限として17のゴールと169のターゲットから構成されています。

 

17のゴールは下記の3つに分類されます。

①貧困や飢餓、教育など未だに解決を見ない社会面の開発アジェンダ

 

②エネルギーや資源の有効活用、働き方の改善、不平等の解消などを持続可能な形で経済成長を目指す経済アジェンダ

 

③地球環境や気候変動など地球規模で取り組むべき環境アジェンダ

 

これら世界が直面する課題を網羅的に示しています。

 

そもそもSDGsの前身は開発途上国向けの目標でしたが、SDGsは先進国を含めた全ての国が取り組むべき普遍的な目標となっています。

 

これらの目標は各国政府による取り組みだけでは達成困難なため、企業、地方自治体、市民団体、一人一人に至るまでの全ての人の行動が求められている点が大きな特徴となっています。

 

最近の小学校では特にSDGsを大きく取り上げて学んでおり、私も恥ずかしながら子供からSDGsを教えてもらいました。

ゴミの分別が必須に!! 

私が役員をしていたデベロッパーがリーマンショックのあおりを受けて破綻し、破綻処理をしながら、それでは食べていけないので、建設現場の作業員として大先輩かつ友人の経営する会社で数年間働いていた頃、建物を解体した際に出る産業廃棄物をよく世田谷区にある産業廃棄物の中間処理施設まで運んでいました。

 

大先輩の経営する会社は産業廃棄物の運搬及び処理業者としても認可されていたので、現場で出た廃材やコンクリート殻、生木、庭石、エアコン等あらゆる物を、主に軽トラに積んで、先述した中間処理施設に運んでいました。

 

当時でも、混載は引き取り価格が高くなるので、木材、石膏ボード、土間を壊した際の大きめのコンクリート殻などはなるべく分類して運んでいました。逆に胴や鉄は高く引き取ってくれる他の民間施設に持ち込みました。

 

それでもどうしても、建物を解体すると残置物としてプラスチックで出来た衣装ケーズや衣類、雑誌が出てきたり、お風呂場の解体ではFRPが出たり、トイレは陶器だったりと混載にせざるを得ない状況が頻繁におきます。

 

これらを別々するには限度があり、ゴミは基本㎥単位で価格が決まるため、混載にせざるを得ませんでした。

 

そのようなときは現場で食べたお弁当の入れ物やペットボトルなどを産廃を運ぶ軽トラックの荷台に混ぜて捨てるのは当たり前というかそれが普通だと思っていました。

 

今回、久しぶりに建物の解体現場の整地を見せてもらい、その際に産業廃棄物の引き取り価格を聞いたところ、価格が1.5倍くらいに跳ね上がっていました。

 

特に、混載でもコンビニで買った弁当やペットボトルを今は、中間処理施設では引き取ってくれず、こちらで分別してもっていかないと駄目になっているとのことでした。

 

また、今回建物解体後の整地で、余分になった残土を捨てる際に、コンクリート殻を取り除いて捨てないととんでもない価格を請求されるので、写真右手にある金網でコンクリート殻を取り除いて別便で運ぶとのことでした。

 

今年の5月にデベロッパーに昔田んぼで、まずほとんど産廃が出ないような土地の契約をしたのですが、その際に、産廃が地中から出てきた場合には売主負担で撤去という特約をどうしても入れて欲しいと言われ、やむなく承諾しました。

 

理由は、以前、産廃が出てまい、処理費用が高く、採算割れしてしまったことがあったとのことでした。

 

また、相続で古くなった戸建てを売却しようとしたらアスベストがでてきて、解体費に数百万円もかかってしまい、兄弟で売ったお金を分けようと言っていたのが、逆にマイナスになってしまい、兄弟からお金を徴収するはめになり、かなり文句を言われた等のお話は、土地代が安い地方では、頻繁に起こり得る問題です。

 

そのため地方では空家が放置され危険な状態になってしまうことが多くあります。

 

これらの背景として、空家等対策の推進に関する特別措置法が平成27年(2015年)5月26日に全面施行されたのですが、SDGsがうたわれた2015年と同じ年の施行というのは何かやはり時代の流れと関係があるのでしょうか??

解体費用が上がった時期はSDGsと同じ時期?

以前ブロク(木造の解体工事の相場はいくら?)に記載せて頂きましたが、建物の解体工事費が上昇し続けています。

 

先述した私の大先輩や私が新入社員から10数年働いてた大手ゼネコンの建築部長の話、私が現場の手伝いをしなくなった時期等を重ねると、5年程前から産廃の価格が上昇の一途をたどっています。

 

SDGsが採択されたのが2015年なので今から6年前です。産廃の処分費が上昇し始めた時期と一致するです。

 

産廃は以前から分別処理されて、リサイクル又は最終処分場に運び込まれますが、基本この流れは変わっていません。

 

産廃業者の言い分は、リサイクル、特に廃プラに関しては、買い物袋が有料化されたように、行政から細かいことを言われるためとの回答らしいですが、中間処理施設で分別されていたものが、運び込む業者が分別するようになり、処理の手間が減ったのに、値段が高くなっています。

 

話は少し反れますが、レジ袋の有料化は廃プラを無くすためが本来の目的なのに、紙のレジ袋を使っていたところがレジ袋を有料化をした所、批判を浴び、レジ袋をビニール袋に変えたと聞いてびっくりしました。本末転倒の話です。

 

何か規制が入るとそれに乗じて便乗値上げをする企業があるのと同様、SDGsという旗のもと、自分達の私腹を肥やす輩が少なからずいるような気がします。

 

高騰した産廃費用の多くが、一部の特定の人間に還元されるのではく、環境破壊防止に回ってくれていることを切に願います。