· 

マンションリノベで注意すること(共用部編)

渋谷区を中心に中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

中古マンションを購入して自ら工務店や建設会社に工事を依頼する際に注意する点を挙げていきたいと思います。

 

多くの項目があるので、今日はまず選ぶべきマンションの共通項目についてお話したいと思います。

建物の規模や共用部分について 

まず選ぶマンションの規模ですが、出来れば総戸数が50戸以上が理想です。最低でも総戸数は20戸以上が良いと思います。

 

マンションはエレベーターや消防設備の維持点検、共用部の廊下等の電気代・水道代から電球等の交換等、また、管理人の人件費等マンションを維持管理していく上で必要な費用を管理費で賄っています。

 

エレベーターの運用観点から見た場合、1基当たり50戸~70戸が理想と言われています。

 

そのため、総戸数が少ないと1世帯当たりが負担すべき費用が高くなります。当然、1世帯当たりの修繕積立金の負担額も高くなります。

 

但し、都心部の千代田区、港区、渋谷区等にある専有部分が100㎡を優に超えるハイグレードマンションの場合は総戸数が50戸未満のマンションも多いですが、これらは超富裕層がお住まいのため、維持管理費用を気にするよりもセキュリティーやプライバシーを重視する傾向が顕著です。

 

なので、このクラスのマンションを購入できる方々はあまりマンションの規模を気にする必要は無いと思います。

 

もう一点、総戸数が少ないマンションの場合、住人同士が良好な関係であれば良いですが、逆の場合は理事になる割合も必然的に高くなり、修繕工事の実施の際にはかなりの時間を取られてしまい、気苦労も多くなります。

 

特に総戸数が20戸以下で自主管理の物件の場合には、かなり管理組合の仕事が多いか、逆に何もしていない放置されたマンションのどちらかに該当する確率が高いので、私は基本お客様にはそのような物件は余程のことが無い限り、事前に外す説明をしたうえで、紹介しないようにしています

マンションの管理体制と管理規約について 

「マンションは管理を買え」と言う言葉は一般用語になりつつありますが、私は「管理とは適切な修繕工事の実施と記録」だと思っています。

 

マンションをお客様と内覧に行く際には、事前に「管理規約」、「長期修繕計画書」、「管理に係る重要調査報告書」をもらいます。

 

中には元付会社が取得していなかったり、内覧して気に入れば見せるというケースもありますが、極力取得し、事前に目を通すように心掛けています。

 

適切な修繕工事が行われていないと、マンションの躯体が劣化します。

 

例えば鉄部の塗装を5年~7年程度、遅くとも10年以内に行わないと外部にさらされている鉄部の錆がコンクリート内に入り込み、その錆が更にコンクリート内部の鉄筋に錆を発生させます。

 

錆が出ると鉄筋が錆により膨張し、コンクリートに内部から負荷を与えます。更にアルカリ性のコンクリートが酸性化によって中性化して劣化します。これによりマンションの根幹部分の躯体が脆くなるのです。

 

そのため、私はマンションの案内をする場合には、確認できる範囲で鉄部に錆がどの程度でているか?、コンクリ―トやタイルに亀裂が入っていないか?、建物に水がたまっている部分や苔等が生えた状態になっている部分が無いか?をチェックします。

 

中にはエフロレッセンス現象でコンクリートの成分が溶け出して鍾乳洞にある鍾乳石のようにつらら化した現象が起きているマンションもあります。また大きさも小さくて、鍾乳石のように白ければいいのですが、茶色のエフロレッセンスはコンクリート内部の鉄筋が腐食している可能性があり、このような状態が放置されているマンションは、いくらお客様が気に入っても、私は購入を決して薦めません。 

 

後はマンションの共用部分はきちんと清掃されているか?掲示板は綺麗に貼られているか?、ゴミ置き場はきちんと整理整頓されているか?エレベーター内は清潔感があるか?等について確認することも重要だと思います。

 

オートロック、宅配ボックス、防犯カメラもマンションを選ぶ際の必須項目になりつつあります。

マンション価値を落とさない立地について  

マンションで最も大事な点は地価が下がらない、又は、下がりにくいエリアにあることです。

 

立地で言えば、駅直結、又は駅から徒歩5分以内(遠くても10分以内)、旧藩邸があった場所や華族等が住んでいたエリア(今で言えば各国の大使館があるエリア)で高台が多い、大きな公園の周囲などです。

 

最近は水害も多く発生しているので、上記に該当するエリアでも、ハザードマップで浸水の危険があるエリアは今後人気がなくなっていくと思います。

 

ハザード的な点で言えば、後はJR東海道線(旧国鉄)よりも北側の方が安全とも言われています。理由はJR東海道線は富国強兵を進めインフラ開発を進めた大日本帝国が、地震や津波等でインフラの大動脈である東海道線が利用できなくなった際のリスクも考慮し利便性と安全性を総合的に判断した建設した路線だからです。

 

「マンションは適切に管理すれば100年は持つ」と言われていますが、いつかは建物も寿命を迎えます。RC系の住宅は税法上では47年という耐用年数が決まっています。

 

しかしながら土地は耐用年数はありません。都心一等地は土地が高いため、築年数が相当数経過したマンションでも、ある程度まで下落した後は値段がそれ以上下がりません。むしろ千代田区、渋谷区、港区等の高級住宅地のマンションは、ここ10年で、価格が上昇し新築時よりも高い価格で取引されているマンションも数多くあります。

 

時間をお金で買える立地のマンションは世界がグローバル化した現代では、なかなか値下がりすることは無いと感じています。

 

都心5区であれば駅から離れた閑静なエリアであっても土地の持つポテンシャルがそもそも高いので、駅までの距離は関係ありませんが、都心近郊や郊外であれば、やはり駅近物件をお薦めします。

 

駅から離れた大規模マンションなどでは分譲当初は駅までバスの運行を売りにしていても、分譲後しばらくして、管理費削減のために、バスの運行を取りやめるといったケースも実際に起きています。

 

分譲時はデベロッパーが様々な特典をアピールしますが、分譲後は管理組合に主体が移行するため、当初の管理規約が大幅に修正されることは珍しくありません。

 

マンションは元来、駅から近く土地代が高い土地(高容積率)を有効に活用するための手法です。駅から離れた土地(低容積率)に、わざわざ共有建物であるマンションを建てる必要はあまり無いのです。

 

今はコロナ禍で田舎暮らしや郊外の戸建てにも一部人気が集まっていますが、平時に戻れば必ず利便性の高い都心部の駅近物件に高い人気が戻ってくると思っています。

 

老後は身体も衰えてくるため郊外の戸建てから駅近立地のマンションに人気が集まっています。

 

また、何も都心5区の駅近物件が人気な訳ではありません。

 

例えば、2010年12月に完成しているのでリノベするにはもったいない物件ですが八王子駅直結の住友不動産が開発したサザンスカイタワー八王子は八王子市役所の出張所や市民ホール、スーパー、医療施設が入っており、ここに住んでいれば、ほぼなんでも出来、お出かけや旅行に行く際にも雨にも濡れない駅直結なので、今でも高い人気を誇っています。

 

このマンションは、時代を先取りして、まだ郊外の戸建てがある程度高値で売れた時で、いち早く利便性を求めた高齢者が郊外の戸建て処分(売却)して、入居してきた人が多いと言われています。

 

都心エリアが購入出来るのであれば、それに越したことは無いですが、それなりの値段がしますので、各エリアの基盤となっている駅に近い物件で、先述した内容を満たす物件であれば、値段が下がりいくい価値あるマンションである可能性が高いと言えます。