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耐震適合証明書は昭和57年1月以降は不要に!!

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

2022年6月4日のブログにも記載させて頂きましたが、住宅ローン減税の適用を受ける際に、今までとは違い昭和57年1月以降に登記された建物で登記簿面積が50㎡以上の物件は耐震適合証明書を添付しなくても良い。という令和4年度の税制大綱の内容に変更点が無いか、再度国税局の税務相談室に電話をしてみました。

 

結果は、税制大綱通りとのことでした。

 

でもこれが結構大変で、税務相談室の人の中には住宅ローン減税について詳しくなく、こちらが疑問をなげかけ、「説明内容が違っています」と話をすると、法人税担当なので、所得税に詳しい人間に電話を回すといってたらいまわしにされてしまったり、税制大綱に記載されている内容の通りですとしか言えません。といった回答でした。

 

結局、一番まともな回答をして頂いた方に、そもそも地震大国である日本において国土強靭化計画で旧耐震の物件を無くして行こうという話なのに、旧耐震の物件を新耐震物件として認めるという事が少なからず実際に発生するのは国として如何なものでしょうか?という私の質問に対し、国土交通省と経済産業省が主体でやっており、国税局はその内容に沿っているだけなので答えようがありません。との事でした。

 

まあ相も変わらず縦割り行政の典型的な回答が返ってきましたので、思わず、「ご苦労様です。ご足労をおかけして申し訳ございませんでした。」と深々と頭を下げて電話を切らせて頂きました。

 

と言う訳で、本日現在、この件に関して確認できるのは、国税局のホームページではなく、以下の国土交通省のホームページとなります。

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html

フラット35を利用する場合の適合証明書は住宅ローン減税とは違うので、今後も取得が必要です。
フラット35を利用する場合の適合証明書は住宅ローン減税とは違うので、今後も取得が必要です。

住宅ローン減税のために耐震適合証明書を発行する事案は激減する! 

今までは、例えばマンションで築25年以上経過した物件は決済時までに、耐震適合証明書を発行できる一級建築士がいる発行会社に依頼して、耐震適合証明書を司法書士に渡して登記の手続きをしてもらわないと、住宅ローン減税の適用を受けることができませんでしたが、今後は昭和57年1月以降に登記された建物であれば、ご自身で確定申告を行う必要がありますが、新耐震基準としての扱いになります。

 

これは私の主観的な考えですが、恐らく、民間の金融機関の多くが、新耐震基準を満たす物件以外は住宅ローンをそもそも組めなくしている実態、更に、新耐震基準といっても既に築40年も経過しており、築40年を超えた旧耐震物件の中古物件の流通量は軽微になっているという事も背景にあるのではないかと感じています。

 

ただ、1級建築士救済??のために設けられた制度が事実上、ほぼ多くの方が使う必要が無くなってしまったということは、耐震基準適合証明書を発行していた企業は事業存続の危機に陥ってしまうのではないでしょうか??

 

また、この改正により、下記のようなケースが考えられるので、注意が必要です。

 

〇新耐震なのに築後年数要件に抵触する

昭和56年6月以降に建築確認を取得した建物は「新耐震」と区分されるのですが、昭和56年12月までに建築された建物は、れっきとした新耐震なのにこの新たな制度の築後年数要件に抵触し、住宅ローン減税の適用を受けるには耐震基準適合証明書等を取得する必要があります。

 

〇旧耐震なのに築後年数要件に抵触しない

逆のパターンになりますが、特に高層のマンションなどは建築確認から実際に建築されるまでに相応の期間が必要ですが、「昭和57年1月以降に建築された建物」だと、新たな制度ですと「新耐震」扱いですが、実際には旧耐震の建物であり、大地震の際には倒壊のおそれがある建物が「新耐震」になってしまうのです。

このような建物の場合は、住宅ローン減税の築後年数要件は満たしますが、フラット35や既存住宅売買瑕疵保険、その他補助金などを利用する際には、実態が旧耐震建物なので、耐震基準適合証明書等が必要となるので注意が必要です。

  

〇築後年数要件を満たすが旧耐震扱い

フラット35を利用するため適合証明書を取得するには、建築確認日が昭和56年6月以降であることを建築確認済書や完了検査書などで確認できず謄本しか残されていない建物は昭和58年4月1日以降とするという規定があります。

該当する建物は住宅ローン減税を利用することはできても、フラット35や既存住宅売買瑕疵保険、その他補助金などを利用する際に耐震基準適合証明書等が必要となる場合があります。

金融機関の対応はどうなる?? 

では金融機関はどう対応するのでしょうか?

 

お付き合いしている金融機関に2社程、確認しましたが、金融機関は従前と同様、1981年6月以降に建築確認を取得した物件か、耐震診断で新耐震基準を満たしている物件でないと融資はしないとの事です。

 

当然と言えば当然で、実際に新耐震の物件か旧耐震の物件かによって、担保評価が大きく変わるからです。住宅ローン減税を受けるための緩和要件は単なる制度上を簡素化したものだからです。

 

但し、2年程前、大変な思いをしたのですが、旧耐震物件ですが耐震診断して新耐震基準に適合している物件で、証明する書類があるにもかかわらず、ローンを組むのに、新耐震基準だと評価した際のエビデンスを求められたことがあります。

 

その際は、メガバンクで構造計算書をチェックした書類まで提示し、最終的には住宅ローンを組めたのですが、実際には、購入したお客様がそのメガバンクの主要取引先の役員であったために、かろうじて貸してくれた感がありました。

 

なので、基本築40年を超える物件で住宅ローンを組むのは、今後ますます厳しくなっていくものと思われます。

 

今回の住宅ローンに関する税制改正はあくまでも、住宅ローン減税の適用を受ける際の、手続きが簡素化されただけであり、旧耐震物件がいきなり、全てにおいて新耐震物件の扱いになる訳ではありません。

 

住宅ローン減税を受ける際の、旧耐震物件か新耐震物件の見極めるための手続きにのみ適用される例外規定であり、その他の手続きは今まで通り、新耐震物件の定義は建築確認日が1981年(昭和56年)6月1日以降であることが原則となります。