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2022年の住宅ローン減税はどうなった!?

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

令和4年度の税制改正大綱で決まった住宅ローン減税等に関する内容がここにきて、国土交通省のホームページに記載され、ようやく確定した内容がわかってきましたので今一度、概略をご説明したいと思います。

 

大きく変わった点は

・金利負担の軽減と消費税の増税緩和措置の目的からSDGsが強く意識された制度に変更

・住宅ローン残高の1%控除から0.7%に変更

・築年数要件の緩和

・適用対象者の合計所得金額3,000万円から2,000万円に変更

となります。

 

また、消費税率の引き上げに伴う住宅支援制度として実施されていた「住まい給付金制度」は2021年12月に予定通り、終了し、一定の環境に配慮した住宅の購入やリフォーム工事に際して省エネに優れた商品などに交換できるポイントをもらえる「グリーン住宅ポイント制度」についても2021年12月15日でポイント発行申請の受付が終了しています。

2022年1月以降に取得や居住をされる場合の内容 

住宅ローン控除(減税)は、正式には「住宅借入金等特別控除」という名称で、広く国民が住宅を取得できるように住宅ローンを借りる際に支払う金利負担を軽減するために創設された減税制度です。

 

住宅の建築、購入、リフォーム、またその取得資金で住宅ローンを利用した場合に、その居住開始後の年末借入残高に対して0.7%分が所得税と住民税から減税されます。

 

住宅ローン控除は所得税から控除しきれない場合には、翌年の住民税からも控除できる直接減税の制度です。

 

但し、住民税から減税できる金額には上限があり、所得税の課税総所得金額等の5%(最高9.75万円)までとなります。

 

住宅ローン控除を受けるための主な適用要件は以下の通りです。

1.自らが居住するための住宅であること

2.居住用の割合が1/2以上であること

3.登記簿面積が50㎡以上(マンションの場合では、専有部分の床面積(登記簿上)で判断、階段や通路といった共用部 

  分は含まれません。)

4.合計所得金額が2,000万円以下

5.住宅ローンの借入期間が10年以上

6.引渡し又は工事完了から6ヶ月以内に入居

7.昭和57年以降に建築又は現行の耐震基準に適合

 

但し、床面積要件は令和5年末までに建築確認を受けた新築住宅を取得する場合は合計所得金額が1,000万円以下の人に限り、40㎡以上に緩和されます。

 

中古は駄目で新築に限る点と合計所得金額に1,000万円以下という取得制限がかけられていることがポイントとなります。

 

そのため、買取再販物件はこれに該当しないため、50㎡未満の買取再販物件では住宅ローン減税が利用できないことになります。

 

2022年4月22日にブログで記載させて頂いた内容がこれで確定したことになります。

2022年4月22日のブログ「令和4年度の税制改正で面積要件に変更はあるのか??」

 

それと大きなポイントは前回のブログでも一部掲載していますが、既存住宅の築年数要件(耐火住宅築25年以内、非耐火住宅築20年以内)という要件が、昭和57年1月以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)に緩和されました。

 

新耐震基準を満たした物件でも、昨年までは耐火住宅築25年超え、非耐火住宅築20年超えの場合は、耐震基準適合証明書を別途取得する必要がありましたが、昭和57年1月以降の物件であれば、耐震基準適合証明書を取得する必要が無くなりました。

 

以下に、制度の概要表を添付します。

上記内容で注目するべきは、新築又は宅地建物取引業者による買取再販物件で令和6年以降に入居する物件では省エネ基準を満たさない住宅は住宅ローン減税の対象外になってしまうという点です。

 

いかに国が、省エネに向けた住宅の促進に力を入れているかがわかります。

 

また、注意が必要なのは、既存物件(中古物件)は控除期間が13年でなく、10年であること。また、中古の場合、省エネ基準を満たさない住宅は借入限度額が2,000万円となる点です。

 

これは私のあくまでも私見ですが、国土交通省が中古住宅の流通の促進を図っていくという目標を掲げていることや業界団体からの申し出等により、新築等で省エネ基準を満たさない住宅と同様に住宅ローン減税の対象外にはできなかったのではないか?と感じます。

住宅ローン減税の役割が変わる!! 

住宅ローン減税は恒久的な法律ではなく、あくまでも期限付きの法令という位置づけでしたが、長い間、延長延長が続いて半ば、未来永劫続くかのようでしたが、2022年度の税制改正により大きな節目を迎えたのかも知れません。

 

先述した、「広く国民が住宅を取得できるように住宅ローンを借りる際に支払う金利負担を軽減するための制度」から、「脱炭素社会に貢献する国民に対して税制優遇を行う制度」への明らかな変更となっています。

 

地球温暖化対策で先進国に後れをとる日本において、住宅の建設によるCO2の排出を抑え、削減することは急務となっています。

 

日本だけでなく世界との約束もあるため、今後は住宅を取得したり、建設できる一定の資力がある国民への税制優遇措置という流れに今後も一層傾いていくのかもしれません。

 

住宅ローン減税に対する内容は国土交通省HPで見れますが、2022年6月15日時点で、同省ホームページ内のQ&A等はまだ最新の税制に対応した内容となっていませんのでご注意ください。

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html

 

また、住宅ローン減税の概要を記載させて頂きましたが、条件等くれぐれも個人差がありますので詳細はお近くの税務署にお問い合わせください。

 

 

また表に示したように、取得するマイホームの住宅性能や入居時期によって控除額が変わってきますので、住宅ローン控除を活用したい方は購入時期もしっかり考える必要があります。