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マンション管理適正評価制度

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

マンション管理適正評価制度は、マンションの管理状態や管理組合運営の状態をマークの6段階で評価し、インターネットを通じて情報を公開する仕組みです。

 

一般社団法人マンション管理業協会の講習を修了した管理業務主任者またはマンション管理士が、各項目をチェックして評価を行い、総会決議後、管理組合自らの責任(自己認証)で、情報開示を行います。

 

これまでマンションの管理状態について明確な評価基準が無かったため、一般社団法人マンション管理業協会が不動産関連団体と協力して全国共通の管理に関わる評価基準を作成し、良好な管理が市場で評価される仕組みとして、この制度を創設しています。

 

この評価制度により情報開示を行った各マンションは、健全な組合運営や計画的な修繕の実施など、良好な管理を維持することにより、居住価値の向上が図られます。

 

また、当該マンションのご購入を検討する方にとっても、インターネットで情報が公開されており、自由に閲覧できるため、ご購入する際の判断材料の一つとして、有益な情報源となります。

一般社団法人マンション管理業協会のリーフレット
一般社団法人マンション管理業協会のリーフレット

マンション管理適正化評価制度の対象項目 

マンションの管理状態を5つのカテゴリーに分類し、ソフト面(管理組合の運用)とハード面(建物設備の維持管理)の両方の面の30項目について評価します。

 

1.管理体制

良好にマンションを管理していくには、管理組合の体制や適切な運営が重要で、更に、組合運営をスム-ズにするためのルールが欠かせません。

 

また、管理組合の事業計画、重要事項を決める総会の定期開催や、共同生活を円満・円滑にするための管理規約の有無、会計および業務監査機能を強化するための監事の選任、といった6項目をチェックします。

   

2.建築・設備

建物を健全に維持していくうえで、定期的な保守点検と、適切なタイミングで計画的に修繕工事を行う必要があります。

 

計画的に修繕工事を行うことにより、建物の寿命を大きく伸ばすことが出来ます。

 

そのため、長期的な修繕工事の計画の有無について2項目のチェックを行います。

 

保守点検は、法定点検をベースにしつつ、建物・設備の経年による機能維持、劣化、汚破損等について、定期的、継続的な点検が行われているかについて9項目をチェックします。

  

3.管理組合収支

管理費等の確実な徴収は、管理組合がマンションの適正管理を行う上での根幹的な事項です。

 

マンション内の滞納発生状況と滞納住戸への対応状況については3項目をチェックします。

  

また、安定的に修繕積立金を徴収し、計画的な修繕工事を行っていくことこそが、マンションの寿命を左右するので、長期的な修繕工事の計画に基づく資金計画の設定について5項目をチェックします。

  

4.耐震診断

旧耐震のマンションは、耐震工事が一部では進んでいるものの、耐震性が必ずしも十分でない物件が大半を占め、大地震が発生した場合は甚大な被害も予想されます。

 

被害を最小限にとどめるため、耐震診断の実施の有無、実施後の判定結果、耐震改修工事を実施したといった建物の安全性のチェックを行います。

  

5.生活関連

マンションにおけるコミュニティ形成は、日常的なトラブルの防止や防災減災、防犯などの観点からも重要です。

  

消防訓練や防災訓練の実施、度重なる自然災害への対応を含めた防災マニュアルの作成、居住者名簿の作成や災害時の安否確認体制など、基本的な安全対策や防災グッズなどの備えについての4項目をチェックします。

 

上記5項目の内、各項目の点数を足した合計点でマンションの管理状態を評価します。

 

評価の有効期間は1年間です。

マンション管理適正化評価制度のメリット 

協会はマンション管理適正化評価制度の登録により下記のメリットがあるとしています。

◆管理組合で行う目標設定や運営がしやすくなる。

 

◆1つ1つの課題に取り組み、改善していくことで、管理の行き届いた状態を長期的に維持することができる。

 

◆管理状態の最新の情報を発信することで、市場での好評価が期待できる。

 

◆適切な管理を維持することで、マンションの価値が上がることが期待できる。

マンション管理適正化評価制度の登録料などについて 

マンション管理適正化評価制度の登録方法は下記の通りとなります。

 

①登   録  申   請・・・総会の決議を経て、管理組合よりマンション管理会社へ依頼。

 

②管理状態評価・・・協会指定の講習を修了した管理業務主任者・マンション管理士が管理状況を評価。

 

③登          録・・・評価結果をマンション管理業協会に登録。

 

④公          開・・・マンション管理業協会のホームページ「マンション管理適正評価サイト」に公開。

 

登録公開に伴い発行される登録証は、マンションのエントランスに掲示するなどして、ご自身のマンションの管理状態を評価するツールとして活用できます。

 

マンション管理適正評価サイトでは現在6,564のマンションの情報が公開されています。

 

適正評価制度だけを利用するには登録料として税込5,500円+評価者(管理会社等)評価料と申請手数料がかかります。

 

マンション適正評価制度とマンション管理計画認定の両方を申請する場合には上記費用に加え、公益財団法人マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」のシステム利用料として税込1万円に加え、別途地方公共団体への手数料が必要になります。

 

地方公共団体により手数料の有無や料金は変わります。

上記はマンション管理適正評価制度とマンション管理計画認定制度の違いを表した表になります。

 

名前が似ているので混同しやすいですが、マンション管理適正評価制度は民間団体の制度で、必ず何らかの評価がつきます。

 

一方のマンション管理計画認定制度は地方公共団体の管轄で、サポートはありますが、認定を受けることが出来ないマンションもあります。