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住宅ローン金利で大手の逆襲が始まった!

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

日銀の利上げが第二段階に入ったいま、住宅ローンの金利に大きな変化が表れ始めています。

 

2013年の黒田バズーカ砲以降、大手銀行は支店の賃料や固定費の負担、そして支店担当者の人件費が重くのしかかり、支店を基本持たない身柄なネット銀行に住宅ローンの顧客をながらく奪われてきましたが、ここにきて逆襲が始まっています。

 

大手行は支店の統廃合や住宅ローンの申し込みのネット化にも力を入れて、リストラをどんんどん進めた結果、低金利でも収益がある程度見込まれる体質に生まれ変わってきました。

 

そして、体力が備わってきたタイミングで金利のある世界が戻ってきて、これをチャンスよ捉え一気に、住宅ローン市場に反転攻勢にでています。

 

ネット銀行が急速に伸びた理由は次の大きく3つの項目が挙げられます。

・圧倒的な金利の安さ

・契約手続きの簡素化(更に土日で喫茶店面談もOK etc...

・振込手数料(振込数限度有)や繰上返済時の手数料等の多くを無料化

が挙げられます。

 

その後、契約手続きの簡素化や繰上返済手数料の無料化等は大手銀行も追随していましたが、金利だけはかなり大きな差があり、この部分がネット銀行側でも最大の売りとなっていました。

 

しかし、大手銀行は日銀の継続的な利上げが続くと考え、稼ぎの源になる預金の獲得に再び力を入れ始めています。

 

住宅ローンを融資した場合は、給与口座にしてくれたり、預金や資産運用などの個人顧客として長期的な結びつきが生まれる大きなきっかけになります。

 

そのため、今までネット銀行に押されていたローン金利を戦略的に低く抑え、住宅ローン需要を取り戻す戦略に大きく舵を切ったのです。

大手金融機関やネット銀行の住宅ローンの最優遇金利 

上記の表は2025年1月現在の、新規で物件価格の全額を借入した場合の適用金利(最優遇金利)を最も低い順に並べたものです。

 

基準金利(店頭金利)は金融機関が融資の基準としている金利で、簡易的にいうと「定価」のようなものとなります。

 

適用金利は、基準金利(店頭金利)から、各金融機関が独自に値下げ(割引や優遇)をした後の、実際に住宅ローンを借りる際の金利となります。

 

 

わざわざ、全額新規借入と記載したのかというと、金融機関は自己資金を入れた人に対する更なる優遇金利を設定していたり、団信生命保険や終身医療保険などで様々な特典をつけ、適用金利に差をつけています。

 

また住宅ローンを借入する人の与信によっても優遇幅が変わり適用金利の利率もそれに伴い変わる金融機関もあるので、あくまでもベ-スとなるもので比較する必要があります。

 

最大限金利優遇をしてもっらた場合の金利という同じ土俵が一番わかりやすいので、そこをベースに比較しています。

 

長い間多くの金融機関が2.475%という基準金利を採用(2023年9月14日「金融機関の住宅ローンに差別化が始まった!!」や2024年11月5日「住宅ローンの差別化が加速(その2)」をご覧ください。)してきましたが、日銀の利上げにより、各行の基準金利にも変化が表れています。

 

最初の日銀の利上げ発表後は2.475%から2.625%に変更した金融機関が多かったのですが、みずほ銀行は2.475%のままとなっています。

 

住信SBIネット銀行はもともと基準金利は他行よりも高めの設定でしたが、更に高くなり、3%台に突入しています。

 

但し、その分優遇金利幅が最も大きくなっています。

 

逆にSBI新生銀行の基準金利はとても低い分、優遇金利幅も低くなっています。

 

今後は2025年4月に大きな動きがあると予想されますが、この状態よりも更に適用金利が低くなる可能性は低いものと思われます。

 

理由は日銀の利上げの方向性が着実に固まりつつあるものの、まだまだ低金利の環境下なので、住宅ローンの収益性が劇的に改善している訳ではないからです。

 

住宅ローン利用者の約8割が利用しているとされる変動金利は店舗を基本持たずに低コストが売りであったネット銀行の金利が大手銀行を凌駕する低金利で一気に拡大してきましたが、2024年下期以降は、この優位性が薄れるどころか逆転する結果となっています。

 

ネット銀行は、金利以外にインパゥトのある取り組みをしないと、今後は厳しい経営環境に陥る可能性があるかもしれません。