· 

Z世代の新たな住宅ローンの組み方

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

Z世代が今までの住宅ローンの常識を変えようとしています。

 

住宅金融支援機構が提供するフラット35よりも借入期間が50年と15年も長い、フラット50という融資があります。

 

申込時の年齢が満44歳未満の方(親子リレー返済を利用する場合は満44歳以上でも可)、日本国籍又は永住許可受けている又は特別永住者で、全ての借入に関して、年収に占める年間合計返済額の割合が、年収が400万円以下の場合は30%以下、年収が400万円以上であれば35%以下という条件を満たせばフラット50への申し込みが可能です。 

 

このフラット50への2024年の30歳未満の借入申請件数が719件で2023年と比較して2.6倍と急拡大しています。

 

フラット50の世代別の利用割合は30歳未満が4割弱で30代に続いて2番目に多くなっています。

 

このフラット50の申請が急増した理由としては、第一に住宅価格の高騰が何よりも背景にあるのは紛れもない事実です。

 

その他の要因としてインパクトを与えているのが、Z世代の住宅購入者です。

 

Z世代は、マイホームは早めに取得したいが、趣味なども重視したいという考えから、住宅ローンの毎月の返済額を少しでも抑えたいという考えがあり、これと多少リスクを負っても長く利息収入を得て、また、早い段階から顧客を囲い込みたい金融機関の思惑がうまい具合に一致したことも返済期間が50年の住宅ローンが伸びている大きな要因のひとつになっているようです。

 

近年は若者の持ち家志向が強くなっており、総務省の2023年の家計調査によると世帯主の年齢が29歳以下の2人以上世帯の持ち家比率が35.2%と過去最高になっています。

 

住信SBI ネト銀行は2023年にいち早く最長のローン期間を35年から50年に変更しており、2024年には楽天銀行も融資期間が50年の住宅ローンの取り扱いを始めています。

 

但し、いずれのネット銀行もベースとして返済時の年齢が80歳未満という条件がついているため、実質満年齢で30歳未満までしか最長で50年の借り入れするのは難しいことになります。

 

厚生労働省が公表した令和5年(2023年)の平均余命(寿命)は男性が81.09年、女性が87.14年なので、住信SBIネット銀行や楽天銀行の完済年齢はむしろ適正で、フラット35はかなり緩い基準のように感じます。

出所 住宅金融支援機構
出所 住宅金融支援機構

そもそもZ世代とは何者ですか 

Z世代とは1996年(平成8年)~2015年(平成27年)生まれで、2025年現在だと年齢が10歳~29歳の世代となります。

 

真のデジタルネイティブと呼ばれ、インターネット上への発信力を持ち、インフルエンサーやYouTuberが多い世代と言われています。

 

また、Z世代という言葉は広義で使われており、Z世代に明確な定義や範囲は定められておらず、日本と海外ではZ世代の年齢範囲が多少異なるようです。

 

Z世代は生まれた時から日常生活にデジタルが溶け込んでいたため、真のデジタルネイティブ世代(Y世代がデジタルネイティブ世代)とも言われている所以のようです。

 

子供時代からスマホやインターネットを使いこなし、若くしてインターネット上への発信力を持つことから、インフルエンサーやYouTuberが多く存在する世代でもあり、またビデオ通話アプリの「zoom」を多用することからZoomers(ズーマーズ)とも呼ばれています。

 

結構前の事なので正確な時期はあやふやですが、うちの子供も恐らく2歳くらいの時に、スマホを勝手にいじって遊んでいたので、びっくりした記憶があります。

 

あとなぜ「Y世代」とか「Z世代」というようにアルファベットを使うのかが、そもそもわからず、ずっと疑問に感じていたので、いろいろ調べてみました。

 

Z世代の語源は1953年のフォトエッセイ「Generation X」に由来するようです。

 

1953年にハンガリーの写真家「ロバート・キャパ」が、第二次世界大戦直後に成人期に達した若者たちを写したフォトエッセイに「未知」という意味を込めて、タイトルは「Generation X」と名付けられました。

 

そのほかにも、GenerationXという名の書籍やグループ名がいくつもあるようです。 

 

アルファベットのXを使った世代の呼び方はその後、1991年にカナダの小説家「ダグラス・クープランド」の「ジェネレーションX -加速された文化のための物語たち」がきっかけとなり、一気に浸透していったようです。

 

この書籍は、ビジネス・エリートたちの拝金主義にうんざりし、都会を逃げ出した男女三人の物語で、この内容が国際的にも大きな反響となり、X世代という言葉が幅広く使用されるようになったとのことです。

 

アルファベットで表されるニュー世代は、極端に言ってしまえば、今までの既存の社会生活や社会環境では理解しがたい、考え方や感じ方を持つ未知なる世代を表現しています。

 

いつの時代も「最近の若者は・・・」とぼやく、私を含めたおっさん達の言葉がアルファベットの「X」や「z」で表現されているという感じです。

 

その後、X世代に続いてY世代、Z世代と世代の区分けがされ、Zでアルファベットが終わってしまったので、その後の世代はギリシャ文字のα(アルファ)世代(2010年から2024年までに生まれた世代)と名付けられています。 

Z世代の価値観 

Z世代は先述したように、タイパ(タイムパフォーマンス)重視の効率主義を好み、強い仲間志向と仕事よりプライベートを重視し、多様性を重んじるなど、従来の若者以上に特徴的な価値観を持っています。

 

さらに脱ゆとり世代とも呼ばれていますが、実際にはゆとり教育時に重視された社会貢献や環境、多様性といった教育もしっかりと受けており、他者は他者、自分は自分としての自分らしさを考える世代です。

 

生まれたときから低成長時代・超高齢化社会であり、将来の重荷を悲観的に意識している世代で、更に、コロナ禍によるどこにもぶつけられない社会への不安が心の中に根付いており、何か大切なものを持ちたいという心理的なものがあるからかもしれません。

 

そのためZ世代は持ち家志向が強く、また「趣味」や「推し活」など自分が好きなものにお金をかける傾向にあります。

 

日本のZ世代が全人口に占める割合は15%未満なのでボリュームとしては小さいですが、今後結婚・子育て・住宅購入など数々のライフイベントを迎える時期であり、不動産業界に大きな影響を与えることになります。

 

好きなことにはお金を惜しまない傾向と保守的なための持ち家志向が強いため、人生の転換点である住宅の購入に対しても力を入れると考えられまが、だからと言って何でもいい訳では無く、保守的な価値観も持っているため、消費意識も失敗したくないという保守傾向が強いと言えます。

 

そのため事前にしっかり情報収集して選択的な消費をするため、住宅提案をするには、相場観や住宅ローンの今後の動向など、不動産の購入に関連した多くの情報を、しっかりと説明させて頂くことが不可欠ではないかと考えます。

  

Webという集合知の活用に慣れたZ世代は、他者の失敗や成功を共有し、そこから効率よくゴールに達する高い生産性と効率性を持っており、消費意識・行動に関しては、企業発の公式情報よりもユーザー評価を重視し、自らも商品・サービスの評価を発信していくという、CtoCでの情報交換が活発であることが特徴的です。

 

そのため買ってよかった、買って失敗、という体験も、Web上で共有されていくので、住宅購入の際のバイヤーズエージェントは、しっかりとした相場観の情報提案や住宅ローンの組み方などきめ細かな提案を行えば、大手中小にかかわらず、Z世代にはしっかりと評価してもらえることが出来きると思います。