渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
皆さんはマンションには3つの面積が存在していることをご存じでしょうか?
3つの面積とは、専有面積、登記簿(床)面積、現況床面積の3つです。
専有面積とは、部屋の所有者が所有権を認められている部分で、不動産の販売図面に記載されている面積で、販売面積と言われたり、壁芯面積、台帳床面積とも呼ばれています。
なぜ壁芯面積と言われるかと言いますと、コンクリートは壁に厚みがあるので、その壁の中心で部屋の面積を計算することからこのように呼ばれています。
新築マンションの販売時の面積も壁芯面積となります。
理由は、マンション建設の際の設計段階では内法面積はまだ確定していません。
なぜなら、部屋の仕上げが数ミリ変わるだけで内法面積が変わってしまうためです。
また内法面積の計算は面倒ですが、壁の位置は、設計が完了してもほとんど変わらないので計算が簡単です。
そのため、新築時の販売図面は建物が完成していない事もあり、壁芯面積で販売するため、その物件が中古で販売されてもそのまま壁芯面積を採用して販売します。
そのため、新築マンション中古マンションのいずれの場合も販売時に採用される専有面積は壁芯面積となります。
ちなみに各住戸の専有面積は共有建物であるマンションの持ち分を計算する際にも使われます。
例えば専有面積70㎡の住戸が30戸のマンションであれば210,000分の70,000というような使われ方をします。
登記簿上の部屋の面積は小数点第2位まで表示されるので70㎡ジャストとの場合は100倍の7,000という表示になります。
全体の持ち分も2,100の100倍の210,000という表示になります。

登記簿(床)面積とは
登記簿(床)面積とは、謄本に記載される面積を言います。
内法面積とも呼ばれ、専有部分の壁に囲まれた内側の面積となり、実質的に使用している部屋の面積となります。
おおよそですが、壁芯面積に0.92から0.94程度を乗じた数値が登記簿面積となります。
住宅ローン控除の適用を受けるには、中古物件場合は登記簿面積が50㎡以上(新築の場合は40㎡以上)という縛りがあり、販売図面に記載されている専有面積が50㎡ぴったりの場合は要件を満たしません。
55㎡であれば55㎡×0.92で計算すると50.60㎡なので、住宅ローン控除の要件を満たすことが可能となります。
契約準備を進める段階では当然登記簿面積はわかりますが、内覧物件をどれにしようか悩んでいる段階では、登記簿上の面積まではわからないので、この計算式で50㎡ぎりぎりの物件をふるいにかけることができます。
現況床面積とは
現況床面積とは課税床面積とも呼ばれ、固定資産税や都市計画税の課税根拠となる面積です。
マンションには、住む人たちが共同で利用する外廊下や階段、エントランなど多くの共用部があり、これを、先述したマンションの持ち分で共同で固定資産税と都市計画税の負担をします。
土地に対する税金も、各住戸のマンションの持ち分で負担します。
登録免許税や贈与税、相続税などもこの課税床面積を基に税額が決定されます。
この課税床面積は、売買契約時には不動産の表示の部分で補足説明が行われることが多いです。
またこの現況床面積は固定資産評価証明書に記載されています。
マンションの場合のベースは専有面積
ちなみに戸建住宅は、登記簿上や建築確認も全て壁芯面積となっており、専有面積という用語はマンションでしか利用されません。
また、住戸に付属しているバルコニーは専有面積には入らずに、廊下、屋上、エレベーター、給排水管などの共用設備、窓やサッシ、玄関ドアなど外部と接する部分と同様に、共有部分となります。
但し、部屋の所有者が実質、専用で使うので、バルコニーは専用部分と呼ばれます。
専用庭やルーフバルコニーがある住戸が別途で使用料を払っているのは、共用部分であるにもかかわらず独占的に使用するためです。
以上マンションの場合は3つの異なる面積があるとのお話をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
本来であれば実際に使用できる内法面積で表示する法がより正確であると思うのですが、先述したようにマンションの場合は内法面積ではなく、壁芯面積がいろいろな役目をしているので、この表示方法は今後も変わらないと思います。
もしお探しのマンションの実際の面積(登記簿面積)で物件を探したい場合には実際の面積から0.92割戻した数値以上のお部屋を探せば良いと思います。
実質80㎡以上のお部屋が欲しい場合には「80㎡-0.92=86.95㎡≒87㎡」という計算になるので専有面積が87㎡以上のお部屋を探すことになります。

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