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オフィス不要論が現実化?

ニコニコ動画やオンラインゲームを開発する株式会社ドワンゴは2020年7月1日から在宅勤務制度を本格導入し、対象となる従業員は在宅勤務を基本とし、必要に応じて出社する勤務形態となっています。在宅勤務手当として月額2万円を支給し、出社時の交通費は、定期代ではなく経費精算での支給となります。2020年7月6日には富士通が正式に「Work Life Shift」をかかげ、約8万人いる国内グループの従業員の勤務形態をテレワークとし、月額5,000円の在宅勤務の環境手当補助の支給と通勤定期代の支給廃止(2020年7月から実施)を決め、現状のオフィス規模を50%程度に削減すると発表しました。他にもコロナ禍において、ネット関連企業等によるオフィス退去が報じられています。一方で、今後山手線新駅の高輪ゲートウエイ駅周辺では都心屈指の大規模開発が進行中であり、テレワークの急速な普及によるオフィスの余剰感が心配されています。現在、コロナ禍で半ば強制的に導入されたテレワークですが、人事評価制度の見直しや政府の働き方改革が迅速に行われれば、確かにオフィスの余剰感が出てくるものと思われます。J-REITでのオフィス系REIT銘柄がテレワークによるオフィス不要論と共に軟調との話もありますが、コロナ前の状態が高すぎただけであり、現時点では大きな変化がおきているとは私は思っていません。三鬼商事が公表している東京ビジネス地区といわれる都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の2020年5月時点でのオフィス空室率は1.64%で前月比0.08ポイント悪化していますが、そもそも好不況の分かれ目は空室率5%と言われており、この目線で見る限りでは、まだまだオフィス市場は堅調といえます。株屋さんは市場のニュースを大きく取り上げてことさらに誇張して発信しないと自分たちの儲けの機会が減ってしまいます。不動産投資はもっと長期的な視野で考えないと、結果的には損をします。