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ホテル系リートは買いか?(その2)

ホテル系リートの運営者はコロナ禍でなぜ破綻しないのか?それは不動産の証券化により所有と経営の分離が行われているからです。不動産の証券化の市場拡大と共にJ-REITが拡大し、当初は三井不動産や三菱地所といった不動産大手がオフィスビルや住宅を中心にJ-REITを拡大させていきましたが、市場の拡大と成熟によりホテル運営者である共立メンテナンスや星野リゾート等がJ-REITに参入してきました。その際に景気や季節変動の影響を大きく受けるホテルリートに組み込まれる物件の運営者は多くの物件で変動賃料を採用しました。一定以上儲かった場合には投資家により多くの利益を分配し、逆に儲からない場合には分配金が減少する仕組みです。旺盛なインバウンド需要のもと、ホテルリートも拡大していき、ホテルは景気変動リスクがあることを皆すっかり忘れていたところに今回の新型コロナが観光業界を襲いました。私は12年前の2008年にホテルの開発をおこなう投資顧問会社の役員をしていましたが、リーマンショックにより、会社は破綻してしまいました。まさに12年周期。その際、開発型証券化の仕組みを利用した物件もありましたが、多くは自社で借入をしており、急激な資金繰りの悪化により破綻しました。リゾートホテル等は広大な敷地と建物と多くの従業員を雇うために膨大な維持費用がかかりますが、証券化による変動賃料の採用により、不況時にはその維持費用の多くを投資家に負担させることが可能になっています。今回の新型コロナによる観光業の損失は計り知れない程大きく、多くのホテルや旅館が廃業に追い込まれる可能性が高いですが、自らが所有していた物件をホテルリートに売却して費用負担が軽くなった、共立メンテナンスや星野リゾートといった業界を牽引する優良企業は、苦しい経営をしばらくは強いられると思いますが、まず潰れないのではないか?と私は思います。ここ数年間は投資利回りは非常に低いと思いすが、今、余剰資金を全くと言ってもいい程利息がつかない銀行に預金をしておくのであれば、晴れて新型コロナが終息した際には、それなりに投資口価格の上昇と分配金が期待されるホテルリートへの投資も一種の社会貢献も含めて考えてみても良いかもしれません。