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ホテル投資の重要指標「ADR」と「RevPER」

投資用不動産を購入する際の指標は大雑把に言うと「年間の収入÷自分の期待する利回り=購入金額」となります。賃貸住宅やオフィス、店舗であれば月額賃料は通常決まっているので月額賃料と自分の期待する利回りがわかっていれば、計算は簡単にできます。しかしながらホテルの場合は客室のグレードやタイプだけでなく、好不況や季節、週末や平日の違いなどにより宿泊価格は常に変化し、稼働率も大きく変動するので、簡単には計算できません。そこで参考指標となるのが「ADR(Average Daily Rate)」と「RevPER(Revenue Per Available)」です。

ADRは一定期間の間に販売した客室(お客様にご宿泊頂いた客室)の値段の平均値です。通常1年間の合計と各月の数値を出します。

RevPERとは一定期間の間に販売した客室売上高をお客様が宿泊可能な状態にある空いている客室も全て含めた合計客室数で除した金額となります。この数値も1年間の合計と各月の数値を出すのが基本です。値下げをして稼働率をあげるか、稼働率が下がっても客室の価格を下げない(安売りしない)かは、ホテルの支配人と経営者の腕にかかっています。理想はADRとRevPERにほとんど乖離が無い状態です。逆に今回のようなコロナ禍では値段をいくら下げてもお客様が来ないのであれば、ホテルの格式を下げないためにも値段を下げないという手段もあります。この手法を選んだのは、星野リゾート・リート投資法人が保有するスモールラグジュアリーホテル「星のや」と高級温泉旅館「界」ブランドです。ジャパン・ホテル・リート投資法人の所有するホテル日航アリビラ(沖縄県読谷村)はコロナ禍での営業は困難とし、2020年5月は全館休館という手段をとっています。

最後に、もうひとつ重要な指標があります。それは売上高です。この売上高には宿泊施設の販売単価の他に、一体として運営している施設の利用や料飲食代も含まれたサービス金額全体となります。そのためADR×総販売客室数=宿泊売上高と売上高に大きな差異があるホテルは宿泊以外にホテルが運営する飲食店や店舗、アクティビティがより充実しているということになります。