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不動産取引における告知事項に関するガイドライン(案)(その2)

渋谷区を中心に中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

今回は告知事項に関する中で、借主又は買主に告げるべき期間等についてお話しします。

告知内容は借主と買主では異なる! 

不動産取引では売買契約と賃貸借契約では、取引金額やトラブルが生じた場合の損害は、売買契約の方が高額となり、買主が被る損害は借主と比較して多大なものになりやすいために、買主に告げる内容と借主に告げる内容は、双方の事情に応じて異なるために、分けて考えるべきとしています。

 

取引の対象となる不動産において、過去に告知するべき事案が発生した場合には、これを認識している宅地建物取引業者が媒介を行う際には、事案の発生時期、場所及び死因(不明である場合にはその旨)について借主・買主に対してこれを告げるものとしています。

 

また、今回のガイドライン(案)では人の死亡が生じた建物が取り壊された場合の土地取引や隣接住戸や共用部、前面道路で生じた事案の取り扱いや、搬出先の病院で死亡した場合の取り扱いについては、今回のガイドライン(案)の対象とはせずに、今後の蓄積を踏まえて、適時にガイドラインへの採用を検討するものとしています。

 

告知するべき内容は借主・売主・管理業者に照会した内容をそのまま借主・買主に告げるべきとしており、この部分は借主・買主による特段の相違はありません。

賃貸借契約の場合の告知するべき期間について 

告知するべき内容については、事件性、周知性、社会に与えた影響等により変化するものと考えられますが過去の判例では

 

★住み心地の良さへの影響は自死等の後に第三者である別の賃借人が居住する事実によって希薄化するとした判例。

 

★自死が起きた後には、賃貸不可期間が1年、賃料に影響が出る期間が2年であるとする判断された事例。

 

があり、また公的賃貸住宅においても、事案発生後の最初の入居者が退去した後は通常の住戸として募集する運用が長らく行われています。

 

これらを踏まえ、特段の事情が無い限り、告知事項に該当する事案の発生から概ね3年間は、借主に対して、これを告げるものとしています。

 

同様に、告知するべき事案ではないものの、人が死亡し、長期間放置されたこと等に伴い、特殊清掃等が行われた物件についても、同様に、特段の事情が無い限り、事案の発生から概ね3年間は、借主に対して、これを告げるものとしています。

売買契約の場合の告知するべき期間について 

売買契約においては、告知するべき期間等について一定の考えを整理するうえで参照すべき判例や取引実務等が、現時点において十分に蓄積されていないとして、当面の間は、告知するべき事案が発生している対象不動産については、宅地建物取引業者は調査を通じて判明した範囲で、買主に対してこれを告げるものとしています。

 

また、事件性が無い場合でも、人が死亡し、長期間放置されたこと等に伴い、特殊清掃等が行われた物件についても、同様に、調査を通じて判明した範囲で、買主に対してこれを告げるものとしています。

 

なお、賃貸借契約でも売買契約でも、社会的影響の大きさや、借主・買主が心理的瑕疵について重要視する場合には、トラブルの未然防止のために、慎重に対応することが望ましいとしています。

 

但し、亡くなった方の遺族等、関係者のプライバシーに配慮することが必要なことから、氏名、年齢、住所、家族構成や具体的な死亡原因や発見状況等を告げる必要はないとしています。

 

借主・買主に事案の存在を告げる際には、後日のトラブル防止の観点から、書面の交付等によることが望ましいとしています。

 

結びとして、社会情勢や人々の意識の変化に応じて、適時に見直しを行うものとしています。

 

告知するべき内容が非常にデリケートなものなので、今後の意見公募の反響等の大きさにより、多少内容が追加又は削除等される場合もあるかも知れませんが、概ねこの内容でガイドラインが正式なものになるのではないか?と思われます。