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壁からの漏水箇所の特定は難しい??

渋谷区を中心に中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

今回は台風や暴風雨により漏水が起こった場合の対応策等についてお話したいと思います。

横殴りの雨の日は漏水が多い!? 

さる7月2日金曜日の夕刻に、賃借人から壁から漏水しているとの連絡を受けました。区分所有建物でしたので、管理会社に連絡を取りましたが、時間が遅かったことや、雨漏りの対応が出来る業者が手配できなかったこと、翌日が土曜日だった等々により、現地で業者と現地確認が取れたのは4日後の7月6日の午前中でした。

 

業者の方に聞いたところ、7月2日は横殴りの雨だったため、漏水の連絡がたくさんあり、パンク状態です!と言っていました。

 

私の経験からすると横殴りの雨の場合、外壁に水が溜まり、それが室内の換気の影響でサイフォン状態となり、水が内部に侵入してきます。これは私のあくまでも体験に基づく、私的な意見ですが、外壁がALC版を使っていて、ある程度築年数が経過している建物がやばいという感覚を持っています。

 

サイフォン状態というのは、ホースで水を吸いこみ続けると、水が勝手に流れてくるという原理です。この原理を確かめるには、最近あまり使用しないかもしれませんが、灯油ポンプが最もわかりやすいです。

漏水は場所を特定するのが難しい!? 

今回は時間が経過してしまっていたため、漏水の痕跡がほとんど残っておらず、たまたま漏水を発見したのが、内装施工中の監督だったので、状況を説明してもらい、上からの漏水ではなく、床と壁の立ち上がり部分に集中していたとのことで、その部分の外壁部分を調査しました。

 

結果は、シールがカッターで切ったように破断していました。シールのうえにジョリパッド(でこぼこ感のある外壁塗装材)で施工されていたのでわかりにくかったのですが、床とALCの立ち上がり部分を押してみてわかりました。

 

大規模修繕工事を3年程前に行っており、ウレタン塗装も綺麗でしたので、おそらく、ジョリパッドの下に隠れているシールの打ち替えをしていなかったのではないか?という感じです。

 

見た目を重視した外観で、後々の修繕工事を考えない設計であった可能性と、そのような仕様であったために、大規模修繕の際に、修繕工事会社がジョリパッドで隠れてしまっているシールを見落とした??という理由ではないか?と個人的には感じています。

 

ただ調査結果が出ないとはっきりしたことはわからないので、とりあえず調査結果を待とうと思っていますが、原因箇所が今回はすんなりわかり、足場をたてないでも施工できる場所なので、それほど難しくないと思われ少し安心しています。

 

通常の漏水はこんなに簡単にはわかりません。以前現場にいた際にもALC版の漏水で大変な思いをしたことがあります。鉄骨造のALC版の外壁の建物で、1階部分が塾でしたが、その壁の壁がびしょびしょになったのです。

 

調査に行ったのが、やはり日数がある程度経過しており、水が流れた痕跡も消えており、あたりをつけて、そこから水を流しましたが、漏水場所にはその流した水がしみ込んできませんでした。

 

いくつか予測がつく場所のほとんどで同様の作業をしたのですが、おおもとの漏水箇所が特定できないため、外壁に高圧洗浄をかけ水が流れる経路を確かめようとしましたが、これでも特定はできませんでした。

 

最終的に、場所は特定できたのですが、なんと上層階の部屋で、たまたま退去時の原状回復工事が必要でしたので調査したところ、横引の下水管が一部破損しており、そこから漏れた水が、時間をかけてたまり、下階へ徐々に流れだしていたことが判明しました。

 

更に、やはりわかりずらい部分のシールが切れている部分も発見され、1階の塾の部分に集中して漏水がおきていました。

 

たまたま大規模な原状回復工事をする部屋があったので発見できたものの、通常は、建物は完成してしまうと、建物の一部を壊したりしない限り、中の状態がどのようになっているかはわからないため、漏水を調査しても結局、何が原因で漏水が起きたのかわからないといったケースもあります。

漏水した時期の多くは直ぐに修繕工事が出来ない?? 

屋根や壁からの漏水が発見されるのは大抵の場合、梅雨の時期、台風の時期、秋雨の時期になります。

 

たとえ場所が特定できたとしても、今度は雨が降るとシールの打ち替え等が出来ません。

 

また、今回外壁に使用されているジョリパットは表面に凹凸があり、その部分に横殴りの雨で水が溜まった状態になったため漏水が起きています。ジョリパッド自体も水を含んでしまっており、ある程度乾かさないと劣化の原因になります。

 

ジョリパッドは耐久性や耐火性にも優れた製品ですが、一度水を含んでしまうと乾きにくいため、直ぐに修繕工事が出来ません。むろんシールの打ち替えも雨の日は避けるべきです。

 

漏水は建物を劣化させるため早急に修繕工事を行うべきですが、天候を見て判断しないと意味がありません。

 

仮に強引に雨の日に施工すれば、建物を修繕する材料が水を含んでしまった状態となり決して良い状態とは言えません。

 

先述したように、漏水が発見される日は多くの場所で漏水が起こります。早く修繕したいにも、業者は手一杯、雨で計画も立てずらいという非常に悩ましい問題が立ちはだかります。