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マンションリノベで注意すること(構造編)

渋谷区を中心に中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

今日はマンションをリノベする際に注意することとして、マンションの構造について話したいと思います。

壁式構造とラーメン構造とは? 

壁式構造のマンションとは、壁で建物を支える構造体のマンションで、基本は5階建までしかたちません。床、天井、壁の6枚の壁で構成される構造で、ラーメン構造よりも地震に強いとされています。

  

また、柱がないため、壁に凸凹がなく、室内がすっきりします。但し、ラーメン構造でもアウトフレーム工法を採用したマンションは建物の外側に柱があるため、壁式工法と同様に室内に凸凹がでません。

 

ラーメン構造とはドイツ語の「Rahem」が語源で、「枠」という意味です。要は柱と梁で建物を支える構造になっているため、室内に構造壁が無いため広い空間作りが可能です。

 

またラーメン構造と壁式構造をかけあわせたハイブリット式のマンションもあります。

 

ラーメン構造の中には鉄骨鉄筋コンクリート造と鉄筋コンクリート造があり、鉄骨鉄筋コンクリート造のほうが耐震性に優れていますが、構造に係るコストが高く、設計の自由度も低くなります。

 

鉄筋コンクリート造の中には高層マンションに使われる高強度コンクリート(HRC)造という粘性の高いより強度の高いコンクリート造もあります。

  

いずれも私がゼネコン時代に会社の技術者や設計事務所の先生から教えて頂いた知識なので、もしかしたら技術が進化しているので内容が多少異なっているかもしれません。

 

それと稀にですが鉄骨造の分譲マンション(ニチモプレハブ等)がありますが、税法上の耐用年数や音の問題等げネックになる場合があるので、弊社ではお薦めしてません。

壁式構造のマンションよりもラーメン構造が自由度が高い!? 

スケルトン状態(内装部分を全部取り除いて、マンションの室内を空箱のような状態にした状態)にして、1からからフルリノベーションを行う場合には、壁式構造のマンションよりラーメン構造のマンションの方が自由度が高い場合が多いと言えます。

 

 内見の際に、壁式構造やハイブリット式のマンションでよくみられるパターンが壁を支えるように壁の内側にサポートのような構造壁があります。1枚の壁よりもサポートがあるTの方が構造体としてはしっかりするのですが、構造壁なので壊すことが出来ません。

  

但しこの構造壁のTの部分は長さがそれ程長くないので、うまく利用すればさほど邪魔な存在にはなりません。

 

問題になるのは 、部屋の中央や部屋をまたぐ形の構造壁です。フルリノベーションを希望する家庭の多くが、家族と長い時間を過ごす広いリビングダイニングを作りたいのでこの構造壁が取り払いたいのですが、構造壁のため取り壊しが出来ません。

 

弊社では内覧の段階、もしくは販売図面を見ている段階でどの壁を取り壊すことが可能か可能でないかは、チェックするので、ほぼほぼ問題はありませんが、契約した後や引渡し後では取り返しがつかなくなり、部屋を紹介した仲介会社が買主から訴えられたという話を聞いたことがあります。

新耐震と旧耐震 

マンションの構造で、忘れてはいけない大事なものがあります。

 

それは1981年6月1日以降に建築確認が出され新耐震基準のものか、それよりも前の旧耐震の物件であるかです。

 

新耐震基準は1978年に起きた宮城県沖地震で多くの家屋が被災したため、都市型災害を防ぐ目的で設計基準が見直されたもので、1995年に発生した阪神淡路大震災でその安全性が実証されました。

 

メガバンクでは基本、みずほ銀行を除いて、新耐震基準の物件でないと住宅ローンを組むことができません。

 

新耐震基準を満たした物件でも、金融機関の中には、かなり内容を細かくチェックする場合があり、新耐震基準を満たしたステッカーがエントランスに貼ってあるマンションでもローン審査を通過しない場合もあります。

 

また、先述したように新耐震基準はあくまでも1981年6月1日以降に建築確認が出されたものであるために、建物の高さや規模によって、完成年月日(竣工日)が異なることです。

 

さらに、新耐震基準が施行されると建築費が高くなるとのことで、建築確認を先に取得して後から建物を建設したという事例もあるため、1982年から1983年上期くらいまでに竣工したマンションは役所で調査しないと旧耐震基準のマンションか新耐震基準のマンンションであるかがわかりません。

 

新耐震基準を満たした物件はそれがアピ-ルポイントとなるため、しっかりた不動産会社であれば事前調査を行い販売図面に記載しますが、事前に調査していない場合や旧耐震の場合の多くは完成時期しか記載が無いため、この年代のマンションを購入する際には注意が必要です。

 

逆に旧耐震物件でも新耐震基準を上回る設計強度を保つ建物もあります。建築基準法で定められた基準は、ルールの最低値を決めているだけなので、強度の高い建物を建てることには何の支障もありません。

 

生命保険会社は多くのビルを持っていますが、自社基準でかなり高い強度の建物を建設している場合が多く、1981年6月以前の建物でも新耐震基準を満たした物件が数多くあると言われています。

 

分譲マンションの場合は日商岩井や日興不動産のスカイマンションなどでは旧耐震物件でも新耐震基準を満たしたマンションが複数あります。

 

旧耐震物件、且つ、

・1階部分がピロティ方式といって、駐車場等になっており、壁が少ない建物

・複雑な形をした建物

・同一建物で高さに違いがある建物

などは箱型のマンションよりも地震に弱いと言われておるので、購入する際には、慎重に判断しましょう。

 

また、断層をまたぐマンションは地震で断層にずれが生じた場合にはどうにもならないので、そのような場所に建つマンションの購入を控えたほうが賢明だと思います。

 

最後になりますが、気を付けないといけないのが新耐震基準を満たしていても、大地震の際には建物に損傷が出る可能性があります。

新耐震基準では

・震度5レベルの地震では建物がほぼ損傷を受けない

・震度6強から7程度の地震でも倒壊しない

という基準であり、それよりも大きな地震が来た際に建物が損傷しないとは記載していません。私が住んでるマンションは新耐震基準の物件ですが、東日本大震災の際に、エントランスの吹き抜け部分のガラスブロックが相当数破損しました。

 

心配な方は大規模修繕の履歴を参照すれば、東日本大震災時の修繕費用と言った名目で修繕工事が履歴に残っている場合がありますので購入前に確認してみると良いでしょう。