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東京23区の都市ランキング

渋谷区で中古マンションの売買仲介を中心に行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

今日は、森記念財団から日本の都市特性評価の2021年版の概要が公表されましたので、その中から東京23区のランキングを2018年からの時系列でみてみたいと思います。

 

この日本の都市特性評価では、「経済・ビジネス」「研究・開発」「文化・交流」「生活・居住」「環境」「交通アクセス」の6分野の26指標グループを設定し、更に26指標グループを構成する指標を計86項目(2018年は83項目)設定した分析で都市特性を客観的に評価し、都市の強みや魅力を視覚化、更に定量データを使い都市戦略立案・検証に活用しやすいデータを公表しています。

 

様々な角度から多角的に検証しているので、私たちのような不動産にかかわる仕事をしている人だけでなく、他分野の方やこれから不動産を購入したいと思っている多くの方々に見てもらいたいデータブックです。

 

詳細版は有料ですが、無料公開されているデータだけでも多くの情報を得ることができます。

 

森記念財団日本の都市特性評価2021はこちら

上位3位は不動の千代田区、港区、中央区 

不動の1位はなんといっても千代田区です。官公庁や日本を代表する企業のオフィスが集積し、立法、司法、行政の三権の拠点となっています。また世界屈指の最高級クラスのホテルも集まっています。

 

子育て支援も手厚く、また税務署の公表する年収ランキングでも申告給与所得者の令和元年の平均給与は日本断トツの1700万円超え(麹町税務署管轄内)、三鬼商事の2021年7月のオフィスマーケットデータによると東京ビジネス地区(都心5区)の7月の平均空室率が6.28%にもかかわらず、千代田区の空室率のみが4.54%と5%を切り、オフィス賃料も最も高くなっています。

 

更に皇居の存在による緑豊かな環境と皇居西側の番町麹町エリアは英国大使館をはじめ多くの大使館と高級マンションがあり、居住系として日本屈指の高級住宅街(マンション)エリアとなっています。

 

港区は外資系企業や米国大使館をはじめとする多くの大使館があり、国際色豊かなエリアであり、六本木ヒルズや東京ミッドタウン、虎ノ門ヒルズと次々に新たな大規模施設ができ、時代の最先端を行き、進化し続ける区です。また麻布エリアは高級住宅街として高い人気を誇っています。

 

中央区は湾岸部にタワーマンションが次々と建設され、ファミリー世帯が多く移り住んでいます。東京駅周辺へのアクセスも良く、住みやすさに加え、街路の清潔さが高い評価となっています。

 

また日本橋、銀座、京橋、八重洲、人形町といった歴史ある商業エリアを擁しており魅力的な街となっています。

 

長年4位の座を守っていた新宿区を抜き4位に浮上したのが渋谷区です。渋谷駅周辺の東急グループを核とした100年に一度の大最規模開発や渋谷区役所の再開発等により、ますます渋谷の魅力が高まっています。

 

上記内容は私の意見と感想であり、日本の都市特性評価2021の概要に記載されている内容と異なるかもしれませんのでその場合は何卒ご了承ください。

ハザードマップや潮風が気になるエリアも 

千代田区、港区、中央区が不動の上位3区というのはわかりますが、その中のエリアであればどこでも問題無いという訳ではありません。

 

特に近年は地球温暖化による自然災害が猛威をふるっています。中央区は多くが埋立地のため、それらの地域は海抜が低く、津波や高潮の危険性があります。

 

くしくも、9月2日ハリケーン「アイダ」から変わった熱帯低気圧の影響でニューヨーク市は記録的な大雨となり緊急事態宣言が出されました。大規模な浸水被害がおき、地下鉄構内にも大量の水が流れ込み、死者も出ています。

 

ニューヨークはセントラパークと皇居を重ね合わせ、似ていると言われることがありますが、今回の災害は他人ごとではない感じがします。

 

また、今回7位に入った江東区や9位の台東区、13位の墨田区などは中央区と同様、海抜が低いエリアが相当数あるため、大規模自然災害が発生した場合には、かなりの浸水被害が予想されます。

 

これら災害は滅多に起こりませんが、起った場合には甚大な被害を及ぼすため、利便性や住環境の快適性だけでなく、自然災害に対するリスクの優先度をかなりあげて、物件選びをした方が良いと考えます。

 

また、海が見える景色は私も大好きですは、潮風は建物には良くありません。以前、私は浜松町でホテルを開発したことがあるのですが、建物の1年目点検を行うために屋上に上った際に、わずか1年で屋上の鉄骨部分にかなりの錆がでており、愕然としたことがあります。

 

鎌倉の134号線沿いの分譲マンションを見にいった際にも大規模修繕のサイクルが短く、修繕積立金が高かったことを覚えています。

 

街として高い人気があるエリアであっても、海が近いとかタワーマンションの場合には修繕費用が割高になる可能性が高く、土地が低いエリアでは建物が浸水して甚大な被害を被る場合があります。

 

これらを考慮して街選びをしましょう。但し、修繕積立金が高くても全く問題無く、海が見えるマンションであったり、高層マンションの上層階に住みたい方は、優先度が高いマンションに住んで頂くことが一番だと思います。