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令和4年度以降の個人間売買での住宅ローン控除について

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介をしている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

令和3年12月24日に閣議決定された令和4年度税制改正の大綱が発表されてから、結構日数が経過しましたので、最近ではあまり話が出なくなりましたが、個人間でマイホームを売買した際には、紙面などで大きく取り上げられた内容とは、借入限度額等が異なりますので注意が必要です。

個人間売買の住宅ローン控除の借入限度は2,000万円で、期間は10年です。 

ニュース等では、住宅ローンの超低金利の定着により、住宅ローン控除による逆ザヤが問題視され、「借入限度額4,000万円が令和4年には3,000万円に縮小され、控除率も1%から0.7%に縮小し、控除期間は10年から13年に延長された。」

 

と言うのが、一般的に報じられた内容です。

 

でもこの内容は、新築又は再販買取業者である宅地建物取引業者がリノベーションして販売する居住用の住宅にしか適用されません。

 

個人間で売買される物件については、住宅ローン控除の借入限度額は一律2,000万円で控除期間も一律10年となっています。

 

控除率は0.7%と変わりません。

 

要は法人税を支払ってくれる不動産業者が仲介ではなく、直接売主になり、国土交通省が認める一定要件を満たす改修工事をを行った住宅だけを優遇するということです。

 

法人税を多く支払ってくれる企業に国がメリットを与えるという極めてシンプルな形と言えます。

 

今までも、個人間売買においては借入限度額は最高で2,000万円で、控除期間は10年でしたが、控除率が1%から0.7%に下がったことにより、戻ってくる税金が最大で累計で200万円だったのが140万円と60万円、年額で6万円減るという計算になります。

 

実際には、ローンを毎月支払うので10年後には、借入残高の額が2,000万円を切っている場合も多いので、ここではあくまも最大値として説明させて頂いています。

 

個人間売買と不動産会社が売主物件である物件とでは、住宅ローンの控除額が異なる場合があることを知らないで、新築の際の控除額を説明し、後でトラブルとなった不動産業者は最近見かけなくなりましたが、今回の税制改正で適用期間を不動産業者と同じ13年と勘違いしている不動産業者が早くも散見されているので、個人間売買で不動産を購入する方は、しっかりと頭に入れておきましょう。

新築の場合でも居住する年等により借入限度額が異なります! 

実は、新築又は不動産業者が売主の中古物件でも居住する年によって、借入期間と控除期間が異なります。

 

令和4年と令和5年に居住した方は借入限度は3,000万円となりますが、令和6年と令和7年に居住される方の借入限度は2,000万円となり、控除期間は13年から10年に短縮されてしまいます。

 

但し、特例があり、カーボンニュートラルの実現に向けて、認定住宅(長期優良住宅、認定低炭素住宅)、ZEH(ゼッチ)水準省エネ住宅(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)、省エネ基準適合住宅は、それぞれの基準に応じて、借入限度額が最大で5,000万円となり、控除期間は一律で13年となります。

 

SDGsへの貢献度に応じて、企業にも、住宅を購入する個人にも税制優遇のメリットを与えるという考え方になっています。

 

ただ、マンションや戸建てを一般的な仕様で建築するだけでは、今後は、消費者に敬遠される可能性もあり、最新の省エネ対策をした建物を開発しない業者は淘汰されていく可能性が高くなります。

 

リーマンショックで振るいにかけられた不動産会社に、またしても大きな試練が待ち受けているのかも知れません。