· 

住宅ローン控除の際に発行される耐震基準適合証明書が不要になる??

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

前回お話した内容と一部かぶりますが、令和4年度税制改正の大綱によれば、住宅ローン減税の適用対象となる既存住宅の築年数要件を廃止する旨の文言が記載されていますが、耐震基準適合証明書は今後は不要になるのでしょうか?

建築日付が昭和57年1月1日以降は新耐震!? 

税制大綱には「適用対象となる既存住宅の要件について、築年数要件を廃止するとともに、新耐震基準に適合している住宅の用に供する家屋(登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の家屋については、新耐震基準に適合している住宅の用に供する家屋とみなす。)であることを加える。」と記載されています。

 

従前は、「家屋が建築された日からその取得の日までの期間が20年(マンションなどの耐火建築物の建物の場合には25年)以下であること。」となっており、この年数を1日でもオーバーした場合には、耐震基準適合証明書を発行することができる1級建築士の登録がある機関に、耐震適合証明書の発行を依頼しなければなりませんでした。

 

そのため、マンションは比較的安易に耐震基準適合証明書は取得できましたが、耐火建築物でない戸建て等はこの耐震基準適合証明書を取得するのに大変でした。

 

これが、一律に「原因及びその日付(登記の日付)」が昭和57年1月1日であれば良いということなったと、税制大綱には記載されているのです。

 

これはある意味「ざる法??」あるいは、逆に、「不動産流通の促進につながる良い法律??」という禅問答のようになり訳がわからなくなってしまい、国税局や国土交通省のホームページを探しましたが、それ以上のことは何等記載がなく、結局、国税局の税務相談室に電話をしました。

 

結果、「税制大綱記載されている以外についてはわかりません。」という回答がきました。

 

論理的におかしくないですか?それでは今までのあの厳格さはなんだったんですかね?と何度も聞き返して、やっと通常だと6月くらいに国税局のホームページに詳細が記載されるとの事でしたが、「私たちもわからないのです。」というのが結論でした。

 

国税局が正式に通達を出すのを待つしか無いという結論に至りましたので、また、これは追々議論するしかないかと感じています。

法令改正により旧耐震が新耐震となってしまう物件が、存在する!! 

戸建の場合は上記タイトルに合致する物件はまず無いと思いますが、マンションの場合は確実に存在します。

 

新耐震物件の要件は確認申請を昭和56年6月1日以降取得したものとされていますが、確認を取得してから、直ぐに着工しない場合もあれば、例えば地上15階の物件であれば工期は18ヶ月程度かかります。

 

私がゼネコンにいた頃、階数+3ヶ月(基礎工事)+1ヶ月(外構工事)が建設工期の目安でした。

 

実際に新築登記された日が昭和58年なのに、建築確認通知書が昭和56年6月1日より、前であった物件も実際に今までで見てきています。

 

ちなみに建築確認通知書という名称は1999年の建築基準法改正前の呼称で現在は、「確認済証」又は「建築確認済証」という名称に変更されています。

 

今までの不動産調査で常識であった「新耐震基準の判断は、建物が完成して新築登記された日付ではなく、建築確認通知書の日付で判断する」が、いとも簡単に行政サイドによって、覆されてしまったということになります。

 

これらは旧耐震物件であるにもかかわらず、今後は正々堂々と新耐震物件と言えてしまうのです。

 

もう20年以上前になりますが、ゼネコン時代の先輩いわく、新耐震基準に法令改正される前に、役所からの指導で、昭和56年6月1日より前に申請を出す場合も、新耐震基準で設計するようにとの指導があったと聞いていますが、逆に、構造にお金がかかるイコール建築費があがるため、駆け込み需要もあったとも、設計事務所の大先生や、建築主にも聞かされた事を覚えています。

 

今回の法改正はこのままの形で行くと思いますが、怪しい年代の物件を購入する際には、気になる方は、建築概要書や台帳記載事項証明書を取得して、建築確認通知書の取得がいつ行われたかを確認された方が良いと思います。

 

また、ふたつ注意点があります。

 

一つ目が、フラット35の適合証明書は全く違うものなので、勘違いしないようにご注意ください。

 

二つ目が、木造建物の場合は、2000年6月に建築基準法が再改正されているため、2000年5月以前の木造建物は、新耐震基準の建物ですが、現行の耐震基準には適合していませんので、「木造住宅は(住宅ローン控除受けれらる=現行の建築基準法)ではない」点が注意が必要です。

 

また既存住宅売買瑕疵保険加入の際に必要な「新耐震基準を有することの証明書」には変わらず、耐震適合証明書が利用できます。