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はしご車は火災時に何階まで人命救助が可能なの??

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

2000年前後から、タワーマンションが至るところに建設され、特に都心湾岸エリアにはタワマンが乱立している状態です。

 

タワマンでなくても10階建て以上のマンションは至るところにありますが、火災時等に逃げ遅れた際、はしご車は果たして何階まで届くのでしょうか?

はしご車は14階程度までなら人命救助が可能!!

マンションで火災が発生した場合、最も多い30メートル級のはしご車の場合で、通常10階前後です。

 

消防署によっては40メートル級はしご車が配置されており、この車両であれば14階前後まで届きます。

 

はしご車の基本は40m級はより高い建物へ対応し、30m級はより離れた場所(はしご車が設置できる場所からより距離がある建物)に対して活動することができます。

 

また、電線等の障害物(架電障害)やセットバックしている建物に対応するために、先端屈折式はしご車もあります。

 

先端屈折式はしご車は、バスケット方式の30m級はしご車で最上連のてい体の先端が、3m程度屈折することで、架電障害やセットバックしている建物に対応しやすいほか、屋上面や高架の道路上にバスケットを近づけることが可能となっています。

 

ただ、それらのはしご車が全ての消防署に配置されているわけではありません。

 

建物は通常階高は3m程度あります。部屋の天井高が2400㎜~2500㎜程度が一般的ですが、配管を通したり、スラブ厚により実際には1階当たり3m程度の高さがあるとして計算していますが、中には1階部分だけ、建物を豪華に見せるため等に天井高を高くした物件や各階の天井高をより高くしている高級マンションや立地条件等により、40m級はしご車でも14階に届かない場合や40m級はしご車を利用できない可能性もあります。

 

タワマンなどでは屋上にヘリポートを設けている物件もありますが、火災がひどくなると熱風と火災による強風によりヘリコプターが利用できない可能性があります。

 

そのため基本、14階以上の階数は、室内に備え付けられたスプリンクラーなどが頼みの綱となります。

 

14階以上のマンションの高層階を購入する場合には、管轄の消防署に万が一火事が起きたときの消火活動や救助の方法について確認しておくことをお勧め致します。

 

大型のはしご車には道路の広さ等により利用制限がある!!

また、はしご車の場合は、高さがあるため、消火時の風の状態等によりはしごの先が風の影響を受けることがあったり、道路の幅員が狭い場合や先述した大きくセットバックした建物等の場合には、もともと全長が10m以上あり、車両の総重量が16トンを超える大型車両であるはしご車は身動きがとりづらく、はしごを目標階まで到達させることが出来ない可能性も排除できないことから、はしご車が配備されているからといって絶対に安全という訳ではありません。

 

タワマンの場合は、総合設計制度と言って、敷地に空地を広くとる制度(公開空地という手法で、公園などを造設する代わりに、建物をより高く大規模に建築できる)を利用しているため、はしご車が入れる余地はありますが、公開空地の形状や植木の配置、勾配や芝生であった場合には、はしご車がひっくり返らないように配置出来ない可能性もあります。

 

 

マンションでも14階以上の高層階の購入を検討している方は、万一に備えて、購入するマンションに接道している道路の状況や広い敷地があるかなど、防災上の観点から周辺も見ておいた方が良いかと思います。

 

また、余談になりますが、はしご車は火災時に取り残された人や建物の消火活動にあたるだけでなく、地震の際に高速道路や橋などの上に取り残された人々の救助や、河川に取り残された人々の救助活動等にも利用され、様々な災害時における人命救助に大変重要な役割を担っています。