· 

ペアローンについて

ペアローンとは主として購入したい不動産に対して、夫婦二人がローン契約を別々に結び、それぞれが相手方のローン契約の連帯保証人となるローン契約です。

 

そのためローン契約は2本、所有者名義はそれぞれの負担割合に応じての共有名義、団体信用生命保険は夫婦共に加入できます。

 

例えば、6,000万円のマンションをお二人で50:50の共有持ち分で取得する場合は、夫と妻がそれぞれ3,000万円のローン契約を結ぶことになり、それぞれのローン契約で団体生命保険に加入できます。

 

但し、ローン契約が2本になると言っても、夫婦別々の金融機関ではなく、同一の金融機関で同時にローン契約を結ぶ必要があります。

 

但し、ローン金額や借入期間などの借入条件は個別に決めることが可能です。

 

実際には、それぞれの金銭消費貸借契約書(ローン契約書)の連帯保証人の欄に互いの名前を記入するので、それぞれ「たすき掛け」でローン契約書への記入をお願いしますと言われます。

 

基本は夫婦が同一物件にそれぞれ個別にローンを組むので、住宅ローン控除はそれぞれが、制度の範囲と規定内で最大限受けることが出来るので、世帯として見た場合、このメリットは大きいと言えます。

 

例えば、妻の年収が低くローン減税を最大限受けることが出来ない場合などは夫のローン額を大きくするという内容で契約するご夫婦もいます。

 

ペアローンは夫婦だけでなく親子が同居する場合でも利用が可能です。

ペアローンの普及が都心のマンションの高騰を招く?? 

最近は共働き世帯が一般的になり、また理由無くして男女間の賃金格差が生じることは法律はもとより、社会的にも看過しがたいという考えが浸透してきたこともあり、二人共総合職で働く共働き世帯が増えています。

 

このようなご夫婦はパワーカップルと呼ばれ、都心部のマンション価格の高騰を牽引する一因になっているとも言われています。

 

実際、大手商社等にお勤めの総合職の男女が30代半ばで社内結婚した場合、お二人の年収の合計額は2,000万円を超えることも珍しくありません。

 

そうなると、低金利時代の今、他にローン等が無ければ、年収の6倍から7倍程度まで借入が可能なので、1億2,000万円~1億4,000万円程度の物件の購入が可能になる計算となります。

 

実際に2023年12月24日に東京カンテイが発表した2022年都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区)の中古マンションの平均価格は9,800万円(70㎡換算)になったと公表しています。

 

弊社では渋谷区の中古マンションの成約価格を以前から調査していますが、高額物件が平均価格を押し上げている面はありますが、新耐震基準のファミリータイプのマンションョンの平均価格は数年前から1億円程度になっていました。

ペアローンの落とし穴?? 

ペアローンを組む方の多くは、ご夫婦です。親子で組む場合もありますが、この場合はむしろ親子リレーローン(二世代ローン)が使われる場合が多く、二世帯住宅が主な対象となります。

 

結婚してからも親子で同居するケースは少ないため、実際にはペアローンを利用するのは多くの場合ご夫婦となっています。

 

今の若者は男女間は割り勘が当たり前と聞いていたので、ペアローンを組む場合も折半するのかと思いきや、弊社のお客様の多くは男性が多めにローンを組む形のご夫婦が半数を超えています。

 

理由をお聞きすると「子供が生まれた際に、妻が産休を取得するとその間、給与が減額されるし、また、産休等を転機に仕事を辞めたり、転職する可能性も高いので」と答えられる方が多く、将来のリスクヘッジをしっかり考えていることがよくわかります。

 

中にはご主人が産休を取りますという方も、いたり、やはり対等に折半という方もいらっしゃるので、ご夫婦によってそれぞれ考え方が違うので、お聞きしていて勉強になります。

 

ペアローンの場合、万一ご夫婦のどちらかに不幸があって亡くなられた場合、団信が聞くのはその無くなった方の債務のみで、残った方の債務は消えないため、最後まで返済する必要があります。

 

また、離婚した場合、どちらかが住む、又は売却する際にも、共同で作業をしなければならないので心理的な負担がのしかかります。

 

勿論、ご夫婦でマイホームをご購入しようとしているので、離婚など考えるはずもありませんが、前回もお話させて頂きましたが、2020年(令和2年)の離婚件数は約19万3,251組、婚姻件数は52万5,490組となっています。

 

これを基に計算すると3分の1近くの夫婦が毎年離婚していることになりま、実に1分で約3.6組が離婚している計算となります。

 

不動産の共有はトラブルの元と言われる程、共有不動産は共有者同士での争いが最も発生する確率が高いので、このリスクがある事を心の片隅に置いておく必要があります。