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2023年住みたい街ランキング(SUUMO編)

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介をおこなっている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

毎年恒例のSUUMO住みたい街ランキングが公表され、2023年、横浜が6年連続で1位となりました。また常に安定した高い人気を持つその他の駅は「吉祥寺駅」「恵比寿駅」「目黒駅」「新宿駅」となっています。

 

余談ですが、私の記憶が正しければ、もともと「好きな街ランキング」として公表していたのは「TOKYOウォーカー(2020年6月20日発売号で休刊)」という雑誌で長年にわたり「吉祥寺駅」が不動の1位だったと記憶しています。間違っていたらすみません。

 

各都道府県別のランクでは、東京都は「吉祥寺駅」、埼玉県は「大宮駅」、千葉県は「流山おおたかの森駅」が「船橋駅」と「舞浜駅」を抑えて初の1位、茨城県は「つくば駅」が1位となっています。

 

他に得点がジャンプアップした駅は、東京都では「神楽坂駅」と「豊洲駅」、埼玉県では「所沢駅」や「越谷レイクタウン駅」、千葉県では「舞浜駅」の復活、神奈川県では「鎌倉駅」となっています。

 

また、穴場だと思うランキングでは「北千住駅」「大宮駅」「和光市駅」「所沢駅」「練馬駅」「流山おおたかの森駅」「赤羽駅」「川口駅」「守屋駅」「立川駅」の順となっています。

 

多くの駅で共通していることは、ターミナル駅や都心部へのアクセスの良さや、駅周辺で大規模開発が行われたことや、目玉となる施設等があることです。

 

「鎌倉駅」は街全体が歴史ある街で見所満載、由比ヶ浜と材木座海岸もあり、食もお土産も多彩です。

 

「舞浜駅」は言わずと知れた東京ディズニーリゾートがあり、日本だけでなく、アジアからの観光客も大勢詰めかけます。

 

「流山おおたかの森駅」は2005年に開業し、高島屋が主導した「おおたかの森ショピングセンター」があり「東大柏キャンパスホーム」も最寄り駅ではありませんが、アクセスルートのひとつになっています。

 

「越谷レークタウン駅」は2008年に開業した駅で大規模ニュータウンとして一帯が整備され、イオンレイクタウンが中核商業施設になっています。

 

「北千住駅」は2012年に東京電機大学が移転し駅前再開発により街が変貌し、シングル向け賃貸マンションの家賃は都心並みとなっています。

 

「立川駅」東京都西部の中核都市であった「八王子駅」を既に凌駕し、「IKEYA」、「ららぽーと立川立飛」、2020年には新街区「グリーンスプリングス」が開業、国立昭和記念公園もあり、東京都西部の中核都市として君臨しています。

 

ひとつ残念なのは、相次ぐショッピングモール等の開業の余波を受け、立川高島屋が2023年1月31日に閉店してしまったことです。後は伊勢丹に頑張ってもらうしかありません。

 

「川口駅」は新宿を起点とすると、人気の「武蔵小杉駅」とほぼ直線距離は一緒であり、駅前にはマンションが建ち並んでいますが、マンションの価格は武蔵小杉と比較すると70㎡から80㎡程度のファミリータイプで1,000万円から2,000万円程度安くなっており、非常にリーズナブルです。

 

「豊洲駅」は「アーバンドッグららぽーと豊洲」があり、駅周辺は都内屈指のタワマンの集積地となっています。

 

「所沢駅」は駅前に大型商業施設「グランエミオ所沢」があり、駅北側には広大な敷地を有する「所沢航空記念公園」があります。

 

「川口駅」「赤羽駅」「北千住駅」「大宮駅」「所沢駅」に共通しているのは、どこかあか抜けない、庶民的な街の雰囲気かもしれません。

 

既に大宮駅周辺のファミリー向けマンション(築2000年以降、駅徒歩10分、70㎡~80㎡)は価格が安くても4,500万円程度からで中心価格帯は6,500万円から8,000万円程度もしますので、とても割安だとは思わないのですが、利便性を考えると都心と比較して割安に感じるのか知れません。

住みたい街とマイホームを購入して住める街は違う! 

横浜駅が住みたい街でダントツになっていますが、実は、治安や街の雰囲気が子供向けでは無いエリアがあるので、イメージ先行のみのご購入は避けた方が良い場合があります。

 

特に、「桜木町駅」から「関内駅」の線路を挟んだ海側と陸側では大きな違いがあります。

 

海側エリアは古くからの官公庁の施設や新たに開発されたエリアもあり治安も良いですが、特に関内駅の西口エリアで、物件のご購入を検討しているのであれば、実際に街を何度か歩いてから決めるべきです。

 

値段が驚くほど違うので、値段の安さにつられて、陸側エリアは安易に選ばない方が賢明かも知れません。

 

どうしても購入したい場合は、通常は周辺を1回程度散策してみれば良いと思ってしまいますが、土日だけでなく、平日の昼間や夜の街も実際に見て確認してください。

 

以前よりはだいぶ改善していますが、やはり、お子様がいる世帯はどうか?と感じるエリアもあります。

 

高級住宅街と言われるエリアは海の見える公園や外国人墓地があるもっと南側の山手町エリアとなりますが、丘の上なので、山下町エリアからは結構な急坂となります。

 

横浜以外のエリアでやはり安定しているのが、東京都心部の五反田駅~代々木駅までの山手線エリア周辺や表参道から青山にかけてのエリアです。

 

このエリアは人気が高く、駅徒歩10分以内でファミリータイプで2000年以降のマンションだと最低でも1億円前後出さないと、ご購入は難しいエリアです。

 

専有面積が70㎡~80㎡となると1.2億円から2.3億円程度の価格帯となっています。

 

このエリアに賃貸でお住まいになられている方が、家賃がもったいないので、予算1億円で築20年以内の物件を探しているというようなご要望を承る場合が多いのですが、全く手が届かない価格帯である事をお話すると、唖然とされてしまう方が相当数いらっしゃいます。

 

1億円の予算があれば購入出来ると通常は考えるのですが、このエリアだけは都内屈指の人気エリアのため、この一般常識は通用しないエリアとなっています。

 

そのため、憧れもあって、住みたい街ランキングでも常に上位にランクインするのだと思います。

 

賃貸であれば50㎡前後でこのエリアに住めても、いざご購入となると別次元の世界になってしまいます。

 

不動産業界では「年収が住むエリアを決める」という格言がありますが、都心部の人気エリアにおいては「年収がマイホームを購入するエリアを決める」と言ったほうが正しい認識だと思います。

 

例えば、「三軒茶屋駅」や「白金高輪駅」周辺はファンド物件等も増加し、賃貸需要と供給のバランスが完全に崩れており、新婚向けのDINKSの賃貸物件は常時100室以上空いており、20万円も出せば結構良い部屋を借りることが出来ます。

 

しかし、同じ月20万円のローンの支払の場合(変動金利0.65%、35年)で計算すると約7,500万円しか借りることが出来ません。

 

分譲マンションは毎月管理費と修繕積立金が別途かかり、毎年固都税もかかるので、20万円の予算では、先述したように1億円を超えるマンションの購入は厳しいという結果になります。

 

話を元に戻しますが、近年は「東京駅」や「新宿駅」「品川駅」といった巨大ターミナル駅も人気です。

 

徒歩圏にマンションが増加したことや駅ビルの充実度や駅周辺の魅力ある商業施設やカフェやパン屋さん、飲食店などが20代~40代を引き付けています。

 

余談となりますが狭いお部屋であれば、1億円の予算があればほぼほぼ理想の物件のご購入が可能かもしれませんが千田区でシングル向けの新築マンションの価格が1億円を超えた物件が発売されました。

 

流石に頭打ちかと思いますが、暫くは大幅な値段の下落は無いと感じています。

多くの人が好む街は海がある横浜エリアと湘南エリア 

上記表は、SUUMOが公表した2022年の住民実感調査の内容の一部を集約したものです。

 

この表の中で、住み続けたい駅の10位中、江ノ電の駅が3駅、みなとみらい線の駅も3駅、街の住民がその街を好きそうな駅では更に、江ノ電の駅が4駅、みなとみらい線の駅が2駅に加え湘南鎌倉エリアの駅が2駅も入っています。

 

実にトップ10の順位中、6割から8割を湘南鎌倉エリアと横浜エリアの駅が占めています。

 

東京都心部の駅を圧倒しています。

 

また都内の駅でも、麻布十番駅や牛込神楽坂駅、東銀座駅と言った、江戸っ子気質が残る駅(街)が選ばれています。

 

若い世代のうちは利便性が高く、職住近接の都心部の山手線、若しくは、その内側エリアがとても人気が高いですが、住み続けるとなると、癒される海が見える街を好むようになるのではないでしょうか?

 

湘南江の島エリアは巨大地震が起きた際には甚大な被害が出ると想定されていますが、実は江ノ電の「鵠沼駅」北側から「藤沢駅」までの区間は津波の影響を受けないのです。

 

江ノ島がうまく壁になるようで、境川の河口付近は被害を受けますが、江ノ電の「鵠沼駅」付近になると回避されるようです。

 

数年前にこのエリアでマイホームを購入したいお客様と毎週のように見に行き、ほぼ全駅の売出物件を見た際に、津波が心配でしたので、いろいろ調べたのですがびっくりしました。

 

当時は、まだまだ広大な敷地を持つお屋敷が点在しており、それらのお屋敷が、とても静かで趣のある何とも感じの良い雰囲気を醸し出していましたが、相続で売却されてしまい、だいぶそのような立派なお屋敷は減ってしまったのでは??と少々寂しい感じがします。

 

このデータから私が導き出した推論は、20代から30代前半は都心の繁華街に近いターミナル駅やお洒落なイメージの街が好まれ、お子様がいる30代後半から40代にかけては、教育環境が充実したエリアを好み、子供が巣立っていった後は、安らぎを求めて、海の近くに住みたいという願望を抱く方が非常に多いのではないかという事です。

 

高齢者になっても勿論ご自宅に住み続ける方が一番多いと思いますが、選択肢として「生まれ故郷に帰郷する」「海が見える又は海が近いエリアに住み替える」「都心部やターミナル駅の駅近で利便性が高い比較的コンパクトなマンションに住み替える」という大きなパターンがあり、また、現役世代や若い世代も漠然とそのように思っているのではないか?とこの報告書の詳細を見ると強く感じてしまいます。