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東京都2年連続で日本人の人口が減少へ 今後の住宅価格への影響はどうなる!?

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行なっている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

総務省が2023年7月26日に公表した住民基本台帳に基づく人口動態調査によると日本人住民に限った場合、全国で80万523人の減少、率で言うとマイナス0.65%減少し、初めて全ての都道府県で人口減となりました。

 

人口増が続いていた沖縄県が遂にマイナスに転じ、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県の人口も2年連続でマイナスに転じています。

 

日本中の人々を魅了して、地方の人口を吸い寄せてきた首都圏1都3県の人口増も死亡者の増加と出生数の減少により社会増だけでは人口増加が限界にきたという状況に慢性的に陥ったと言えます。

 

上記表を見ればわかりますが、日本人住民の減少数は東京都を除いて、いずれの県も増加しています。

 

東京都のみ唯一2021年と比較して2022年の方が増加していますが、プラスの伸びとはなりませんでした。

 

日本人住民の人口は、2009年(平成21年)をピ-クに14年連続で減少しています。

 

日本人住民の自然増減数はマイナス79万3,324人となっています。

 

日本人住民の出生者数は77万1,801人で死亡者数は156万5,125人となっており、出生者数は1979年(昭和54年)の調査開始以降最少で、死亡者数は過去最大となっています。

 

日本人住民の社会増減数はマイナス7,199人となり、2015年(平成27年)以降7年連続で社会増加していましたが、社会減少に転じてしまいました。

 

日本の寿司職人などが、海外に出稼ぎにいって給料が10倍くらいになったというニュースが話題になりましたが、コロナ禍後、今後も日本の賃金の上昇が伸び悩んだ場合、スキルのある日本人がどんどん海外目指して出国するという事が当たり前になるかも知れません。

 

一方で、外国人住民の人口は2020年(令和2年)以来3年振りの増加となっています。

 

外国人を含む総人口では東京都は46,732人の増加、率で言うと0.34%の増加となっていますが、東京都を除く全ての都道府県では外国人を含む総人口でも減少となっています。

 

全国の令和5年1月1日現在の総人口は1億2,541万6,877人、内日本人は1億2,242万3,038人、外国人は299万3,839人となっています。

 

対前年比で総人口は51万1,025人の減、マイナス0.41%、日本人住民は80万523人、マイナス0.65%、外国人は28万9,498人、10.70%の増となっています。

各年10月1日現在の推計総人口数の推移
各年10月1日現在の推計総人口数の推移

日本人住民の減少率が高い地域と低い地域

日本人住民の減少率が高い地域は東北と四国に集中しています。各都道府県によりそもそもの人口は違うので、増減率で見た方が、その地域の実態がより鮮明に見えてきます。

 

減少率が低い地域は首都圏の1都3県、沖縄県、福岡県、滋賀県、大阪府、愛知県、宮城県となっており、沖縄県と愛知県を除いて、社会増となっています。

 

福岡県は九州最大の都市として、他の九州の地域の人口を奪っています。

 

宮城県は他の東北の県がこぞって人口減に悩まされている中で、地下鉄の開通による開発などが進み、他の東北地域の人口を奪っています。

 

滋賀県は風光明媚で京都や大阪へもアクセスしやすいため、畿内で働く人たちのベットタウンとして以前から注目されており、社会増につなっがているものと思われます。

 

沖縄県と愛知県が社会減となっているのが、少し気になるところです。

 

沖縄県を除けば、いずれも政令指定都市を擁するビジネス活動が活発なエリアが日本人住民の減少率の少ないエリアとなっています。

 

沖縄は団塊の世代の退職後の移住の候補地としても人気が高かった一方で、これが一巡し、更に、コロナ禍による観光の打撃も大きく、今後は外国人の受け入れを本格的に考える段階になっていると考えられます。

人口減少が続く中、市区町村で奮闘する地域 

全国的には人口減少が続く中で、人口が増加又は増加率が1位の市区町村は以下の通りです。

東京都中央区

東京都台東区

千葉県印西市

福岡県福岡市

茨城県つくば市

北海道俱知安町(くっちゃんちょう)

北海道南幌町

茨城県阿見町

沖縄県南風原町(はえばるちょう)

北海道占冠村(しむかっぷむら)

東京都青ヶ島村

 

外国人が増加又は増加率が1位の市区町村は以下の通りです。

大阪府大阪市

神奈川県横浜市

島根県太田市

宮崎県えびの市

北海道俱知安町(くっちゃんちょう)

北海道比布町(ぴっぷちょう)

群馬県大泉町

沖縄県東村

 

人口が増加している地方の地域の原動力となっているのが、「リゾート施設」「子育て支援」「企業誘致」の3要素となっています。

 

日本のニセコ一帯のスキー場(北海道俱知安町)と白馬一帯のスキー場(長野県白馬村)は世界的にもパウダースノーで知られ、世界各国からこのパウダースノーを求めて外国人観光客が訪れ、その外国人旅行客に対応すべく、外国人労働者も増加しているため、外国人住民が増加しています。 

 

また北海道占冠村は星野リゾートが運営するトマムリゾートがあり、コロナ後の観光業復活により、観光客とそこで働く人が増加しています。

 

更に規模はトマムリゾートと比較して格段に小振りなプチホテルのグレイシートマムに隣接した場所に2022年12月にグランピング施設「グランピングトマム」がオープンし、1年を通して様々な楽しみができ、ワ―ケーション施設としての長期滞在もできるようになっています。

 

占冠村では占冠村定住促進条例を2011年(平成23年)4月に施行して、住民の定住促進を促しています。

 

また沖縄県恩納村はリゾートホテルが集積するエリアで、国内海外を含めた観光客の戻りにより、そこで働く労働者の流入も増加しています。

 

石川県野々市市は、隣接の金沢市よりも割安な地価により、自宅を購入するファミリー層が増えており、子育て世帯向けの賃貸物件も多く、更に自治体が、ヒト・モノの出会いと交流による賑わいの創出を目的として整備した、図書館機能と市民学習機能、民間商業機能を備えた2つの新たな拠点施設を含む北国街道周辺エリアで、新たな魅力と賑わい創出のための取り組みを実施しており、利便性が高まったことにより、住宅地としての人気が高まってます。

 

福岡県粕屋町(かすやまち)は福岡県最大の都市である博多駅から2駅しか離れておらず、また、産業における交通の要衝であり、ファミリー層のベットタウンとして注目を集めています。

 

半導体受託生産の世界大手TSMCの工場建設が行われている熊本県菊陽町(きくようまち)は人口増加数が国内の町として第4位となっています。

 

熊本県菊陽町にはソニーグループの半導体工場があり、更に隣接の熊本県合志市(こうしし)にも27ヘクタールの用地を取得し、数千億円をかけて2025年度以降の稼働を目指しています。

 

山梨県を代表する工作機械のファナック株式会社は山梨県忍野村(おしのむら)に54万坪の敷地を保有し、本社機能だけでなく工場も新設し、人材を呼び寄せています。

 

また直近3年連続で日本人住民が増加している地域は以下の通りです。

茨城県阿見町

千葉県印西市

東京都千代田区

神奈川県海老名市

神奈川県海老名市

神奈川県開成町(かいせいまち)

石川県野々市市(ののいちし)

滋賀県守山市

兵庫県明石市

鳥取県日吉津村(ひえづそん)

沖縄県八重瀬町(やえせちょう)

となっています。

 

茨城県阿見町、神奈川県海老名市、神奈川県開成町、沖縄県八重瀬町は区画整理事業や民間開発による住宅の新築が人口増加の主な要因となっています。

 

特に海老名市は先日ブログでお伝えした相鉄・東急直通線の開通により、今後も人口が増加していくものと思われます。

 

他の地域は子育て支援や高齢者向けの支援などが充実しています。

 

東京都千代田区は、児童手当の支給対象ではない高校生相当の子供を養育する家庭に区独自で手当てを支給したり、高齢者安心センターにおいて、介護サービスを利用していない一人暮らし高齢者や高齢者世帯を対象とし、見守り相談窓口事業を実施していることを挙げていますが、そもそもファミリータイプのマンションが最低でも1億円を超えるようなエリアのため、実際には利便性を追求し、また、文化施設等も多く、皇居という壮大な緑に囲まれたエリアを好む高所得者が自発的に集まっているものと思われます。

 

千代田区は森記念財団が毎年公表している「日本の都市特性評価」において不動の1位を獲得しており文化、経済、交通、居住、生活などあらゆる面において日本最高峰のエリアとして評価されています。

 

中央区や台東区はその利便性からマンションの建設が進み、人口増へと繋がっています。

【令和5年1月1日現在の住民基本台帳人口と令和4年の都道府県別人口動態(日本人住民)】

人口減が今後の住宅価格に与える影響は! 

首都圏1都3県の人口が2年連続で減少しましたが、直ぐにこの影響が住宅価格に影響を与えることは無いと思います。

 

但し、何度もブロクでお話してきましたが、今後、利便性の良いエリアと悪いエリアで価格差がより一層、二極化していきます。

 

極端に言えば、利便性が高いエリアは今後も、経済の発展と共に住宅価格は上昇、又は、高止まりした状態となり、一方で、駅からバス便で周囲に大型スーパー等が無いエリアの築年数が経過した住宅はそもそも値段が付かない可能性すらあると思います。

 

地方の政令指定都市で新たに売りに出されたマンションが1億円という値段をつける一方で、相続後、野ざらしになった廃屋が日本中の至ところに存在します。

 

人はある程度まとまった集団をつくらないと経済活動が回りません。

 

今の日本は、わずか1年で山梨県の人口793,192人と同じくらいの人口が減っています。

 

2019年には神奈川県小田原市の人口約19万人の人口と同じくらい、日本全体の人口が1年で減少しているという事で大きなショックを受けていましたが、わずか5年も経過しないうちに減少数はうなぎ登りに増加しています。

 

このことから、乗降者数の少ない駅や、1時間に数本しかバスが来ないようなエリアで、中古物件を売却しようとしてもかなり厳しいと思われます。

 

東京23区内でも葛飾区や荒川区、足立区などではバスが1時間に数本しか来ないエリアは実はいくつも存在しています。

 

コロナ禍のテレワークの普及により、駅から離れたエリアの新築戸建ての販売が好調だったようですが、あくまでも新築マジックによる効果です。

 

コロナ禍で購入した駅から離れた戸建ては生涯そこで暮らすのであれば問題ありませんが、新築から10年以上経過し、万一売却せざるを得ない状況になった際には、思った価格で売却出来ないリスクがあります。

 

これからマイホームをご購入予定の方は、利便性の良いエリアを第一希望で物件探しをされるべきと思います。

 

最後になりますが、「推計人口」と「住民基本台帳人口」の違いをご説明します。

 

「推計人口」は、5年に一度行われる国勢調査による確定人口を基に、その後の人口増減を住民基本台帳から得て、毎月1日現在の人口として算出したものになります。

 

「住民基本台帳人口」は、各市町村の住民基本台帳に記録されている住民の数で、毎月末日現在で算出したものです。

 

推計人口は国勢調査の確定人口をベースにするので、実際の人口に近い数値となりますが、住民基本台帳は、住民票を移さない限り、増減は起こらないので、実態の数値と乖離する傾向があると言えます。