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金融機関の住宅ローンに差別化が始まった!!

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行なっている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

マイナス金利政策も相まって、民間の金融機関による住宅ローンの顧客争奪戦が始まってから久しいですが、ここにきて、変動金利の金利引き下げだけではなく、様々な点で各金融機関による差別化が始まっています。

 

住宅ローンの借入時に入る団体信用生命保険(以下「団信」と言います。)は、フラット35を除いて、必ず入らなければいけない保険ですが、特約をつけなければ、金融機関が費用を負担してくれます。

 

これに、ガンなどにかかった場合の疾病保障の特約を団信に付与することにより、上乗せで金利負担が発生しますが、病気やケガで働けなくなったときは以降の住宅ローンの支払が全額無くなったり、ガンになった場合に住宅ローン残高が半額になったり、金融機関によってはローン残高がゼロになるなど、それぞれの金融機関により保障内容は多少変わりますが、もしもの際の保障商品は以前から充実していましたが、ローンの基本的な借入条件を変更する金融機関は皆無に等しい状況でした。

 

それがここにきて、相次いで状況が変わってきています。

住宅ローンの借入限度が3億円に引き上げ! 

銀行の護送船団方式という言葉は既に死語に近い状況ですが、長い間、住宅ローンの借入限度額は1億円でした。

 

口火を切ったのがネット銀行ですが、メガバンクの一翼を担うみずほ銀行が2022年4月に、横一列であった借入限度額1億円という住宅のローンの借入限度額の上限を3億円に変更しました。

 

また2023年9月からは、りそな銀行と埼玉りそな銀行も1億円から3億円に変更しています。

 

この変更の主な理由は、都心部の不動産価格の上昇です。

 

不動産経済研究所の発表によると、2023年7月の東京23区の新築マンションの平均価格は1億3,340万円(70㎡換算)となっています。

 

また、山手線内側で築年数が比較的浅い優良な中古マンションであれば60㎡程度で1億円を超える物件は数多く存在している状況となっており、消費者が購入資金を確保できない状況が増加しているからです。

 

この不動産価格の上昇は、現在の市況や世界的な脱酸素の流れと人件費や資材高騰の流れからすれば、一時的な価格調整や停滞があったとしても、大幅な下落は無いと踏み、逆にこの機会を逃す手は無いと、みずほ銀行やりそな銀行は判断したのではないでしょうか?

 

この流れを顕著に反映しているのが、三井住友信託銀行です。

 

三井住友信託銀行は都心部に限り、借入限度額を3億円に引き上げています。

 

そもそも信託銀行は不動産取引が出来る金融機関であり、不動産にも精通しています。

 

少子高齢化に伴う急速な人口減少が始まった日本ですが、不動産は完全に二極化し、都心部の優良な不動産の価格は下がらないと判断しているのだと思います。

主要な金融機関の住宅ローンの商品概要
主要な金融機関の住宅ローンの商品概要

住宅ローンの返済期間が35年から50年に! 

住宅ローンの最長借入期間は35年というのは、地方銀行では40年という条件設定をしている金融機関もあり、全てとは言いませんが、多くの金融機関の融資条件であり、購入する方も30代~40代が多く、退職等を考えると、必然的に最長でも35年(出来れば30年以内)でローンを組むと言うのが、いわば、不動産業界の常識となっていました。

 

これがこの1年間で大きく変貌しています。

 

弊社でもお取引のある住信SBIネット銀行が、2023年8月に50年ローンの運用を開始しました。

 

その後、調べてみたら、地方銀行や信用金庫が積極的に50年ローンを導入していることがわかりました。

 

地方銀行では、広島銀行、西日本シティ銀行、常陽銀行、福井銀行、沖縄銀行などで、信用金庫では福岡ひびき信用金庫などが50年の住宅ローンを始めています。

 

住信SBIネット銀行が50年ローンを開始したのは、若年層の取り込むためと言われています。

 

ネットに幼少の頃から馴染みのある若者世代は、振込手数料が低額であったり、場合によっては、実質無料になる場合もあるネット銀行にメリットを感じており、ネームバリューのあるメガバンクが必ずしも使いやすいとは思っていません。

 

特に最近はメガバンクのATMや支店が街から消え、使い勝手がむしろ悪くなっています。

 

このような状況下で、住宅ローンを借りてもらい、メインバンクになってもらえばとの戦略があるのではと感じています。

 

返済期間が50年になれば、毎月の返済額が減るため、今まで手の届かなかった価格の物件が購入出来る可能性がある一方で、総返済額は期間が延びる分増加するというデメリットもあります。

 

また、返済期間50年といっても、これは誰もが利用できる訳ではありません。

 

どこの金融機関でも住宅ローンの完済年齢が80歳前後となっており、逆算すると30歳までに住宅を購入する人だけが、この条件に当てはまります。

 

厚生労働省の令和4年度の発表によると夫の平均初婚年齢が31歳、妻が29.5歳なので、平均値から推察すると新婚前後3年以内に物件を購入しないと、この50年ローンは使えないということになります。

 

単身の場合、30歳以下で単身向けやDINKSタイプのマンションを購入しようとすると、住宅ローンを使って実際には住まずに賃貸したり、結婚して子供が生まれた場合に購入したマンションが手狭になり売却しないでそのまま住宅ローンを借りた状態で賃貸に出されてしまう恐れがあるため、金融機関は融資に慎重になる傾向があります。

 

更に、金融機関は、50年お金を貸しても、しっかり担保評価がある物件に融資をしたいため、築古の物件には融資してくれません。

 

数年前から新耐震規準を満たす物件(1981年6月に確認申請を取得した物件)であることが、多くの金融機関の物件に対する融資条件の最低条件の一つになっていましたが、一部のネット銀行では、借り入れるをする人の与信が通っても、2000年より前の物件だと謝絶(融資の不承認)にされてしまうケースも実際に散見されています。

 

これらの条件を満たして都心部でマンションを購入するとなると、一流商社や大企業に勤めるサラリーマンや医者、弁護士、ベンチャー企業の若き経営者、ゲームのプログラマーなどごく限られた人しか利用できないのでは無いでしょうか?