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令和時代の住宅購入術

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行なっている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

令和5年の日本の人口に関する厚生労働省の発表はかんり衝撃的な内容となっています。 

・出生数   72万7,277人で前年の77万759人から4万3,482人の減少

 

・死亡者数  157万5,936人で前年の156万9,050人より6,886人の増加

 

・自然増減数 △84万8659人で前年の79万8,291人より5万368人も減少

 

数・率ともに17年連続で減少かつ低下

 

以前から人口減少は不動産業界に大きな影響を与えるとのお話をさせて頂いていますが、今後は今までの既成概念が通用しない、令和時代に即した住宅購入術が必要になってきます。

 

ちなみにですが、どれくらいのインパクトがあるかと言いますと、単純に死亡者数約157.6万人弱は鹿児島県の総人口約156.3万人より多いので、1年間に鹿児島県の総人口以上に人が亡くなっているということになります。

 

自然増減数の約84.8万人よりも、人口が少ない県は

福井県 総人口75.3万人 日本人人口73.8万人

山梨県 総人口80.2万人 日本人人口78.4万人

鳥取県 総人口54.4万人 日本人人口53.9万人

島根県 総人口65.8万人 日本人人口64.8万人

徳島県 総人口70.4万人 日本人人口69.8万人

高知県 総人口67.6万人 日本人人口67.1万人

佐賀県 総人口80.1万人 日本人人口79.3万人

 

となっています。毎年、地方のどこかの県が丸ごとひとつ消滅しているようなものです。

 

自然増減数で比較すると、2012年頃であれば小田原市民約20万人と同等の減少数でしたが、わずか12年で約4倍もの人が亡くなっています。

 

都心に通勤して仕事をしたり、年末年始や大型連休のリゾート地やそこに向かう高速道路の渋滞を見ていると、全くと言っていい程、人口が減少しているとは感じません。

 

また、都心部はコロナ過を経て、再び人口が流入しており、都心部の好立地のマンションの価格は10年程度で2倍以上も上昇しています。

 

住宅は需要と供給のバランスで価格が決まるという原則がありますが、円安により世界の投資マネーが都心部や政令指定都市にも流入しており、実需以上に不動産価格は上昇しています。

 

しかし、この状況で安易に都心部で購入出来ないとの事で都心から離れた物件や、駅から離れた物件、築年数が古い物件、総戸数が少なく管理が行き届いていないマンションなどを購入することは、最後にババ抜きでババを抜くことにもなりかねませんので細心の注意が必要です。

 

人口増によって労働力人口が増加して成長率が高まることを「人口ボーナス」と呼び、この反対の現象を「人口オーナス」と呼びますが、これほどの人口減少が続いている状況では、人口ボーナスが続くエリアはほとんど無いのですが、少なくも人口維持又は人口が微減程度で留まるエリアの物件を購入することが重要です。

 

ブログ等で何度も発信させて頂いていますが、人間は集団生活により進化してきた動物であり、ある程度の人口を維持しないとスーパーも病院も、コンビニもガソリンスタンドも商売が成り立ちません。  

 

これまでも様々なテーマでブログを記載させて頂いておりますが、根底にあるのは「いつでもやり直せる」住宅購入です。

 

バブル崩壊後に住宅を購入したひと昔前の世代では、住宅を購入するのは、新築物件が前提で、一旦住んでしまうと中古物件になるので価格が2割下がると言われ、一度住宅購入をしてしまうと、ローンの返済スピードと資産目減りのスピードのバランスが合わず、資産価値だけ目減りしてしまい、万一売却した場合には、借金が残ってしまうため、住宅ローンに縛られた人生などと言われたこともありました。

 

何しろ新築全盛の時代なので、容易にマイホームを売却するという選択が取れず、そのため例えば転職したくても、無理して同じ職場で働き続けなくてはならなかったり、突然の事故や病気でローンの支払が厳しくなり、大きく人生が狂ってしまうケースも見られました。

 

また、買い替えという考えが定着していない中で、これまで苦労して住宅ローンを返済してきた日々を思い返し、感情的になってしまったり、住めば都的な愛着から現状を維持して住み続けるという選択をされる方も多く、結果的に多くの物件が相続が発生するまで現金化されない資産になっています。

 

建築費の高騰やSDGs(持続可能な社会)への取り組みが求められている中で、中古住宅が脚光を集め、また終身雇用も崩壊し、転職が当たり前の時代になり、働き方自体も副業の容認やリモートワークなどが可能になった令和時代に住宅を購入するのであれば、住宅の購入は自分自身に何が起こっても、フレキシブルに対応できると言うスタンスを保つことが重要となります。

 

幸い、メルカリを利用したり古着を自分にあわせて着飾ることに抵抗が無い世代が台頭してきており、中古でも良い物件であれば問題無いと考える人たちが増加し、中古住宅市場に厚みが増し、供給も需要も増加してきています。

 

今後は一度購入したら取り返しがつかない、ではなく、物件を売却しても、スタート地点に戻るだけと言う買い方が必要だと考えます。

坂道を転がるように人口減少が加速する 

先述させて頂いたように約84.8万人の人口が減るというのは、佐賀県の総人口が約80.1万人なので、佐賀県が丸ごと消滅したと言う方がイメージが付きやすいかもしれません。

 

同じく戦国時代に商いの街として栄華を極めた大阪府堺市は全国でも有名な経済都市ですが、人口は約81.2万人なので、日本第二の経済圏の中心地である大阪府にあり、全国で14番目に人口が多い堺市が丸ごと消滅したという方が佐賀県よりも逆にイメージしやすいかもしれません。

 

自然増減数は日本人が84.8万人亡くなったのではなく、死亡数から出生数を引いた数字が84.8万人なので、1年間でかなりの日本人が失われたという結果になります。

 

日本の「多死時代」は今後も継続される見通しで、更に未曾有の少子化の危機と相まって、まさに坂道を転げ落ちるかのように人口減少が進んでいる状況となっています。

 

政府も本腰を入れて、少子化対策に乗り出していますが、現在の状況はこれまでの30年間の結果でしかないので、仮に現時点で空前のベビーブームが起きたとしても、向こう20年~30年は人口が減り続け縮小する社会となります。

 

生まれる子供が少なければ、その子供たちが大人になって、たとえ子供をたくさん産んだとしても、女性の人数自体が減っているので、実際に人口減少を食い止める事は容易な事ではありません。 

人口が減れば平均世帯人数も減少する 

日本は単身者が増加し、また、核家族化も進んでいるので、世帯数は増加しているので、住宅需要の大きな落ち込みは無いという見方を持たれている人にとってはショッキングなニュースがあります。

 

厚生労働省の5年に一度の将来推計によりますと、2033年の平均世帯人数は「1.99人」となり初めて平均世帯人数が2人を割り込むとしています。

 

1世帯あたりの人数は、2020年の「2.21人」から減り続けて、2033年には「1.99人」になるという推計です。

 

特に注目なのが、単独世帯の増加が顕著で、2050年には44.3%になるという推計です。

 

2050年と言うと今から26年後になりますが、そんな先のことはその時に考えれば良いというご意見の方は、考え方を変えた方が良いと思います。

 

まさにそのような軽率な判断で問題を先送りにしてきた結果が今の人口減少社会となっているのです。

 

多くの方は一般的な住宅ローンの最長借入期間である35年で借入をして家を購入しますが、その際にお子様がいる世帯は3LDKや4LDKの家を購入しますが、26年後は、お子様が独り立ちしたり、結婚をする時期と重なります。

 

子育てがひと段落し、裏を返せば高齢期に向けて住宅という資産の資金化を検討する時期になり、今の広すぎる家を売却し、老人ホームに入居したり、駅近のコンパクトマンションに住み替えるというニーズが高まるのですが、子育てのための住宅を必要とする人が減り続けているため、広い住宅は供給過多で売りたくても売れないという時代となる可能性が極めて高いと言えます。

  

3LDKや4LDKのいわゆるファミリータイプと言われる住宅を必要とする世帯が益々減り続けることにより、将来資金化しなければならない時期にマイホームが売却出来ずに困る状況が容易に想定されるのです。

 

ちなみにですが、高齢者向けの単身住宅も、永遠に多くの物件が必要という訳ではなく、それ程遠くない将来には頭打ちになると予想されています。

現金化しやすい物件を購入する

極端な少子高齢化や急激な人口減少、そして世帯人数の減少も、どれもがこれまで経験のない現象であり、これから顕在化する社会問題として、日本人が初めて遭遇するものとなります。

 

冒頭にお話した通り、令和時代の住宅購入は「いつでも売れる住宅」が前提です。

 

もちろん自分が心地よく居住するために住宅購入するのですから、それを度外視して将来の売却を最重要視してください、という訳ではありません。

 

ただ、不動産会社も工務店も「今の生活」に主軸を置いて提案する会社がほとんどなので、過剰なくらい心配するくらいが丁度良いバランスではないかと考えています。

 

それでは具体的に何をすれば良いかというと次の2点がとても重要となります。

1.街選び

・現時点で人口減少が危険視されているエリアでないこと

・将来に渡って人口が維持できる産業基盤があること

・自治体が人口減少問題に対して具体的な施策を行っていること

など家の検討ではなく、住む価値のある街かどうかを判断することが重要です。

 

2.立地

最もわかりやすいのは最寄り駅からの距離です。

 

一部地方では幹線道路が鉄道の変わりとなるエリアもありますが、これから起こるであろう住むエリアの選択と集中を考えると、やはり鉄道を起点に検討した方が良いと考えます

 

街選びは「広域立地」、最寄駅からの距離は「狭域立地」と呼びます。

 

不動産の価値は立地が全てです。

 

米国では「ロケーション、ロケーション、ロケーション」日本では「1が立地で2が立地、3、4が無くて5に立地」という格言が不動産業界の中に存在します。

 

良い家よりも前に良い立地を選ぶと言うのが最重要課題となります。

 

また、戸建て住宅よりもマンションの方が長期的には資産価値を維持しやすいですが、これもやはり究極は、どの街のどのエリアにあるマンションなのかが重要になってきます。

 

昭和・平成時代に住宅購入した親世代や、その時代で商売をしてきた不動産会社や工務店の言うことはあまり参考になりません。

 

確かに今まで培ってきた知識は素晴らしいものもたくさんあり、不変のものもありますが、これから起こるであろう人口減少に伴う、日本という社会が縮小していく令和時代に対して、既成概念から抜け出せずにいる不動産会社や工務店の言うことだけでなく、未来を見据えたうえで、不動産を購入することが何より大切です。

 

そのことを念頭に置いたうえで、自分の今のライフスタイルも考慮し、「いつでも売れる住宅」を購入することが大切です。

 

単に価格が高いとか住宅の性能が高い物件が良い訳ではありません。

 

良い物件はそのエリアで適正な値段で直ぐに買い手がつく物件、即ち現金化しやすい物件が良い物件「いつでも売れる物件」です。

 

目先だけの、甘い判断での住宅購入はくれぐれも行わないように注意したいところです。