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新宿区タワマン実態調査(居住者編)

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

新宿区では令和元年(2019年)に新宿区内にあるタワマンの居住者向けにアンケート調査(40棟、9,313世帯)を実施し、2,891件(回収率31.0%)から回答を得た調査結果を2020年6月にインターネット上で公表しています。

 

お住まいのマンションの所有形態については、持ち家の居住者がほぼ4分の3を占めており、所有者の年代構成については、50代が最も多くなっています。

 

所有者が50代がもっとも多いこともあり、中学生以下の子どもがいる世帯の割合については、2 割以下となっています。

 

専有部分の利用形態については、住居としての利用が主体であり、タワマンを選んだ理由は、交通の利便性や防犯面での安心感が多数を占め、次いでタワマン特有の眺望の良さが挙げられています。

 

また、耐震面での安心感や通常のマンションではあまりないコンシェルジュサービスが比較的高い割合で評価されています。

 

実際にタワマンに住んでみた感想については、良かったの割合が最も高く、現在のタワマンに住み続けたいの割合も最も高かくなっています。

 

この永住志向は、特に世帯主の年齢が上がるにしたがって強くなる傾向となっています。

 

回答者自身と世帯の状況については、単身世帯、夫婦のみの世帯、夫婦と子どもで90%超となっており、子育て世代でも夫婦と子ども1人の3人世帯が多くなっています。

 

夫婦の就労状況については、夫婦共働きが約50%となっています。

 

地元の町会・自治会、タワマンの自治会への加入状況について は、46.7%が該当し、未加入の人の理由については、加入のメリットがない、加入方法がわからないが主な理由となっています。

 

防災に対する意識につ いては、全体的に高くなっています。

新宿区内のタワマン スカイフォレストレジデンス
新宿区内のタワマン スカイフォレストレジデンス

タワマン内と外部とのコミュニケーションについて 

タワマン内での居住者とのコミュニケーションの有無については、世帯主の年代が高いほど、居住年数が長いほど、培われている状況となっています。

 

これはどのマンションでも総じて同じ傾向といえます。

 

その半面、 年齢が下がるにしたがってコミュニケーションが疎遠になる傾向があり、特に、フロアが異なる場合には、コミュニケーションはほとんどない状況となっています。

 

コミュニケーションが始まるきっかけは、マンションの活動を 通じてが最も高く、また、子育て世代では、子育ての場や関連イ ベントを通じての割合が高くなっています。

 

中学生以下のお子様を持つファミリー層が多ければ、またお子様がお一人ではなくお二人以上の世帯が多ければ、学校への通学や運動会などの行事の参加等で交流が必然的に生まれますが、これが新宿区内のタワマンの場合には中学生以下のお子様の人数が少ないが故に、交流があまり生まれないのかもしれません。

 

高齢世代では、管理組合の役員などを通じてコミュニケーションが始まる割合が高くなっています。

 

全体としては、タワマン内交流の必要性については、必要ないとの回答が多く、とりわけ、年齢が若くなるほどその傾向は強くなっています。

 

タワマン内での交流が少ない理由として、あまり干渉を好まない居住者が多いとの回答が多く、タワマン内で困ったことが 生じた際の相談者については、管理会社と回答した割合が最も高くなっています。

 

一方で、タワマン内交流が必要だと非常に思うと、思うの合計は全体で は43.9%となっており、タワマン別で見ると60%超のマンションが3棟ある一方 で、20%に満たない棟も7棟あるなど、各タワマンによって、大きく意見の分かれる状況となっています。

 

タワマン外の地域住民との日常的な交流については、ほとんどない状況となっています。

 

ただ、子育て世代や高齢者の場合は、それぞれ共通する場でのコミュニケーションが醸成されている状況となっています。

 

また、地域 との交流についての頻度に関する設問ではかなりあると、一定程度あるの合計は全体では23.7%となっていますが、40%超の棟は2棟あり、タワマン内交流と同様に各タワマンにより状況が大きく異なる結果となっています。

 

地域の活動やイベントの情報の入手方法については、チラシやポスターとの回答が多く、地域活動やイベントへの参加状況については、世帯主の年齢が上がるに したがって参加傾向は高くなっています。

 

参加した又は今後参加したいとする内容については、お祭りの割合が最も高く、次いで防災や防犯に関する活動が高くなっています。

 

ふれあい・いきいきサロンのような形でマンション居住者以外の地域 住民との関りについては、肯定的な回答割合はあまり高くない結果となっています。

タワマン住民の防災意識について 

防災の意識については、耐震性についての不安は感じていないものの、 停電によるエレベーターの停止や断水、断水によるトイレの使用不能、 エレベーターの使用不能による階段使用の困難さといった、タワマン特有の不安が多く上がっています。

 

防災への取組については、食料、水、簡易トイレなどへの備えの割合が比較的高い一方で、必要性を認めつつも備えができていない世帯の割合も約30%あるという結果になっています。

 

また、高層の建築物に特有の長周期震動に関し て、その影響に対する不安を抱く意見もみられます。

 

タワマン内での防災組織や体制については、知らないやなんとな く知っているの割合が高い一方で、防災に関する取組への参加意欲は高いという結果となっています。

 

防災訓練等での地域との協働の必要性については、地域の防災訓練参加 の意向に関する設問で、参加しようと思うは全体としては34.5%と低かった一方で、タワマン別で見ると参加したいと回答した方が50%以上のタワマンも2棟あるという結果になっています。 

タワマンも子育て環境や高齢者環境について

子育て環境については、タワマン内の環境や周辺の子育て施設の状況からは、満足のいく状態であるという回答が多かった一方、マンシ ョン内での子育てに関する交流については、乏しい状況となっており、郊外型のマンションでファミリー層多いマンションとは少し状況が異なっています。

 

高齢者環境については、高齢者の居住割合は約30%である中、将来に対する不安や特に災害時の避難等や独居、相談相手・話し相手の不在などが挙げられています。

 

管理組合の活動への参加については、委任状を含めという状況ではあるも のの、総会への出席状況は96.3%と高い状況となっていますが、これは、管理組合役員の経験がある人の割合が約40%となっており、ある程度マンションの管理組合等に関わった方や、タワマンを良くしていきたいと思う方がこの新宿区のアンケートにしっかり答えているものと想定されます。

  

新宿区の行政から提供を希望する情報については、防災情報が最も高い割合 (39.2%)となっており、次いで防犯情報(22.4%)、高齢者支援情報(20.2%)、子育て情報(11.4%)となっています。

 

情報の入手手段については、広報新宿 (39.8%)、新宿区のホームページ(20.0%)の割合が高くなっています。