· 

旗竿地は買うべき?やめるべき?

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

 

建売住宅の購入又は注文住宅を建築するにあたって土地をお探しする際に「旗竿地」という言葉を一度は耳にしたことがあると思います。

 

今回は、この旗竿地のメリットとデメリットについて、具体的な例を交えながらご紹介したいと思います。

 

旗竿地とは、細長い路地を抜けた奥にある土地のことを指します。

 

この名称は、土地の形が旗と竿に似ていることからきており、一見すると、その形状からあまり良い土地ではないと思いがちですが、実は様々なメリットがあります。

 

◆旗竿地のメリット

1.コスト面でのメリット

 旗竿地は通常、整形地に比べて価格が安くなります。

 

不動産を評価するうえで、国土交通省は不動産鑑定評価基準を定めており、整形地と旗竿地では、整形地の方が評価が高くなっており、当然ながら固定資産税と都市計画税の評価額は旗竿敷地の方が安くなります。

 

また、敷地から住宅までのアクセスや見た目の印象もあるので、同じ住宅地エリアでは、旗竿地の方が価格が抑えられています。

 

そのため旗竿地のデメリットを逆にメリットと捉えれば、経済的な恩恵を受けることが出来ます。

 

まず、先述したように毎年の土地の固定資産税と都市計画税が整形地と比較して低額ですみます。

 

また、人気エリアでも旗竿地であれば、予算内での購入が現実的になり、場合によっては、節約した分を建物や内装の費用にあてることも可能です。

 

旗竿地は、立地を第一優先する方や維持費のコスト削減を優先し、土地を長く所有し続けたい方にはお勧めの土地となります。

 

2.プライベート空間の確保

旗竿地の場合、多くが道路に面した土地に建つ前の家に隠れるため、騒音や視線をあまり気にする必要が無くなります。

 

家族との時間を大切にしたい、静かな環境で過ごしたいという方には理想的で、場合によっては1階のリビングのカーテンを開けたままでも生活できます。

 

子どもやペットが安全に遊べる庭を作る、ビニールプールを設置して遊べるなど、プライバシーを重視した生活空間をつくることも可能になる場合があります。

 

3.デザインの自由度

旗竿地の特異な形状は、創造的な家づくりにおいて大きな可能性を秘めており、一般的な形の土地では難しい、ユニークな建築計画が可能になる場合があります。

 

この点は、個性的な住宅をお考えの方にとって、非常に魅力的なポイントと言えるでしょう。

 

更に大きなメリットとしては、整形地に住宅と駐車スペースを設ける場合、駐車スペースを確保するため住宅を不規則な形状にせざるを得ないケースが多々ありますが、旗竿地では路地部分を駐車スペースや自転車を置くスペースとして利用することで、奥の旗部分に大きな家を建てることが可能です。

 

家族の好みやライフスタイルによっては、路地部分におしゃれなアプローチや花壇などを設けることも可能です。

 

旗竿地のデメリット 

旗竿地のデメリットとしては下記の項目を挙げることが出来ます。

1.日照・通風の課題

周囲に建物が多い環境では、日照や通風が不足しがちになります。

 

特に旗竿地の前に建つ家の影になり、日中でも1階部分と庭が暗くなる傾向にあります。

 

これを補うためには、設計時に工夫が必要となります。

 

例えば、高い天井やハイサッシを採用する、中庭を設けることで、少しでも明るく開放的な空間を作り出すアイデアが必要です。

 

2.建築コストの増加

狭い路地を通る必要があるため、建築資材の搬入や工事車両の進入が難しくなりがちです。

 

建売住宅の場合は、多くがその区画でまとめて、建物を建築するので、コストアップにはなりませんが、注文住宅の場合は、これが結果として、建築コストの増加や工期の延長につながることがあり、計画段階で、これらの点を念頭に置くことが重要です。

 

また、旗竿地に新しく水道・電気・ガスなどのインフラ設備を通す場合も注意が必要です。

 

旗竿地ではこれらのインフラの引き込み距離が長くなるため、インフラ整備工事にコストや時間がかかりやすくなる傾向があります。

 

3.竿地部分の幅について

竿地部分が建築基準法の道路接道要件である2m以上を満たしているだけでは不十分です。

 

竿地部分を有効に利用するためには、車のドアを開閉することを考慮して最低でも2.7m以上の幅員が必要です。

 

特に、駅から15分以上離れた立地では駐車スペースが必須のため、出来れば幅員は2.9m以上あることが理想です。

 

人口減少は既に首都圏でも憂慮すべき状況となっており、郊外立地で駐車スペースが十分に確保できない旗竿地は買い手がつかない状況になっているエリアも増えてきています。

 

4.その他の留意事項

複数住戸を同時に販売するミニ開発的な建売住宅でありがちなのが、前面の家の勝手口と旗竿地の戸建ての表玄関が隣接して建築しているケースばあです。

 

このような造りの場合、実際に生活を始めて、前の住戸にお住いの方が生ゴミを勝手口の脇に置いてしまうことがあります。

 

特に、夏場の場合、玄関まで前の家の生ごみの匂いが漂ってきたり、お客様が来た際に、生ごみが目線に入ってしまう場合があります。

 

出来れば建売業者が、隣の家への配慮とマナーで、そのような使い方は控えるように伝えてたり、蓋つきのゴミ箱を予め設置しておいて頂ければ良いのですが、なかなかそこまで配慮して建売住宅を販売している建売業者は少ないので、悩ましいところではあります。

ライフスタイルにより旗竿地を選ぶ 

旗竿地は、一見すると難ありの土地に見えてしまいがちですが、考え方次第で大きなチャンスに変化します。

 

建売住宅又は土地の購入という面ではイニシャルコスト面で有利ですし、また、ランニングコストの面でも有利です。

 

更に、プライバシーを重視した住まい作りにも適しています。

 

ただし、日照や通風、建築コストなどの課題を理解し、準備をしておくことも必要です。

 

旗竿地の購入を考える際は、これらのメリットとデメリットをよく理解した上で、ご自身やご家族のライフスタイルやニーズに合った計画を立てることが何より重要です。

 

限られた予算の中で、エリアを第一優先にしている方などは、マイホームを購入するための一つの選択肢として、ぜひ旗竿地を一度検討してみては如何でしょうか?

  

 

旗竿地を含むさまざまな土地・住宅の購入やリフォームをご検討の際は、お気軽に当社にご相談ください。