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首都圏子育てしやすい街ランキング

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

小さなお子様が生まれる、又は、小さなお子様がいるファミリー世帯にとって、共働きや子育てがしやすい街はマイホーム購入の強い動機の一つになります。

 

2024年12月に日経新聞と日経クロスウーマンが全国180都市を対象に2024年9月~10月に調査を行い、155市区から回答を得た結果を基にして、認可保育所の入りやすさや学童保育への取り組みなど43項目を採点し、今回10回目となる「共働き子育てしやすい街ランキング」として公表しています。

 

首都圏(東京都、埼玉県、千葉県、栃木県、神奈川県、群馬県、茨城県、山梨県)の1都7県の内、上位29の自治体のランキングは下記の表の通りとなってます。

 

上位ランキング29自治体の中で東京都は21自治体で約72%も占める結果となっており、東京都特に23区内が、共働きで働く子育て世帯が暮らすのに適したエリアであることがわかります。

 

次に、千葉県が6つの自治体、栃木県と茨城県が1つづつとなっています。

 

首都圏で1位、全国でも2位の栃木県宇都宮市は、餃子の消費量が浜松市と並ぶ日本トップの消費量を誇ることで有名ですが、上場企業の工場や研究施設などもある地方の中核都市です。

 

2023年8月には宇都宮駅東口から芳賀・高根沢工業団地を結ぶLRT(ライトレールライン)と呼ばれる路面電車が運行を開始し、人口も増加しており、現在開発中の西口のタワマンの一部は1億円を超える価格にもかかわらず既に販売が終了しています。

 

コロナ禍真っ只中に、宇都宮市に本社を置くプライム上場企業のグランディハウスさんに宇都宮駅から車で10分程度の戸建の開発用地を購入してもらったのですが、宇都宮に向かう新幹線の車両には私以外誰も乗っておらず、宇都宮駅で降りた人も数人という状況だったにもかかわらず、何ら問題無く完売した状況をみて、地元の上場企業の底力と宇都宮の潜在能力にびっくりしたことを今でも鮮明に覚えています。

 

宇都宮市は2位に入った主な理由は下記の通りです。

・認可保育所の園庭保有率が95.4%

・保護者の送迎負担を軽減するため、JR宇都宮駅東口近隣の「送迎保育ステーション」から保育士が添乗するバスで子ど

 を保育所に送迎。更に、病児保育施設でも、保護者の代わりに子どもを迎えに行くサービスの実施や日曜・祝日に対応

 能な施設を用意

・学童保育は保護者が就労する小6までの希望者全員を受け入れ、公立小学校69カ所中、58カ所で放課後子供教室を実施

子どもだけでの利用も可能な「子育てタクシー」は、市内のタクシー会社が、市の補助を受けて2023年9月から運用を開

 始。料金は通常のタクシーと同額にもかかわらず、制度開始からの運行件数は900件以上の実績があり、多くが学童保育

 や塾・習い事への送迎がメイン

・2024年度から市独自で第2子以降の保育料を無償化し、更に独自の不妊治療助成制度があり、体外受精・顕微授精・男性

 不妊治療や先進医療にかかった治療費の自己負担額のうち保険適用分を含む最大45万円(2回目以降は保険適用分を除く

 30万円)の助成制度を創設

 

これらの子育て支援の拡充により、宇都宮市の調査で、実際の子どもの数が理想の数を下回る人に理由を聞いたところ「経済的負担」を挙げた人の割合が18年度の71%から23年度には42%に減少しており、移住に関する問い合わせは3年前の10倍になり、その多くが首都圏の子育て世代からとのことです。

板橋区、豊島区の子育て支援 

板橋区、豊島区は東京都の施策により第2子(0~2歳)の保育料が無料となっています。

 

板橋区、豊島区はともに、希望する特定の認可保育所に入れないなどの「隠れ待機児童」の数が減少(24年4月と23年4月の比較)しており、1歳児クラスでは児童5人に対して保育士1人(国の現在の基準では児童6人に対し1人)を配置するほか、区独自の保育ガイドラインを整備し、保育士のマネジメント研修や、保育施設を横断した合同研修を実施しています。

 

板橋区では、新生児の扱いや方や産後間もない女性との接し方を学び、赤ちゃんのお世話や食事作り、病院への付き添いや育児の相談などを手掛け、産前産後の女性に寄り添い生活全般をサポートする「産後ドゥーラ」の資格を持つ専門職の利用助成を始めています。

 

更に、共働き世帯向けの利便性の向上のために、認可保育所などに通っている児童が保育所で体調不良となった際に、病児保育施設の看護師が保護者にかわってタクシーで迎えに行って預かるサービスを区内2施設で実施しています。

 

2023年からは37カ所の区立保育所で紙おむつの定額制サービス(サブスク)を導入したほか(現在は民営化により36カ所)、区内ほぼすべての認可保育所や公立小学校、すべての区立学童保育で、保護者との連絡が可能なICTシステムを導入しており、また、すべての区立学童保育で夏休みなどの長期休業中に昼食を提供しています。

 

ICTシステムとはパソコンやスマートフォン、タブレットを使って保育記録やコミュニケーションをとるシステムの総称です。

 

板橋区では東京都と連携し、保育園探しから見学予約、入園手続きまでの一連の「保活」をオンラインで完結できるシステムを2024年10月末から始めています。

  

豊島区はすべての認可保育所に看護師を配置し、病児保育に対応しており、すべての学童保育で夏休みなどの長期休業中に昼食を提供するほか、学童保育の運営に地域などの意見を反映させる「子どもスキップ運営協議会」で質の向上を議論、改善につなげています。

 

また、首長部局の正規職員の女性管理職比率が25.3%と高く、豊島区内企業を対象にした「豊島区ワーク・ライフ・バランス推進企業認定制度」を整えるなど、自治体のダイバーシティ分野でも得点を伸ばす結果となっています。

東京都福生市の子育て支援 

福生市も東京都の施策により第2子(0~2歳)の保育料が無料です。

 

福生市は24年4月の0歳児クラスの入園希望者が89人と、回答した155自治体中3番目の少なさですが、保育の質向上に力を入れてり、保育士確保のため、東京都住宅供給公社(JKK東京)と協定を締結して、保育士が優先的に賃貸住宅へ居住できるように取り組んでいます。

 

また、市内の保育所などの全園では医療的ケア児の受け入れが可能です。

 

幼保小の円滑な接続・連携を推進するため、認可保育所・認定こども園・幼稚園と教育委員会が包括連携協定を結んでおり、学童保育には小学校6年生まで入所でき、学童保育と放課後子供教室を同一校内で行う、校内交流型を市内7校中6校で展開済みとなっています。

 

また、福生市内18カ所のうち3カ所で平日夜に夕食を提供しています。 

千葉県松戸市の子育て支援 

松戸市は第3子の無償化の条件となる兄弟の年齢要件を、国の基準である「小学校就学前」から「小学3年生以下」へ独自に拡大しています。

  

保育士を対象にした研修などで保育の質向上に取り組むほか、公立保育所の保育士の配置を1~2歳児クラスでは児童5人に対し1人、4~5歳児クラスでは児童20人に対し1人としており、国の基準の児童25人に対し1人よりも人員配置を手厚くしています。

 

また、医療的ケア児や障がい児の入所調整を通常よりも先行することで、2024年4月には申し込みがあった19人全員を受け入れることができているとのことです。

  

2024年度からは妊娠36週以降に使える、妊産婦タクシー利用料補助(1回3,000円まで)の利用条件や回数を拡大しています。

 

学童保育では市内45カ所で長期休暇中に昼食提供の支援を行っています。

 

更に松戸市では2024年度に国のモデル事業として2023年に試験導入した「こども誰でも通園制度」を拡充し、就労要件などをなしに、希望するすべての家庭に対し、0歳~2歳の未就園児を月一定時間預けれられるようにしています。

 

2023年の調査で全国1位だった松戸市は、来年度以降も保育定員を増やす計画と育児に前向きな面、少し残念なことに、松戸市は手続きの効率化が進んでいないのが課題点となっているようです。

 

このように、上位にランクインする自治体は金銭的な補助だけでなく、共働き世代が最も大変なお子様の送り迎えや急な発熱などで本来であれば親御様が直接迎えに行かないといけないところを代行してくたり、お子様を一時的に預かってくれる等の対応、更には残業やお子様が夏休みなどで学校に行かない日などに預かってくれる時間帯や曜日を設けています。

 

更に、手助けが必要な医療的ケア児や障がい児に対するケア体制を充実させていることがわかります。

 

これらのサポートは、共働きや子育てをする親御様にとっては、非常にありがたい制度と言えます。

 

少子高齢化が進む中、子育て支援を通じて、移住者の獲得や定住促進、人口流出抑制にもつなげようとする自治体が増えており、経済的援助も必要不可欠なものですが、今後は公的支援サービスの質や利用のしやすさが益々強く求められる時代となりそうです。

 

2024年全国1位に輝いた神戸市は良い例で、サービス拡充うと共に順位を上げており、2022年は36位、2023年は4位で2024年に栄えある1位となっています。