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マンションのセキュリティ対策

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

今日は、マンションのセキュリティ対策についてお話ししたいと思います。

 

 警視庁の2023年の統計データによると、全国での住居への侵入窃盗は認知件数で年間17,469件(空き巣11,842件、忍込み4,625件、居空き1,002件)となっています。

 

近年は侵入窃盗は減少傾向でしたが、前年と比較して11.3%の増加となっており、全国で1日当たり侵入窃盗が48件程度発生している計算になります。

 

最近は匿名・流動型犯罪グループ(匿流)&闇バイトの事件が増えており、多くの人が治安が悪くなっていると感じています。

 

発生現場は戸建が侵入窃盗の約3割と一番高いですが、共同住宅全体でも約1割の侵入窃盗が発生しています。

 

もちろん、この共同住宅には、セキュリティ対策がほとんど取られていないアパートや賃貸マンションなども含まれていますが、分譲マンションでも決して油断してはいけません。

 

分譲マンションは一般的にオートロックや防犯カメラといった防犯設備が整い、他の住民の目もあるので、侵入をためらう傾向があると言われていますが、それでも侵入の被害は決して少なくないというのが実情です。

 

窃盗犯が最もマンションに侵入するために多用するのは、宅配業者や設備点検の業者を装うケースで、「後から伺います」などと言って、オートロックを開けさせる手口です。

 

また、入口付近で待ち伏せし、住人が出入りするタイミングで入り込む「共連れ」や「入れ違い」です。

 

これは世帯数が多いマンション程、多いのですが、エントランスの直ぐ脇に、管理人が常駐している場合には、侵入されるケースは減りますが、300戸を超すような大型タワーマンションなどの場合は最初の入口と管理人がいるロビーの受付が離れている場合には侵入は防ぎにくくなります。

 

但し、比較的築年数の浅いマンションであれば、エレベーターホールに入る際に再度オートロックがあったり、キーをエレベーターにかざさないと動かないタイプ等、二重三重の防犯システムが設置されているマンションが増えています。

 

但し、このような防犯体制はファミリー世帯が多く住む郊外型のマンションでは採用されてないケースが多く、大型マンションであれば、その分ロビーに管理人を常駐させているケースが多く、二重三重の防犯システムが設置されているのは主に都心部の高級マンションとなります。

 

このようにしてマンションの共用部に侵入した窃盗犯は、ドアにカギをかけていない部屋を片っ端から探していきます。

 

オートロックが採用されているマンションの場合、住人の防犯に対する意識があまくなりがちで、買い物など一時的な外出の場合にはカギをかけない住人が一定数いるので、このような手口が主流となっています。

 

マンションの場合は住民同士のつながりもうすいため、あまり怪しまれることもなく、長時間共用廊下や外部階段等で移動しながら長時間潜み、留守宅を見極めるケースもあります。


分譲マンションに特化した侵入窃盗のプロがいる 

分譲マンションでセキュリティ対策がある程度されているマンションを逆に狙う侵入窃盗犯もいます。

 

先述したように、防犯対策がしっかりしたマンションほど、住民の防犯意識は自ずとあまくなり、ベランダ側の窓を施錠しないご家庭が実はかなりの数にのぼるということが、マンションに暮らす人へのアンケート調査などで分かっています。

 

そのため、植木や、フェンス、ときには雨どいを使って高層階の部屋まで窃盗犯が侵入するケースも実際に起こっています。

 

また、共連れなどで共用部に侵入した窃盗犯が屋上からロープ等を垂らして、侵入するケースもあります。

 

また、侵入窃盗の機会が増えるのが大規模修繕工事の期間中に足場を使って侵入するケースです。

 

腕章などで、その現場の職人とわかるようにしたり、工事が休みの場合は足場への侵入を防ぐために足場の入口に施錠するといった対策を行う工事業者もいる一方で、そのような対策が十分でない工事業者もいます。

 

中には、実際に大規模修繕工事で働いている職人が窃盗をしたというケースまであるので、とにかく玄関扉や窓はしっかりと施錠するべきです。

マンションの防犯対策 

では、マンションの防犯対策にはどのようなものがあるのでしょうか?

 

後付けが厳しいものもあり、共用部に新たに設置等する場合は総会の決議等が必要になるものもありますが、一旦羅列してみたいと思います。

共用部

・カメラ機能付きインターホン

・犯罪抑止につながる場所へのレコーダー付防犯カメラの設置(定期点検は必須)

・共用部分の夜間の照明の明るさ(エントランス、エレベーターホール、メールコーナー、宅配ボックスなどは人の顔が認

 識出来る50ルクス、共用廊下、階段は20ルクス、屋外通路や道路は3ルクス以上) 

・ごみ収集場所、自転車置き場、外部との出入り口の施錠

・屋上に通じる階段の施錠

・強度のある面格子

・外部フェンスは足場になりにくいもので見通しの良いもの

・敷地内に歩くと音がする防犯砂利を敷く

・メールボックスは壁貫通型がベスト

 

専有部(自室)

・玄関ドアはカギを二つにする

・在宅時であってもドアチェーンやドアガードを利用する

・ベランダ側の窓や出入り口は、外出時や睡眠時、その部屋(主にリンビング)にいないときは常時施錠

・外から部屋の内部が見えにくい厚手のカーテンを購入する

 

防犯グッズとしては、防犯性能が高いCPマークが付いたものが良いと思います。

 

侵入者がピッキングやドア錠のこじ破りなどの行為を開始してから、建物の内部に侵入が可能になるまでの時間を「抵抗時間」と呼びますが、各製品別に決められた試験の結果、この抵抗時間が5分以上であることが確認され、試験に合格したものを「防犯性能が高い建物部品」としてCPマークとして認定しています。

 

セキュリティ対策がしっかりした分譲マンションでは、各自の防犯に対する認識がどうしてもあまくなってしまう傾向にありますが、玄関ドアや窓のカギを閉めるなどの当たり前の行為を習慣づけておけば、大半の侵入窃盗の被害を防ぐことが可能です。

 

最近の広域強盗事件では凶悪犯が目立ち、寝込みを襲われる等も散見されているので、事件に巻き込まれないためにも分譲マンションでもご自宅の防犯には意識を向けましょう。