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防災士とはどんな資格ですか

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

1995年1月17日の早朝に起きた阪神・淡路大震災から今日で30年が経過しました。

 

地震規模はマグニチュード7.3、最大震度は震度7、死者数は震災関連死を含め6,434人、避難生活者約31.7万人、インフラ等も含めた総被害額は10兆円を上回ったと言われています。

 

防災士は、この阪神・淡路大震災の教訓から生まれたNPO法人日本防災士機構が認証する民間資格です。

 

阪神・淡路大震災では、家屋の倒壊や家具の下敷きになり多くの方がお亡くなりになる一方で、家族や近隣住民が、家屋の倒壊や家具の下敷きになった人々の約8割を救ったとされ、災害時の民間力がクローズアップされ、これらの経験等を教訓にして、地域の防災力の担い手となるのが防災士です。

 

地域住民の一人ひとりが、防災と減災の知識や技能を身につけ、災害時には、地域の人々が協力しあって被災した人を救助したり、火災の初期消火を行い、被害を最小限にくい止める大きな力になって地域全体を守ることが重要です。

 

防災士は「自助」、「共助」、「協働」を原則とし、社会の様々な場で防災力を高める活動が期待され、そのための十分な意識と一定の知識・技能を修得した人をさし、日本防災士機構が定める要件を満たした方が認証されます。

 

資格取得者は東日本大震災後に増加し、近年も南海トラフ巨大地震への備えに対する人々の意識の高まりや認知度の高まり等により、資格取得者数は増え、2024年12月末現在で累計認証者数は306,304人となっています。

 

防災士を認証する日本防災士機構は、阪神・淡路大震災の教訓の伝承と市民による新しい防災への取り組みを推進し、我が国の防災と危機管理に寄与することを目的に2002年(平成14年)に創設されたNPO法人です。

 

日本防災士機構は、本来、国を初めとする公的な財政支援によることなく、純然たる民間自律の発想と、民間パワーによる努力によって地域防災力の向上を目指す組織ですが、自治体とも連携し、互いに協力しあい活動の場を広めています。

 

その結果、全国の地方自治体や国立大学等の教育機関、民間研修機関において積極的な防災士の養成の取り組み進められており、それぞれの地域の自主防災組織や学校、福祉施設、事業所等で防災士の配置・活用の動きが広がっています。

 

これまでに約480の自治体が公費で防災士の養成に取り組み、地域の防災活動のリーダーとして自治体が委嘱(いしょく)する地域防災コーディネーターなどに、防災士が指名されたり、日本防災士会※との防災協定を締結する事例も増えたいます。

 

※ちなみに日本防災士機構と日本防災士会は別の団体です。

 

日本防災士機構は防災士の認証と防災士制度の運営を行う認定NPO法人であり、日本防災士会は防災士有資格者の有志で構成された組織で、全国の会員が力を合わせて地域防災に取り組むNPO法人です。

 

また、認定NPO法人になると、その法人へ寄附をした市民や企業等の寄附者が、税制上優遇されたり、認定NPO法人が納める法人税が優遇されたりします。

 

認定NPO法人には、その運営組織および事業活動が適正であって公益の増進に資するものにつき一定の基準に適合したものが認定されることになっています。

出所 NPO法人日本防災士機構
出所 NPO法人日本防災士機構

防災士になるための手順 

防災士になるためには以下の3ステップをふむことが必要になります。

 

ステップ1

日本防災士機構が認証した研修機関が実施する「防災士養成研修講座」を受講し、「研修履修証明」を取得します。

 

ステップ2

日本防災士機構が実施する「防災士資格取得試験」を受験し、合格する必要があり、受講料は現在3,000円です。

 

ただし、受験資格は前項研修講座の履修証明を取得した者に限られます。

 

ステップ3

全国の自治体、地域消防署、日本赤十字社等の公的機関、または、それに準ずる団体が主催する「救急救命講習」(心肺蘇生法やAEDを含む)を受け、その修了証を取得する必要があります。

 

手続きが有効な修了証は、防災士の認証登録申請時に5年以内に発行されたものであって、かつ、その講習の発行者が定めた有効期限内のものを対象としています。

 

以上の3項目を修了した人が、日本防災士機構への「防災士認証登録申請」を行うことが出来ます。

 

申請料は5,000円です。

 

前記3項目を修了したことが確認でき、「防災士認証登録申請」を適正に提出していただいた人に「防災士認証状」「防災士証(カード)」を日本防災士機構が交付ます。

 

また、消防・警察の現職及びOBなどの方が防災士を取得する際には、その仕事内容により、特例制度が別途設けられています。