
渋谷区で主として中古マンションの売買を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
1月17日に東急電鉄は新空港線(以下「蒲蒲線」と言います。)の営業構想の認定を国土交通省に申請しました。
新空港線は、東急多摩川線矢口渡駅の近くから多摩川線を地下化し、JR・東急蒲田駅の地下、京急蒲田駅の地下を通って、大鳥居駅の手前で京急空港線に乗り入れる計画で、2030年代の開業を目指していましたが、今回の公表では完成時期がずれ込み、2038年~2042年頃の開通を目指すとしています。
既存施設を活用して都市鉄道の利便性を高める「都市鉄道等利便増進法」に基づく申請で構想実現に向けた最初の手続きとなります。
今後は国土交通省から構想認定を受けた後、2025年中に具体的な計画を盛り込んだ「速達性向上計画」の提出を目指すことになり、これが認定されると、鉄道事業の許可を受けたことになります。
現在、JR並びに東急蒲田駅から京急蒲田駅までの約 800mに鉄道は走っておらず、この区間は徒歩、バス、又は、タクシーを利用しているのが現状です。 約800m、徒歩で約10分という距離は、近いけど近くないというむずい距離です。
私は不動産を生業としているので、この区間は何度も歩いていますが、直線距離で800mと言われていますが、実際にはもっと、ずっと距離があるように感じます。
直線距離は約800mですが、東急多摩川線矢口渡駅と京急空港線の大鳥居駅間を地下で通すために、鉄道区間の総距離は約3.1kmになります。
この区間を鉄道で結ぶことで、大田区内の東西の移動が便利になるだけでなく、沿線のまちづくりも一緒に進めることで地域活性化につながると期待されています。
東急東横線や東京メトロ副都心線などへ相互直通させることで、今までの鉄道路線では、羽田モノレール又は京急線を利用するために、東京の東側の浜松町駅又は品川駅を経由しないとアクセスできなかった羽田空港が渋谷駅・新宿駅・池袋駅などの山手線西側の主要駅や和光市・所沢市・川越市等の埼玉県方面へもつながります。
現在、中目黒駅と京急蒲田駅までの所要時間は約36分ですが、新空港線が開通すれば約23分に短縮されるとしています。
JR並びに東急蒲田駅と京急蒲田駅が鉄道で結ばれると、大田区内の東西方向の移動が便利になるとともに、天気にも左右されず、高齢の方、障がいのある方、ベビーカーなどを利用される方も、安全で快適に移動できるようになります。
大田区では、蒲蒲線によって新たな人の流れが生まれると、沿線のまちづくりを行うきっかけとなり、まちがにぎわい、地域の活性化につながるとともに、大きな経済波及効果を生み出すと試算しています。
令和4年12月には「鉄道と魅力的なまちづくり宣言」を行い、まちづくりを行っていく意思表示をするとともに、将来像を共有しその目標に向かって、区民や事業者と連携して取り組んでいくための「大田区鉄道沿線まちづくり構想」の策定に取り組んでいます。
本計画が実現すれば、自動車から鉄道への転換が促され、CO2が削減されることで、大田区が目指すゼロカーボンシティの実現にも貢献することになります。
また、災害があった時などの帰宅困難者に対する、代替ルートとしての選択肢も広がります。
蒲蒲線で広がる鉄道路線の広域ネットワーク

都市鉄道等利用増進法
都市鉄道等利便増進法は、2005年(平成17年8月)に施行され、都市鉄道の既存路線を有効活用して行う、速達性の向上および駅施設の利用円滑化を対象とした鉄道整備手法を定めた法律です。
営業主体(鉄道事業者など)と整備主体(第3セクターなど公的主体)を分離する、いわゆる上下分離方式が採用され、整備主体が国と地方公共団体の補助を受け、残りの事業費を資金調達して施設整備を行い、営業主体は運行により得られる受益相当額を施設使用料として整備主体へ支払うことになっています。
この法律に定められた手続きにしたがい、国土交通大臣による構想認定を受けた場合には、認定構想事業者として、速達性向上計画を作成・提出することになります。
既にこの法律により完成した直近の路線としては相模鉄道西谷駅とJR東日本横浜羽沢駅間(事実上は羽沢横浜国大駅)、新横浜駅と東急日吉駅間があります。
また、みなとみらい線、つくばエクスプレス線、りんかい線、東京モノレール、埼玉高速鉄道などがこの法制度を利用しています。
同計画の大臣認定をもって、鉄道事業法における事業許可を受けたものとみなされます。
なお、新空港線についてのより詳しい内容は、2023年9月4日に掲載させて頂いた「蒲蒲線が開業した場合の未来像」の記事に掲載させて頂いているのでそちらをご覧ください。


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