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マンション防災協会とはどんな組織!?

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

最近はマンションの維持管理や防災に関する団体や自治体による防災制度の創設などが多くなっており、本ブログでも、いくつかの団体や自治体の認証制度などを紹介してきましたが、一般社団法人マンション防災協会とはどのような組織なのでしょうか。

 

一般社団法人マンション防災協会(MALCA)は、マンションの災害対策において、管理組合や居住者と接する管理会社等の関係者と、様々な知識、技術、経験等を持つ人や組織、行政機関等が連携するためのコーディネートの役割を担う組織として活動しています。

 

マンションの防災には、多くの分野が関連し、様々な立場の人や組織の力が必要となっています。

 

また、国や地方公共団体(自治体)においてもマンション防災の中心となって取り組む体制が確立されていないのが現状となっており、マンション防災・減災の当事者である居住者、管理組合等との繋がりも必要となっていますが、実際にはこうした多様な人や組織の連携はあまり進んでいません。

 

 

一般社団法人マンション防災協会(MALCA)は、国や地方公共団体(自治体)等の行政機関とマンションの現場をつなぐと共に、管理会社や関連事業者等を含む関係者の相互理解を深め協力を推進する中間支援組織としての役割を果たすために設立された団体です。

 

MALCA(マルカ)=Mansion Life Continuity Associationの略称です。

 

地震発生後にマンション居住者が自助と共助で生活を継続するための行動計画をマンション生活継続計画(MLCP)と言います。

 

MLCPは、共同生活・共同行動をとることで、お互いに助け合い被害の拡大を防ぐとともに、スムーズな復旧・復興が進むようにすることを目標に作成します。

 

MLCPとはMansion Life Continuity Planの略称です。

 

当団体の理事には管理会社の社長や大学教授、東京消防庁の関係者、ゼネコンの社員などがなっています。

MALCA認証制度

一般社団法人マンション防災協会では、マンションの防災性能向上と安全安心な社会を目指して、マンションでの安全・安心・快適な日常生活及び、災害時の防災・減災や生活継続の有効性が認められるものに「MALCA 認証マーク」を付与しています。

 

この認証マーク制度により、「マンション居住者並びに事業者の防災、生活継続能力の向上に資し、安心安全な社会形成の一助となることを目的とする」としています。

 

MALCA 認証マークの対象となるのは、次に要件に該当していることが必要です。

◆認証の目的に沿っていること。

◆国内外の各製造・管理・衛生基準・管理規定などの諸規則に合格していること。

◆システムやサービス等の無形物、耐震施工・工法・技術等の場合は、採用実績や安全性・有効性が認めら れるもの。

 

実際に認証されているものとして

・簡単トイレ(認証番号170001) 防災用品

 災害時、断水や配管破損等が発生した場合に、既存の便器に被せるだけで使用することができる携帯トイレ。抗菌・消臭

 ポリマーを含んだシートと袋が一体化されており、取り扱いは簡単。既存の便器を有効活用し、衛生的にし尿を分離保管

 が可能となる。袋に使用手順が印刷されており、初めて使う人も安心。 

 

・防災ウエットタオル(認証番号170002) 防災用品

 長期保管が可能で、柔らかく丈夫な大判サイズのウェットタオル。災害時にライフラインが寸断された場合、手洗い等で

 必要な水の供給が困難になるため、衛生環境の悪化を食い止めるために手の汚れをふき取ることができる防災ウェットタ

 オルは衛生管理に欠かせない。本製品は、未完封で5年間の長期保管が可能。

 

・SRF工法(認証番号170003) 耐震補強の工法

 SRF工法とは、コンクリート構造物に対して高延性補強材を接着剤で貼り付けて耐震補強する工法。コンクリート表面に

 接着剤で接着された高延性補強材が応力を負担することで、せん断強度、残存軸耐力および靭性を向上させることができ

 る補強技術。 

 

・コンパクトソーラー(認証番号170004

 防災・防犯・キャンプ・登山と多様な用途で活用できる防水LEDチャージャーと、厚さ1mmの4.2/5Vソーラーシートの

 セット。太陽光から1日(5時間)でフル充電が可能。防水LEDチャージャーは、防水防塵性能IP68の完全防水仕様で、明

 るさは最大で100LM、最長60時間の点灯(明るさ弱時)可能のLEDランプ。スマートフォン1台分の充電も可能(容量

 2600mA)。

 

といった製品が認証を受けています。

マンション防災認定管理者制度

マンション防災認定管理者制度とは、マンション防災に特化したプログラムを、オンライン研修(および確認試験)で学び、レポートを提出した人に授与するものです。

 

研修内容としては、

◆マンション防災認定管理者の意義、危機管理とガバナンス

 リスク管理、危機管理の要諦、リーダーの心得 を学びます。

 

◆マンションの風水害対策の重要性 

 台風接近時のマンションでのタイムラインの作成や、ハード面・ソフト面の風水害対策を学びます。 

 

◆マンション防災関連設備、被災現場の復旧対応・事例紹介 

 マンション関連建築・設備(給排水設備・消防設備・廊下内壁・建具等)の紹介および発災時の安全点検要領、過去のマ

 ンション災害現場対応事例・一次復旧対応の紹介を行います 。

 

◆集合住宅の災害時のトイレ使用マニュアル作成手引き

 大地震などの災害発生時に排水トラブルを回避し、安心して在宅避難するために、管理組合で「トイレ使用マニュアル」

 を作成することを目的とした手引きの紹介です。 

 

◆マンションにおける防火管理者の役割と実践的な消防・防災訓練

 防火管理者の消防法令上の位置づけと役割、消防用設備の適正な維持管理、実践的な防災訓練(室内からの救出・救命・

 応急救護、エレベーター閉込者への対応等)及び常備すべき防災用資器材、マンションの自衛消防組織などについて学び

 ます。  

 

◆マンション防災計画全体像と策定のポイント

  防災計画策定の前提条件や留意事項、地域やマンション・居住者の特性などふまえた、計画の全体像を学びます。 

 

◆国交省補助事業MALCAの取組み(事例紹介)

 高経年マンションと居住者の高齢化に対する防災支援、地域住民を受け入れる津波避難マンションの支援、水没地域の水

 害対策と地区防災計画の策定支援、新型コロナ感染症に対する組合支援などについて学びます。 

 

という研修内容となっています。

 

堅固で不燃構造の建物であるマンションは、在宅避難がしやすい建物である反面、マンションは中高層の建物であるため様々な設備があり、しかも多くは電力を使用しており、電気・水道等のライフラインが長期間途絶した場合や、マンションの受電設備の多くは地階や1階にあるため、浸水した場合は電力喪失が起きやすいという問題が起こります。

 

電気設備が使用不能の場合、エレベーターや照明だけでなく給排水設備も使用できなくなり、特に中層階以上の住戸では、エレベーターの停止や、給水ポンプが稼働せず上下水道が使用できないとなると生活に与えるダメージは大きくなり、二次災害時の高齢者の避難やけが人などの救急搬送にも深刻な影響を与える可能性があります。

 

 

近年の地球温暖化の影響による異常気象が常態化しており、地震・風水害のみならず、感染症を含む「複合災害」への対応が喫緊の課題となっています。

 

このようなリスクに対し、複合災害に強いマンションづくり、災害後の復旧・復興を視野に入れた総合対策を、組織的・計画的に進めていくという構成になっています。

 

ここで学んだ人には「マンション防災認定管理者(中級)」の証書を授与されます。

東京都のマンション防災 

一般社団法人マンション防災協会とは、異なりますが、東京都では、約900 万人の都民がマンション等の共同住宅に住ん

でおり、マンション防災に関して、力を入れています。

 

耐震基準を満たしたマンション等は、被害が軽微であれば在宅避難が可能となりますが、マンションでの在宅避難を継続するためには、各家庭とマンション全体での備えが必要としており、備蓄の必要性を説いています。

 

また、マンション等居住者以外の住民との相互連携による「共助」も欠かせないことから、マンション等居住者も地域コミュニティの一員として防災活動に参画するようピーアールしたリーフレットや動画の作成をしたり、マンション防災セミナーを用意しています。

出所 東京都
出所 東京都