渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
東京オリンピックの誘致が決まった後から、様々な地域でスポーツ競技ができる公園がオープンしたり、公園の再整備が行われています。
国土交通省によると2022年度末の都市公園などの住民一人当たりの面積は10.8平方メートルで、2012年度よりも8%増加しています。
渋谷区でも2020年に宮下公園が、新しく商業施設の宮下パークとして生まれ変わった際に、屋上にスケートボード施設のスケートパークが完成したり、2024年には新国立競技場の隣接地の都立明治公園がグランドオープンしています。
また、今年完成予定の代々木公園Park-PFI計画では代々木公園内の集客活性化のために、岸記念体育館跡地に飲食店などが入った商業施設を建設中であり、完成予定が1か月ほど遅れていますが、2025年3月オープン予定となっています。
神奈川県相模原市では相模原駅北口に2024年4月1日に「相模原スポーツ・レクリエーションパーク」が全面オープンしています。
この公園は在日米軍との共同使用区域となっている米軍相模原総合補給廠(ほきゅうしょう)内にあり、10ヘクタールの広大な敷地に野球やサッカーの芝生グランドを整備しています。
また、一方で大規模な再開発が行われると敷地の一角が提供公園として公園になります。
私達は日ごろ、なにげなく公園という言葉を使っていますが、公園には決まった定義があるのでしょうか。
国土交通省のホームページでは、一般に「公園」と呼ばれているものは都市公園に代表される営造物公園と、国立公園等自然公園に代表される地域制公園とに大別されます。
国営公園は国が維持管理を行う都市公園として、国土交通大臣が設置するもので、都市公園は国営公園及び地方公共団体が設置する公園および緑地となります。
なお、公園を設置する目的は、人々のレクリエーションの空間、良好な都市景観の形成、都市環境の改善、都市の防災性の向上、生物多様性の確保、豊かな地域づくりに資する交流の空間の提供であるとしています。

都市公園の種類
都市公園は小規模な公園から遊具施設やスポーツ施設まで整った大規模公園までいれると全国で約11万か所以上あります。
その中で都市公園は以下のような種類に分類され、それぞえ役目を担っています。
◆住区基幹公園
・街区公園は主に街区内に居住する人の利用を目的とした公園で1箇所当たり面積0.25haを標準として配置。
・近隣公園は主に近隣に居住する人の利用を目的とした公園で1箇所当たり面積2haを標準として配置。
・地区公園は主に徒歩圏内に居住する人の利用を目的とした公園で1箇所当たり面積4haを標準として配置。都市計画区
域外の一定の町村における特定地区公園(カントリ-パ-ク)は、面積4ha以上を標準とする。
◆都市基幹公園
・総合公園は都市住民全般の休息、観賞、散歩、遊戯、運動等総合的な利用を目的とする公園で都市の規模に応じて1箇所
当たり面積10~50haを標準として配置。
・運動公園は都市住民全般が主として運動することを目的とする公園で都市規模に応じ1箇所当たり面積15~75haを標準
として配置。
◆大規模公園
・広域公園は主に一の市町村の区域を超える広域のレクリエ-ション需要を充足することを目的とした公園で、地方生活圏
等広域的なブロック単位ごとに1箇所当たり面積50ha以上を標準として配置。
・レクリエーション都市は大都市その他の都市圏域から発生する多様かつ選択性に富んだ広域レクリエ-ション需要をみた
すことを目的とし、総合的な都市計画に基づき、自然環境の良好な地域を主体に、大規模な公園を核として各種のレクリ
エ-ション施設が配置される一団の地域であり、大都市圏その他の都市圏域から容易に到達可能な場所に、全体規模
1,000haを標準として配置。
◆国営公園は主に一の都府県の区域を超えるような広域的な利用を目的として国が設置する大規模な公園では、1箇所当たり面積おおむね300ha以上を標準として配置。国家的な記念事業等として設置するものにあっては、その設置目的にふさわしい内容を有するように配置。
◆緩衝緑地帯等
・特殊公園は風致公園、動植物公園、歴史公園、墓園等特殊な公園で、その目的に則し配置。
・緩衝緑地は大気汚染、騒音、振動、悪臭等の公害防止、緩和若しくはコンビナ-ト地帯等の災害の防止を図ることを目的
とする緑地で、公害、災害発生源地域と住居地域、商業地域等とを分離遮断することが必要な位置について公害、災害の
状況に応じ配置。
・都市緑地は主に都市の自然的環境の保全並びに改善、都市の景観の向上を図るために設けられている緑地で、1箇所あた
り面積0.1ha以上を標準として配置。但し、既成市街地等において良好な樹林地等がある場合あるいは植樹により都市に
緑を増加又は回復させ都市環境の改善を図るために緑地を設ける場合にあってはその規模を0.05ha以上とする。(都市計
画決定を行わずに借地により整備し都市公園として配置するものを含む)
・緑道は災害時における避難路の確保、都市生活の安全性及び快適性の確保等を目的として、近隣住区又は近隣住区相互を
連絡するように設けられる植樹帯及び歩行者路又は自転車路を主体とする緑地で幅員10~20mを標準として、公園、学
校、ショッピングセンタ-、駅前広場等を相互に結ぶよう配置。
Park-PFI(公募設置管理制度)
Park-PFIは2017年に都市公園法の改正により新設された制度で、公園内で飲食店・売店などを設置・運営を行う民間事業者を公募により選定する制度です。
都市公園法改正前でも、公園管理者以外の民間事業者などが公園施設を設置して管理できる制度(設置管理許可制度)があり、この制度を活用して、公園内に売店やレストランなどが設置されていましたが、この従来の制度では、設置管理許可期間の上限は10年(更新は可能)となっていました。
2017年の改正で設置管理許可期間の上限が20年までになり、また、建ペい率の特例などもあり、事業者にとってインセンティブとなる規制緩和も併せて行われています。
建ぺい率の特例とは、カフェやレストランなどの便益施設の建蔽率は上限が2%になっていますが、Park-PFIでは、休養・運動施設などと合算して10%まで上乗せ可能になっており、このインセンティブにより、民間事業者は長期的な投資回収が可能となり提供できるサービスの幅も広がります。
公園での事業収益の一部を公園の環境整備・再生整備などに還元することを条件に、地方公共団体が民間事業者などから企画提案を募り、最も優れた事業者の提案が選定され、認定を受けた当該事業者による収益施設が設置されます。
設置する施設は、公園利用者へのサービスを向上し、公園管理者の負担を軽減できることが前提となります。
さらに、事業者が収益を充てて行う環境整備・再生整備で一般の公園利用者が利用できる公共部分は、社会資本整備総合交付金(官民連携型賑わい拠点創出事業)の対象となります。
民間事業者が特定公園施設を設計・整備後、施設を地方公共団体へ引渡す際に、地方公共団体が対価として支払う金額を交付金の対象としており、支払い額の2分の1以内を国から地方公共団体に支援する仕組みになっています。
公募対象の収益施設および環境整備・再生整備に対して、地方公共団体が民間事業者に資金の貸付けを行う場合、当該貸付けに必要な資金の2分の1以内を、国が地方公共団体に低利子で貸し付ける(賑わい増進事業資金)ことができるようになっています。
また、国家戦略特区以外の都市公園でも、保育所などの社会福祉施設を公園内に置くことができるようにもなっています。
にぎわう公園は街に活力を与える大きな力となっており、魅力のある公園は、地方自治体の人口減少に歯止めをかける一つの大きな手段といえ、このPark-PFIを利用した事業は最も注目されても良いと思います。
例えば、日本ではBBQは既に人気が定着しいる一方で、河原や砂浜などでのBBQのマナー違反とゴミ問題が大きな社会問題となっています。
この大きな理由の一つとして、そもそもBBQが可能な公園や施設が日本では限られていることだと感じています。
日本は欧米各国と比較して、一人当たりの公園面積は狭いので、今後は低価格で楽しめるBBQ施設がPark-PFIによって増えていけば良いのではないでしょうか。



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