渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
今朝の日経新聞のビジュアル解説のページで、電車の遅延発生件数は5年で8割増加しましたが、混雑に関連した遅延は減少しているとの記載がありました。
私は京王線を利用して通勤しており、昨晩も帰りの電車が混雑のため遅延しているとの車内アナウンスがあり、1週間に数回は「社内混雑の影響により10分程度遅延しています」というアナウンスを聞いている感じがするのですが、遅延の実態は少しばかり違うようです。
鉄道の遅延や運休などの運行情報を乗換案内サービスに提供している株式会社レスキューナウ(資本金4億円)のデータを基に日本経済新聞社が集計した結果によると首都圏と関西圏の主要74路線の2019年の遅延発生件数3,504件から2024年は8,050件に増加しており、実に77%も遅延が増えています。
国土交通省では運休や30分以上の遅れを輸送障害としていますが、各社が公表する遅延の情報にはばらつきがあるようで、JR東日本や東武鉄道などは30分、東急電鉄や東京メトロは15分を遅延の目安としているようです。
実際には、この基準に満たない場合でも公表するケースも多いようで、私が通勤で利用している京王線はまさにこれに当てはまると思います。
上記内容にかかわらず、大半の鉄道路線では、遅延証明書については5分以上の遅延時間が発生した場合に発行していますが、相鉄線は10分以上の場合に遅延証明書を発行しています。

電車遅延の主な理由
下記の表は2019年と2024年で比較した電車遅延理由の主な内容となっています。

この内容を見ると、踏切点検と線路内点検が特に増えており、また、線路内の立ち入りや乗客の救護や人身事故も件数としては多いようです。
痴漢行為をおこなった人が線路内に立ち入り逃走というニュースもこの類に入るかと思います。
最近はホームドアがかなり普及してきているのですが、人身事故は変わらず起きてるようです。
また、専門家の間では、センサー類の精度があがったためにちょっとした異音などを探知してしまうため点検するケースが増えているという見方もあるようです。
ただ、私が最大の原因だと思うのは記事にも掲載がありましたが、JRと私鉄の相互乗り入れ、地下鉄と私鉄の相互乗り入れにより、大鉄道網が形成され、乗り換えが減り、利便性の向上につながっている一方で、どこかの路線で遅延等が発生すると多くの路線に影響が出てしまうことが電車遅延の最も大きい要因の一つと言えるのではないでしょうか。
例えば湘南新宿ラインは群馬県、栃木県、茨城県、埼玉県、東京都、神奈川県と1都5県にも及ぶ路線であり、2002年に、りんかい線とのホーム共用の開始、2019年には相鉄線との相互直通運転が開始されており、どこかで人身事故が起きると多くの路線にその影響が伝播します。
利便性が高くなった分、電車遅延のリスクが増大しています。
電車の利用者は減っているのに混んでいる??
国土交通省の調べでは、コロナ前と比較して、電車の利用者数は減ってていますが、電車が、コロナ前よりも混んでいるように感じてしまうのは私だけでしょうか。
2024年12月17日の「首都圏のJR路線の混雑率ランキング」に掲載させて頂きましたが、鉄道の利用者数はコロナ禍と比較すれば、かなり回復していますが、それでも、コロナ前の2019年と比較すると、まだまだ利用者数は少ないと言えます。
混雑理由のひとつとしては、コロナ禍で列車の本数を鉄道各社が減らしたため、その分電車の輸送能力が落ちてしまい、一度に車両に乗る人が増えていることが挙げられます。
また、訪日外国人の増加に伴い、大きなスーツケースや大きなバッグをもって電車で移動する外国人が増え、大きな外国人とその大きな荷物により電車内が狭く感じられるということもあるかもしれません。
ただ、最も大きな理由はコロナ禍で人と人との距離(ソーシャルディスタンス)を気にせずにはいられなくなり、コロナ後も、このソーシャルディスタンスを維持しようとしてしまう心理状態が常態化してしまったからではないでしょうか。
鉄道網の大構築により、電車の利便性が増し、またコロナ禍での良い副産物としてテレワークが浸透し、働き方改革も進み、通勤通学時のラッシュ時の人数は減少しているものの、技術力の進化により、逆にコロナ前より電車の遅延回数が大幅に増えてしまったという矛盾にどう対応していくのかが今後の課題かもしれません。

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