渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
家を建てる際、外観や設備、内装にこだわる人は多いですが、家の基礎にこだわる人は果たしてどれくらいいるのでしょうか?
実は、基礎は住宅の寿命や安全性に直結する非常に重要な要素です。
今回は、戸建て住宅の基礎としてよく使用される「ベタ基礎」と「布基礎」についてお話しします。
まず建物の基礎についてのお話ですが、基礎は建物の重さを地面に均等に伝える役割を持つ、住宅の最も重要な部分の一つです。
基礎が適切に施工されていないと、建物が沈下したり、地震時に大きな被害を受けるリスクが高まります。
基礎はまさに「縁の下の力持ち」であり、基礎の選定は、住宅の安全性を左右する重要な工程となります。

べた基礎
ベタ基礎は、建物全体を厚いコンクリートで覆う基礎の形式です。
ベタ基礎の主な利点は以下の通りです。
◆広範囲な支持力
建物全体にわたる基礎が、建物の荷重を広範囲に分散し、これにより、局所的な沈下や傾斜を防ぎ、長期間にわたって建物の安定性を保ちます。
◆湿気対策と害虫防止
全面コンクリートなので、地面からの湿気や害虫の侵入を防ぎ、シロアリなどの被害を軽減します。特に木造住宅では、この点が大きなメリットとなります。
◆耐震性能
ベタ基礎は、地震による地盤の変動にも強く、液状化現象が生じやすい地盤でも建物をしっかり支えることができます。
ベタ基礎は施工に手間がかかり、コンクリートと鉄筋を大量に使用するのでコストも高めで、残土の量も多くなりますが、長期的な耐久性や安全性を考慮すると、基礎をべた基礎で施工することは非常に価値のある投資と言えます。
但し、寒冷地で気温の低下で地中凍結がおこると地面が膨張して基礎を押し上げて損傷させる危険性があり、基礎をより深く掘る必要が生じるため、べた基礎よりも布基礎を使用することが多いと言えます。
布基礎
布基礎は、建物の柱や壁の部分にのみ基礎を設ける形式です。
布基礎の主な特徴は以下の通りです。
◆コスト効率
使用する鉄筋やコンクリートの量が少なく、施工が比較的簡単でコストを抑えることができるため、予算に制約がある場合には魅力的な選択肢です。
◆適用条件
しっかりした地盤や、木造や軽量鉄骨造などの軽い建物に適した基礎で、この条件下では十分な耐久性を発揮します。
一方で、布基礎は局所的な荷重集中に対する耐性が低いので、地盤が弱い場所や重い建物には不向きです。
また、地面からの湿気にょる木材の腐食や害虫対策が必要となり、特にシロアリ被害には注意が必要です。
布基礎の床下は地面がむき出しになっている場合もありますが、通常は地面からの湿気を防ぐために防水シートや薄いコンクリ-トを敷き詰めますが、べた基礎と比較すると耐久性が低いと言えます。
地盤調査と必要に応じて地盤改良工事も必要
基礎の選定の前に、必ず地盤調査を行います。
地盤調査の主流は安価で調査できるスウェーデン式サウンディング試験が用いられることが多く、地盤の耐力を測定します。
この結果に基づき、適切な基礎形式や必要な地盤改良工事を決定します。
地盤改良工事の種類
•表層改良 軟弱地盤が浅い場合、土と固化材を混ぜて強化します。
•柱状改良 軟弱地盤が深い場合、コンクリートの柱をいくつも地中に設けて基礎を支えます。
•鉄管杭 非常に深い軟弱地盤には、鉄製の杭を打ち込み、安定した支持層に到達させることで建物を支えます。
家づくりの基礎選定は、住宅の安全性と寿命に直結する重要なステップです。
ベタ基礎と布基礎の特徴をよく理解し、地盤の状態や予算に応じて最適な選択を行うことが大切です。
基礎を選ぶ前にまずはしっかり地盤調査して、専門家に相談することが大切です。
理想を言えば、土地を購入する前に地盤調査をさせてもらい、地盤が問題無いか確認したいところですが、売り主さんというか売り手側の仲介がOKを出さないですし、場所にもよりますが地盤調査費用は10万円程度はかかるので、購入前の調査は難しいのが実情です。
代替え案としては、地盤を調べるサイトとして下記があるので、購入したい物件の近くのデータがあればラッキーです。
しかしながら私のゼネコン時代の経験上、同じ敷地内でも、地盤のn値(地耐力の目安を表す指標)で全然異なる数値が出る事もあるので、過信は禁物です。
あくまでも参考程度で見て頂ければと思います。
最もお金がかかる可能性が高い基礎工事
土地の購入には様々なリスクが目白押しです。
特に、土の中は表面からはわからないリスクがたくさんあります。
土地を購入して、戸建てを新築する場合には特に、予備費用を必ず多めに用意しておくべきだと思います。
私もゼネコン時代に建築を請け負ったマンション建設予定の敷地に解体した建物の杭が残っており、また基礎を解体した後のガラが埋まっていたこともあり、大変な思いをしたことがあります。
また数年前に病院の跡地の売買を行った際には、地中から、注射器や医療機器が出てきたり、また隣地の排水管が売地の中を横切っていたりと、次々と想定外のことが起こり、ダメ押しは病院の解体でアスベストのレベル1が出て、解体工事費用よりもアスベストの処理代がかかってしまったという取引もありました。
以下に、土地を購入した際のリスクをいくつか列挙したいと思います。
1. 解体された建物の基礎が残っていたりコンクリート殻が埋まっており、処理に多額の費用がかかった
2. 購入した土地が切り盛り土であり場所によって地耐力が違い、基礎工事に多額の費用がかかった
3. 軟弱地盤で、地盤改良工事に予想外の費用がかかった
4. 墓石や人骨がでてきたために工事が長期間ストップした
5. 土器などの埋蔵文化財がでてきた
6. 井戸がでてきた
7. 人体に影響を及ぼす化学薬物が検出された
8. 確定測量図の交付を受けずに売買したために、隣地の方と境界杭でもめた
9. 古屋付の土地を購入したら、古屋からアスベストが検出され莫大な工事費用がかかった
10. 私道の持ち分を持っておらず私設の上下水道の持ち分も持っていなかったために、私設管の所有者と揉めた
11.隣地との境界のブロック塀が誰の所有かわからず、新規の塀を造るのに時間がかかった
12.前面道路が4mに満たない道路であったため、建築の際に、道路の確定の費用を負担させられた
13. 売主が土地の売却の前に隣地の所有者の建築計画に反対していたため、制限を逆にのまされた etc..
といった具合に、土地には様々なリスクがあります。
上記のなかで10の項目については民法の改正が行われ、越境樹木の伐採や私道の道路掘削許可は、一定のお願いを先方にしても回答が無かった場合には承諾無しでも伐採や道路の掘削工事ができるようになりましたが、上下水道が私設管の場合には、少し事情が違う場合があります。
そのため、弊社では十分な手持ち資金がある方やご実家の土地に新たに家を建て直すといった方以外に対しては、基本新築の建売住宅か現行耐震基準以降の中古物件(2000年6月1日以降に建築確認申請を取得した物件)又は売り主が不動会社でで建築条件無しの土地を中心にご紹介するようにしています。

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