渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
不動産の販売図面や広告に記載されている物件の所在地を示す欄に「所在」「所在地」「住居表示」「住所」「地番」といった言葉がよく使われています。
これらの言葉は、普段の生活ではあまり意識することがないかもしれませんが、実は意味が少し異なります。
今回は、この「所在」や「住所」の違いについて詳しく見ていきたいと思います。
はじめに「所在」という言葉ですが、これは主に法務局が管理する土地の「地番」を示しています。
法務局では、土地の区画ごとに地番という番号が割り振られており、この番号を使って土地を管理しています。
物件の「所在」とはその土地の法的な位置情報であり、法務局や自治体などの公的機関が土地の登記や取引の確認をする際に使う番号となります。
一方で、私たちが普段生活で使っている「住所」は、市区町村が一般的に管理している情報で、郵便を送る時や、カーナビに目的地を設定する時に使う「住所」は、市区町村が定めるこの「住所」となります。
一般的には、「所在」と「住所」が同じであることが多いのですが、例外もかなりの数にのぼります。
特に郊外の新興住宅地や一部の地域ではこの二つが異なることがあり、東京23区内のマンションでも住所と地番が違うといったことは、往々にしてあることです。
例えば、不動産広告に記載されている「所在(地番)」を「住所」と思い思い込んでカーナビに入力したとき、「該当の住所が見つかりません。」というような案内が出ることがありますが、これは、カーナビや地図アプリは「住所」に基づいて情報を表示しているためです。
この「所在」と「住所」の違いは、特にカーナビやスマホの地図アプリを使って物件に向かう時に混乱を招くことがあります。
特に新築の建売住宅では「不動産のチラシに書いてあった場所がナビで出てこない!」という経験をしたことがある方も、いらっしゃるかもしれません。
ただ、「所在」と「住所」に違いがあってもあまり神経質になる必要はありません。
物件の「所在」と「住所」が違っていても、それが家の購入に大きなリスクをもたらすわけではなく、特に物件を探し始めたばかりの人にとって、この違いはほとんどの場合問題にはなりません。
ただ、ご自身だけで実際に物件を見に行く際には、不動産業者にあらかじめ正確な「住所」を確認しておくと安心です。
実は、不動産を購入する際には、事前に現地を自分で訪れて、周辺環境をチェックすることはとても重要なセオリーです。
グーグルマップでほとんどの物件の周辺を確認することは出来ますが、その「街の雰囲気」や「肌感で感じる匂い」は実際にいってみてご自身で感じた方が良いと思います。
またできれば駅から物件までは車では無く、歩いた方がより、街の雰囲気を感じることができます。
ただ、実際には物件の内覧をする前に、事前に周辺環境をチェックして見て回る人は、近くにお住まいの方ぐらいで、ほとんどの方は内覧時にはじめて現地を訪れるというパターンがほとんどです。
そのため、弊社では内覧時に駅でお待ち合わせをして、極力歩いて現地に行くようにし、駅に戻る際にはルートを変えて街の雰囲気を確かめる事も内覧の一連の流れと考えています。

販売チラシの表示は住居表示が一般的
実は、先述させて頂いた内容は原則なのですが、不動産業者が販売時に作成する販売図面(マイソク)では「所在」には「地番」を使わないで「住所」を記載しており、実際にはかなり緩く使われています。
まず、中古マンションの場合は「所在」と記載されている欄には、ほぼ100%「住居表示」が記載されています。
中古の戸建住宅の場合は「所在」と記載されている欄には、例えば、「世田谷区経堂3丁目」と町名までしか記載されておらず、内覧を検討する際に、元付の不動産会社に正確な住居表示を教えてもらうのが原則です。
戸建ての場合は住居表示を記載してしまうと物件が特定されてしまい個人情報の問題からこのような対応となっています。
マンションの場合も同様で、販売図面には所在階までは表示されていますが、個人又は一般法人などが売主の際には部屋の番号までは記載されません。
但し売主が不動産会社の場合は部屋番号まで記載してあるのが一般的です。
新築の建売住宅の場合は売り主が不動産業者なので「所在」と記載されている欄に「地番表示」「住居表示」の2つが表示されることが多いです。
厳密に言えば、「所在」又は「所在地」は本来は「地番」を、マンションであれば「家屋番号」を記載するのが筋ですが、販売図面では、ほとんどが「住居表示」での記載となっています。
理由は簡単で「住居表示」であれば、物件の場所がすぐにわかりますが、「地番表示」の場合は、いちいち「地番」を調べないと場所を特定することが難しいからです。
「住所」は不動用語では「住居表示」となります。
マンションの場合は町名までが「住所」と「地番」が同一でその後番号が違って、最終的な部屋を特定する「部屋番号」と「家屋番号」が同じであるパターンが基本ですが、築年数が経過しているマンションは「部屋番号」と「家屋番号」が異なっているケースも多く見受けられます。
交通(アクセス)の徒歩〇分も注意が必要
販売チラシの交通(アクセス)の欄に「駅徒歩○分」と書かれていますが、これも一種の目安です。この「徒歩○分」という時間は、不動産業界では「1分で80m」として計算されています。
一説によるとこの1分で80mの計算根拠は、ハイヒールを履いた女性の歩くスピードが根拠となっていると言われています。
それなら成人の男性ならもっと早く歩けると思いがちですが、実際にその距離を歩いてみると、信号や坂道、踏切などの要素が加わるため、実際よりも時間がかかることがあります。
またあくまでもこの距離は改札口ではなく、駅の出口からの距離になりますので地下鉄の駅などは、より多くの時間がかかると考えた方が良いので、気になるようであれば自分のペースで実際に歩いてみましょう。
不動産選びは、色々な情報を確認する必要がありますが、あまり細かいことにこだわりすぎると不動産の購入自体が難しくなってしまう場合もあります。
「所在」と「住所」の違いは、その一例と言えます。
もちろん、この違いを知っておくことは損にはなりませんので、「そんな話もあったなあ~」程度で覚えて頂ければと思います。
また、物件に関して何か気になることがあれば、すぐにバイヤーズエージェント(買主側の不動産業者)に質問することが大切です。
経験豊富なバイヤーズエージェントであれば、丁寧に答えてくれるはずですし、物件選びがスムーズに運ぶと思います。
「所在」と「住所」の違いは、不動産広告を読む際に知っておくと役立つちょっとした豆知識です。
特にカーナビや地図アプリを使って物件に向かう際には、注意が必要かもしれませんが、正確な住所を確認すれば大きな問題にはなりません。
不動産の購入は最終的には、自分の目で見て、足で確認することがとても大切です。
不動産選びは人生の大きなターニングポイントなので、しっかりと準備して理想の住まいを見つけましょう。
そして、物件探しのプロセスを楽しみながら進めていくことが大切です。
そうすれば、納得のいくマイホーム選びができるはずだと思います。

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