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オフィスビルの人気が二極化

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

三鬼商事が発表した東京ビジネス地区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の2025年4月時点の平均空室率は3.73%で平均賃料も前月比で坪単価当たりで114円値上がりし、底堅く推移しており、東京ビジネス地区全体の空室面積は1か月間で約1万500坪減少しているとしています。

 

同じく、ザイマックス総研が公表した同月の東京23区の空室率は前月比で0.07%下落の2.26%、募集面積率が3.37%としており、こちらで公表したた数値でも東京23区のオフィスの稼働は底堅く推移しているとしています。

 

これを見る限りでは、コロナ禍を経て、オフィスビルの市況は、ほぼほぼ復活していると言えると思いますが、本当にそうでしょうか?

 

今日の日経新聞の一面には、1年超の空室を抱えるビルが都心で急増し、賃貸の延べ床面積が5,000坪超えの大型オフィスビルの空室面積は3年前と比較して12倍に急増しているとしています。

 

ちなみに記事では、賃貸フロアのうち稼働していない空室がある割合を示す空室率が1年以上にわたり20%を超えるビルを長期空室率ビルとしています。

 

確かに都心の大型ビルは増え続けてます。

 

私が信託銀行に出向していた2002年から2003年にかけては、丸ビルが竣工し、その後数年の間に建設された都心部の大型オフィスビルは、ほとんど名前を覚えていたのですが、それから20年以上経過した今となっては、オフィスビルの分野に関与しなくなった点も大きいですが、あまりにも多くのビルが建設されたため、大手町の地下街を歩くと迷子になってしまう程、多くの大型オフィスビルが乱立しています。

 

オフィスビルがどんどん建設されれば、いくらオフィスビルの空室率という割合は減少しても、空室面積自体は確かに増加します。

湾岸部のビルはリスクが高い??  

記事によると、オフィスビルの立地において、格差が鮮明に出ており、2025年1月時点では「晴海、勝どき、月島エリア」が全体の35%を占め、「豊洲、有明、辰巳エリア」が26%となっているとのことで、長期空室ビルの割合がこの湾岸エリアだけで6割超えになっているとしています。

 

一方で、「大手町、丸の内、有楽町エリア」の長期空室ビルは同時期時点ではゼロとしています。

 

以前は、大型オフィスビル自体が少なく、大型オフィスビルを開発すれば引く手あまたの状態でしたが、現在は大型オフィスビルの市場が急拡大しており、一部では飽和状態が出始めているようです。

 

また、都心部と湾岸エリアを結ぶ都営大江戸線などの半ば無理やり開通させた新しい地下鉄路線は車両もホームも狭いため、通勤時間帯はラッシュになりがちです。

 

更に大深度のため、地上からのアクセスも悪く、例えば迷路のような長い通路やエスカレータが無く、階段が多く、ホームへ向かう階段自体も狭いなど、使い勝手が悪く、実質的な通勤時間は、かなり長くなるため、必然的に湾岸エリアの物件は競争力で見劣りします。

 

また、オフィスビルに限らす、湾岸部のタワマンなども海風をまともに受けるため、建物が塩害によって傷みますので、所有者は建物の維持管理にも膨大な費用をかける必要があります。

 

現在も湾岸部の新築タワマンは非常に高い人気があり、数億円もする部屋が完売御礼となっていますが、築年数が経過した湾岸エリアのタワマンは売りに出されている物件も多くなっています。

 

今は買い手と売り手は、ほぼほぼ拮抗している状態ですが、オフィスビルが苦戦し、企業が湾岸エリアのオフィスビルから転居すれば、職住近接でこの湾岸エリアを購入された方の一部は、湾岸エリアから離れていく可能性があります。

 

一見すればオフィスビル市場と住戸であるタワマンの売買市場は関連性が薄いように感じられますが、オフィスビルが企業の誘致に苦戦するのと同様に、タワマンも自分の思い通りの値段では売却出来ない可能性が高くなっていく恐れがあります。

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