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京王線の乗降者数の推移(2024年度)

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

京王線の2024年度(2024年4月~2025年3月)までの乗降者数が既に公表されていますので、その中身を見ていきたいと思います。

 

コロナ禍で落ち込んだ乗降者数はその後、順調に回復していますが、2008年9月に起きたリーマンショック後の2009年度の乗降者数2,291,426人やそれ以降最低であった2011年度の乗降者数2,231,624人を依然として上回ることが出来ていません。

 

2024年度の乗降者数は、近年最低乗降者数であった2011年度と比較しても、年間で約10万6,000人、1日約290人乗降者が少ない状況となっています。

 

テレワークと出勤のハイブリット型の働き方が定着したものの、確実に通勤する人は増え、学校も通学が基本となっており、また2024年に日本を訪れた外国人も約3,687万人もおり、外国人にも人気の高尾山への玄関口である高尾山駅も有するにもかかわらず、京王線の乗降者数はコロナ禍前には戻っていません。

 

実は京王線に限らず多くの路線がコロナ禍前の状態にまで乗降者数は回復していません。

 

最近の朝夕の通勤電車の混雑状況は、コロナ禍前に完全に戻ったと多くの人が感じていると思いますが、乗降者数はまだまピークと比較しても減少したままの状態なのです。

 

混雑していると感じてしまうのは、始発列車が遅くなり、終電の時間帯が切り上げられたことや、京王ライナーの増便により、通常の電車の本数が減らされていること、多くの人が乗る時間帯が同じだからではないでしょうか?

京王線の乗降者数が戻らない原因は 

京王線に限った訳ではありませんが、人口集中が再び加速している首都圏エリアで、コロナ禍前の状態まで、乗降者数が伸びていない主な原因は少子高齢化と多死社会です。

①団塊世代の退職

団塊の世代の方が75歳を超える年齢となり、ここの年代が一気に仕事を辞めたため、通勤での電車の利用者が一気に減っています。

 

また、社会とのつながりが無くなった当初は、退職祝いや慰労会などが頻繁にあっても、リタイアして数年経過すると一気に、社会とのつながりも減り、外出する機会自体が減っていくため、電車を利用する機会も当然減っていきます。

②高齢化による外出機会の減少

一般的に女性はコミュニティーを形成し維持していく能力に長けているため、何かと出かける機会が高齢になっても多少あるようなのですが、男性はリタイアすると一気に、社会との繋がりが減ってしまうため、外出の機会が著しく減少し、電車を利用する機会が減ります。

 

リタイアした後に年賀状の枚数が減るのと同様、外出の機会も減っていきます。

 

また最近は健康ブームでお酒を飲まない人が増え、また、隣の駅ぐらいであれば健康のために電車乗らないでウオーキングする高齢者も増えています。

③多死社会の到来

年間160万人もの人々が亡くなる日本の社会では、郊外に住んでいる方がお亡くなりになれば電車利用は自ずと減っていきます。

 

京王線内では毎年生まれる子供の数の減少と高齢者の死亡者数の増加に対し、流入人口がそれを上回っていない可能性が高いのも大きな要因の一つと思われます。

 

東京都は日本で一番流入人口が多い都道府県ですが、現に、令和7年6月1日現在の東京都内で対前年比で人口増加の多い市区町村は北区5,623人、板橋区5,580人、大田区5,500人、世田谷区5,485人、足立区5,313人となっており京王線沿線で流入が多いのは世田谷区のみとなっており、東京都の西部エリアの人口は減少しており、この絶対数の減少により京王線の利用者数も減少しています。

④通学で利用する学生数の減少

東京都の出生数は基本的に右肩下がりでしたが、2006年から2015年までの約10年間は出生者数は増加に転じていました。

 

しかしながら、2016年から、再び出生数は減少しており、コロナ禍で更に出生者数の減少は加速しています。

 

大学への進学率の上昇や中学受験の浸透により、学生の鉄道利用者数は増加していると思われますが、大きな流れとしては、学生の絶対数の減少が鉄道利用者数の減少に繋がっている恐れがあります。

⑤都心部への移住

通勤通学に便利な都心部への移住が進み、郊外から都心部へ通勤通学をする人が減少しています。

 

リーマンショック後の2010年頃は都心部のマンションも価格が安く、利便性を求めて多くの方が都心部に移住しました。

 

近年は都心部のマンションの価格は高すぎて、一般のサラリーマンが手を出せる金額ではなくなってしまいましたが、若い世代はシングル向けのマンションを借りて都心部に住む流れは続いています。

 

更に、東京都の西部エリアは居住エリアとしては高い人気を誇っていましたが、東京スカイツリーができた頃から、都心への通勤通学の利便性が高く、価格もお手頃であった東京東部エリアへ移り住む人が年々増加しています。

 

京王線はどこか田舎チックな路線のため、小田急線や東急線と比較して割安でしたが、調布駅前の再開発や線路の一部地下化により、笹塚駅から調布駅の間は価格が上昇しており、この影響でリーズナブルな路線だからという理由で京王線沿線を居住地として選ぶ人が減少している可能性があります。

⑥テレワークと出勤のハイブリット化の定着

京王線に限らずコロナ禍による働き方改革により、テレワークが浸透し、会社に出勤する回数が明らかにコロナ禍前より減少している企業が増えており、これが鉄道利用者数の減少に繋がっています。

乗降者の増加要因 

反対に乗降者数の増加要因としては以下の項目が挙げられます。

①女性の社会進出

女性の社会進出により、専業主婦という言葉が死語となりつつあり、結婚後や出産後も社会人として働く女性が、鉄道利用の増加に繋がっています。

 

更に女性の営業職も増えており、これも鉄道利用の増加に繋がっています。

②外国人観光客と働く外国人の利用

活発な活動をする外国人観光客、特に近年は高尾山への外国人登山者が増加しています。

 

また、日本で働く外国人も鉄道利用に大きく貢献しています。

③沿線の再開発や既存施設による集客効果

味の素スタジアムでのスポーツ観戦、ファミリーが集まる場所となった府中競馬場、高尾山周辺の飲食店や温泉施設などの充実、読売ランドの観覧車の新設やイルミネーションイベントの開催、調布駅前再開発による調布駅前の整備に加え、まだ未定の部分が多いものの、京王線新宿駅前の大規模再開発、京王多摩川駅前再開発などにより、京王線利用者の増加が見込まれます。

京王線の取り組み 

京王電鉄の業績を見てみると、基本コロナ禍以降は右肩上がりで業績が上昇していますが、株価は低迷したままです。

 

新たな対策としては有料電車である京王ライナーの増便により営業利益を増加させていますが、あまり有料電車を乱発させると、有料電車を利用しない多くの京王線利用者の利便性が逆に悪くなり、本末転倒の話になってしまいます。

 

大前提は、沿線に住む人を増やさないと根本的な鉄道利用者数の増加には至りません。

 

経費削減のための減便ではジリ貧になっていくばかりなので、「③沿線の再開発や既存施設による集客効果」で述べさせていただいた内容を更にブラッシュアップさせたり、離島への窓口となっている調布飛行場を含めた離島との連携などをより深めていけば、更なる可能性が見いだせるのではないでしょうか。

 

首都圏の主要路線の乗降者数の推移は今後、随時改定していく予定ですので、詳しくは弊社ホームページ内の公開データの各駅乗降者をご覧ください。

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