渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
2025年(令和7年)12月3日のブログで2026年度の住宅ローン減税の概要を記事として掲載させて頂いていましたが、2026年(令和8年)3月31日に住宅ローン減税等に関する税制改正が国会で成立していますので、改めてその概要をお話しさせて頂きます。
2026年度(令和8年度)の住宅ローン減税制度の基本的な内容は前年度と同様で、年末のローン残高の0.7%の控除となっています。
大きく違うのは、控除期間で、新築住宅と同様に中古住宅(既存住宅)でも最大で13年間が住宅ローン減税の対象期間となります。
但し、省エネ基準を満たしていない中古住宅(既存住宅)は従来通り、借入限度額が2,000万円、控除期間は10年なので、受取りが出来る最大可能額は10年間で合計140万円となります。
買取再販住宅は、新築住宅と同等の支援水準となります。
例えば、2028年(令和10年)以降に省エネ基準である買取再販住宅に入居する場合は、借入限度額は2,000万円で控除期間は13年となり、その他の住宅の控除期間10年よりも優遇されます。※国土交通省 令和8年度税制改正における住宅ローン減税の制度変更Q&Aを参照してください。
リフォームの借入限度額は2,000万円で控除期間は10年で省エネ基準を満たしていない中古住宅(既存住宅)と同じです。
本来であれば2025年(令和7年)末までの入居を期限としていましたが、適用期限を5年間延長して2026年(令和8年)1月1日~2030年(令和12年)12月31日までに入居した場合が適用可能になります。
入居とは実際に引越して2030年(令和12年)12月31日までに購入した新居に住民票を移す必要があります。
また、従来は一定要件を満たした方が新築住宅を購入する場合のみ、登記簿記載の床面積が40㎡以上で、通常は登記簿記載の床面積が50㎡以上であった要件が都心部の住宅価格の高騰や単身世帯の増加により、中古住宅(既存住宅)でも40㎡以上と要件が緩和されました。
但し、世帯収入が1,000万円を超える世帯や子育て世帯・若者夫婦世帯の優遇措置を利用する場合には、従来通り、登記簿記載の床面積が50㎡以上であることが要件となります。
当初、消費税の負担軽減措置を主要目的として始まった住宅ローン減税はその軸足を、省エネ性能を重視する政策に移行しており、2026年(令和8年)以降もその流れは変わっていません。
省エネ性能の重視(優遇の中心)は以下の住宅となります。
• 長期優良住宅・低炭素住宅
• ZEH水準省エネ住宅
• 省エネ基準適合住宅
これらは借入限度額が高く、控除期間も13年になりますが、2028年(令和10年)以降に建築確認を受ける省エネ基準適合住宅については、ローン減税等の対象外となり、より高品質の長期優良住宅、低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅のみが住宅ローン減税の対象となります。
また、先述させて頂いたように、今回の住宅ローン減税は中古住宅(既存住宅)に対しての優遇措置が拡大されています。主な拡大事項は以下の2項目になります。
◇省エネ性能の高い中古住宅(既存住宅)は 借入限度額が引き上げ。
◇控除期間は 10年 → 13年へ拡大。
中古住宅(既存住宅)優遇の理由は、新築住宅から中古住宅(既存住宅)の取得促進を促すのが狙いです。
子育て世帯と若者夫婦世帯に対する優遇措置
また、今回の住宅ローン減税では子育て世帯や若者夫婦世帯に対して優遇措置を手厚くしています。
実は先行して2023年(令和5年)4月からフラット35の借入には、省エネ基準を満たす必要があり、これが住宅ローン減税にも波及してきました。
現在、長期金利の上昇によりフラット35の借入金利は現制度になってからは過去最高の貸出金利となっていますが、子育て世帯と若者夫婦世帯に対しては金利優遇措置がとられています。
住宅ローン減税の子育て世帯と若者夫婦世帯に対する具体的な優遇措置としては、子育て世帯や若者夫婦世帯に対しては、借入限度額の1,000万円の上乗せです。下記表のカッコ内の金額が優遇額です。
但し、新築の長期優良住宅と低炭素住宅に関しては500万円上乗せの5,000万円が借入限度額の上限となっています。
ちなみに、多くの方は理解されていると思い、わざわざお話をするのも気が引けますが、借入限度額というのはあくまでも住宅ローン減税を利用できる借入限度額の事であり、住宅ローンを組む際の借入限度額でありません。

災害リスクのある地域の住宅建設への抑制
昨今の地球温暖化に伴う、河川の氾濫や土砂災害等の災害対策として、2028年(令和10年)以降、土砂災害特別警戒区域、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、浸水被害防止区域、都市再生特別措置法に基づく勧告に従わないものとして公表の対象となった場合の災害危険区域といった「災害レッドゾーン」に建設された新築住宅は住宅ローン控除の適用対象外となります。
但し、中古住宅(既存住宅)・建替え・リフォームは住宅ローン控除の対象となります。
近年、鉄砲水や河川の氾濫により各地で甚大な被害が発生しており、損害保険に充てるお金が枯渇しており、火災保険料がどんどん上昇しています。
既にこのような状況下で、浸水リスク等のあるエリアにある戸建の火災保険料は、特に高くなっており、たとえ、マンションと比較してハザードエリアの新築戸建はリーズナブルな価格で購入できたとしても、保険料の支払や建築費や資材の高騰で維持修繕費が高くなっており、これら将来のことを考慮して戸建を購入しないと厳しい時代に突入しています。
災害リスクの高いエリアに家を建設することを国がいよいよ本腰をあげて規制に乗り出した感があります。
2026年(令和8年)度の住宅ローン減税のまとめ
住宅ローン減税の基本構造としては省エネ性能が高い住宅・既存住宅・子育て世帯の支援強化が主な特徴となっており、骨格は
◇控 除 率:年末残高の0.7%
◇控除期間:最大13年間
◇所得要件:2,000万円以下
としたうえで、住宅性能や立地条件によって借入限度額や適用可否が大きく変わります。
また、中古住宅(既存住宅)の優遇拡大により、中古住宅(既存住宅)の選択肢が広がる点も大きな変更点となっていますが、ウサギ小屋と言われた日本の住宅がすこしづつ改善されてきたのに、住宅価格の高騰により、逆戻りする形となっています。
現に、国土交通省は、住宅政策の基本となっていた「誘導居住面積水準(最低居住面積水準)」を、今後10年間の住宅政策の基本となる住生活基本計画から削除しています。
誘導居住面積水準とは下記の内容となっています。
住生活基本計画(2011年(平成23年)3月15日の閣議決定)
◇一般形誘導居住面積水準 単身者55㎡以上 2人以上の世帯25㎡×世帯人数+25㎡ ※2人なら70㎡
◇都市居住型誘導居住面積水準 単身者40㎡以上 2人以上の世帯20㎡×世帯人数+15㎡ ※2人なら55㎡
そのため住宅ローン減税の最低床面積は登記簿記載面積が50㎡以上となっていましたが、今回は都市居住型誘導居住面積水準である40㎡以上に改正したのではないか?と思っています。
最近は平屋の新築戸建ても人気ですが、建売業者はまだ恐る恐る、試験的に単身又はDINKS向けの平屋戸建を少しづる販売していますが、私は今後はもっと平屋の住宅が増えてくと思っています。
今後、省エネ基準がどんどん厳しくなっていく中で、時代に応じた省エネ基準未達の新築住宅は住宅ローン減税の対象外となるケースが増えるため、中古住宅(既存住宅)の取得時には、購入する住宅の性能証明書の確認が必須になっていくものと思われます。
また、少し余談になりますが、新規リノベ済のマンションの場合はカーテンレールが付いてるのが一般的ですが、新築戸建ての場合はカーテンレールが無い、エアコン設置のためのスリーブが空いていない、というのが標準仕様のようになっています。
更に、新築住宅を販売している建設業者や不動産会社は、今後、住宅ローン減税やフラット35の借入に必要な住宅性能に関する証明書を有料で発行するというのが増加しており、住宅購入に関する諸費用が増加していくものと思われます。



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